稚内駅「うに盛弁当」(1,380円)~宗谷本線・野生動物との共存

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】

キハ54形 普通列車 宗谷本線

キハ54形・普通列車、宗谷本線・南稚内~抜海間

稚内の丘に建つ「稚内市北方記念館・開基百年記念塔」。
その塔をバックに走るキハ54形気動車は、宗谷本線の上り普通列車・名寄行です。
雪景色の中、明るい時間に、この景色で上り普通列車を撮れるのは、1日1チャンス。
稚内発の普通列車は5:20、10:27、18:04、20:11の4本ですから、どの列車か分かりますね。
あっという間にディーゼルの音が過ぎ去ると、再び静寂が広がります。

宗谷本線 キタキツネ

宗谷本線のキタキツネ(稚内市内)

線路が静かになると、現れるのが野生動物。
線路脇から、白っぽい冬毛になってきたキタキツネがひょっこり姿を見せました。
キツネはこの後、1本のレールの上を上手に歩いて抜海方面へ・・・。
でも、こうして写真が撮れるのは・・・実は列車の通過時刻に極めて近い時間帯なんです。
幸い、この日は列車が遅れており、キツネによる列車への影響はありませんでした。

宗谷本線 エゾシカ

宗谷本線のエゾシカ(稚内市内)

明くる日、ほぼ同じ場所に、今度はエゾシカが出没。
稚内市内では、市街地でもごく普通にシカが群れで屯している様子が見られます。
コチラも特急列車の通過直前に出没したもので、遠くからディーゼルやジョイントの音が聞こえ始めており、ヒヤヒヤしましたが、幸い直前で逃げて事なきを得ました。
宗谷本線では、列車の写真を撮るより、野生動物を撮るほうが、実は簡単なのかも???

稚内温泉 童夢

稚内温泉「童夢」にて筆者

寒い中で写真を撮ったりしますと、体が冷えてしょ~がないってことで、目指すは温泉!
日本最北の温泉施設として知られるのが、「稚内温泉 童夢」です。
使われている「稚内ノシャップ温泉1号」は、38.4℃、ph8.2、成分総計6.020g/kgのナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉で、加温・加水・循環されてはいますが、濃いめの北海道らしい温泉。
受付時に「最北の温泉・入湯証明書」(100円)を頼んでおけば、上がる時に受け取れます。

私が最初にこの温泉に入ったのは、今から17年前、平成12(2000)年の冬至の日でした。
この時期、稚内の日の入りは、だいたい午後3時50分ごろ。
吹雪の中、まだ3時台なのにほぼ真っ暗、顔に雪の粒が当たるのを痛いと感じながら、首の下はぬくぬくと、稚内温泉の露天風呂に入った記憶が甦ります。
今も毎時1本程度、稚内駅から路線バスがあるので、鉄道旅派にも嬉しい最北の温泉です。

うに盛弁当

うに盛弁当

私自身、稚内は何度か訪れていますが、1度だけ、夏場の「エゾバフンウニ」を食べるためだけに行ったことがあります。
東京から「北斗星」~「ライラック」~快速「なよろ」~普通列車と乗り継ぎ、音威子府以北の乗客は、私1人となってしまいましたが、ほぼ24時間かけて稚内へ・・・。
そんな稚内「うに」の旅を思い起こさせてくれた稚内駅弁が、「うに盛弁当」(1,380円)です。

うに盛弁当

うに盛弁当

訊けば、今年(2017年)夏に登場したばかりの新作駅弁とのこと。
わっぱ形の容器を開ければ、うにの炊き込みご飯の上に、一面、濃厚な味わいのうに!
やっぱり、“ウニ・オン・ウニご飯”は、うに駅弁の基本ですよね。
他の稚内駅弁と同様、販売者は「稚内駅立売商会」、「ワッカナイセレクト」にて、午前10時からの販売となっています。

うに盛弁当

うに盛弁当

稚内には、前から「うに壺」という瀬戸物のうに駅弁があり、私も催事で頂いたことがあります。
「ワッカナイセレクト」の駅弁売場に貼り出された駅弁ラインナップを見る限り、この「うに壺」も健在のようですが、価格が同じ「1,380円」なんですよね!
これは間違いなく「うに盛弁当」のほうが、うにが多い!!
見た目重視なら「うに壺」、中味重視なら「うに盛弁当」をチョイスといったところでしょうか!?

キハ54形 普通列車 宗谷本線

キハ54形・普通列車、宗谷本線・抜海~南稚内間

新型車両の導入もままならない北海道のJRにとって、少しでも避けたい野生動物との衝突。
私自身もマイカーを運転中、野生のシカと接触してしまったことがありますが、シカのほうが強く、乗用車は修理に出さなくてはいけなくなってしまいました。
鉄道車両は自家用車より頑丈とはいえ、動物との衝突が続いてしまうと、車両に余裕がない中で、運用が綱渡りになってしまいます。
美味しい食材がいっぱい食べられる地域ということは、自然が豊かな証でもありますが、それは、野生動物との共存という一面もあるという訳なんですね。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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