楽天が携帯電話事業に参入する真意とは?

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12/18(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

本格的に携帯電話事業をするわけではない
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

楽天 本社 ロゴ マーク

楽天本社が入るビル1階のロゴマーク=2017年12月14日午後、東京都世田谷区 写真提供:産経新聞社

自前の決算システムを持っていない楽天の事情

楽天が携帯電話事業に参戦することに関して、新聞は様々な見方をしている。しかし、ジャーナリストの須田慎一郎氏は、楽天の狙いは決して携帯電話事業を本格的にするということではないと言う。

高嶋)楽天が携帯電話事業に参入するそうです。現状ではNTTドコモ・au・ソフトバンクの3社がほぼ独占状態で、けっこう、携帯使用料が高止まりしているといいます。それで、新聞各紙には、「楽天がそこに切り込んで入ってきた。携帯電話の市場も値下げ競争になる」というようなニュースが多かったのですが、須田さんは別の見方もされているとか?

須田)新聞各紙の見方は少しピントがずれているのでは、と思うのですよ。詳しく説明すると、楽天は何も「新たにNTTドコモやソフトバンクを敵に回して携帯電話事業を本格的にやる」ということではないのです。
楽天の本業は何かというと、よく「eコマース(電子商取引)」と言われますが、ようするに、商品やサービスを販売することが主力事業です。その決済、お金の支払いに関しては、やはり通信回線を使ってやるケースが一般的なのです。なので、決済と販売が1セットになっていると考えていい。
ところが、楽天は自前の決済システムを持っていない。つまり、決済するに当たり、他社の回線を利用するケースが多いのですよ。その使用料がけっこう高くついている。それを楽天側、あるいは利用者側が負担しなければならないということで、結果的に商品が高くなってしまう、という状況があるのです。これを自前で持つとすると、割安で手数料が設定できるし、手数料そのものが楽天のポイントで支払えるようにするとか、そういう形にすれば、「便利だ! 安い!」と、どんどん楽天の方にお客が集まるではないか……こういう思惑なのです。

楽天 本社 ビル

楽天本社が入るビル=2017年12月14日午後、東京都世田谷区 写真提供:産経新聞社

現状はまだスタートラインに立ち、下地を整えている状況

高嶋)6,000億円を銀行から借りて、それでいままで払っていた手数料を無しにする、という方向でやるようですが、新聞を細かく読んでいると、副社長さんとかが、「それでもやはり、スマホの回線は借りないとマズい」みたいなことを言っていて。ということは、6,000億円では間に合わないということですか?

須田)というより、来年からいきなり「全部自前の回線で」というわけにはいかないのですよ。基地局を何千カ所に作らなければいけない。それは一気にはできないから、その過渡期においては、「回線を借りますよ」ということです。いずれは自前。これから世の中的にはキャッシュレス、そしてもう1つはカードレス……クレジットカードそのものが、スマホそのものに内蔵され、持ち歩かないという時代がやってきますから。そうした時代を見据えての楽天の動きと考えて貰っていいですね。

高嶋)ZOZOTOWNとか、Amazonとか、ライバルは多いですからね。LINE Payというのも、最近流行っていますよね。

須田)「そうしたところに対抗するためには、すべて自前で!」という風に考えているのだと思います。

高嶋)これで楽天は、成長の種というか、これで間違いない感じですか? 心配もあるのですか?

須田)ようやくスタートラインに立った、ということじゃないでしょうか。やはり販売・提供しているサービスがお客さんに魅力のあるものじゃないと、出店する企業やお店が「楽天なら売れるよね」と優先して提供するような姿勢にならなければ難しいと思います。そのために、こうして下地を整えている、ということです。

高島)単純な「携帯電話産業に本格的に参入」という話ではない。「これからeコマースの内容がどんどん濃厚になるから、それに対応して先手を打っている」という判断が正しい、ということですね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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