合同訪中団が中国の李克強首相と会談 日中間の経済関係の今とは?

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11/23(木)FM93AM1242ニッポン放送『飯田浩司のあさラジ!』今日の聴きどころ!①

商売は政治判断ではいけない
6:31~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:コメンテーター山本秀也(産経新聞論説委員)

日中経済協会・経団連・日本商工会議所の合同訪中団が李克強首相と2年ぶりの会談

 

日中経済協会・経団連・日本商工会議所の合同訪中団は21日、中国の北京の人民大会堂で李克強首相と会談した。2年ぶりとなる李克強首相との会談となったが、産経新聞論説委員の山本秀也氏はこれからの日中間の経済について慎重に行っていく必要があると指摘する。

飯田)今回のテーマは日本と中国の経済関係についてなのですが、一昨日日中経済協会と経団連、そして日本商工会議所の合同訪中団が北京で李克強(り こっきょう)首相と会談したということで、李克強さんが出て来るのは2年ぶりだということですけど。

山本)そうですね。ただ今年に入ってから李克強さんは日本の団体などとは会っていますから、あまり意外では無かったですね。ただ出発の段階では誰が要人として出て来るか分からなかったので、今度新規序列で4位になった汪洋(おう よう)氏ら辺が最低ラインかなという見通しで行って、李克強首相との会談ができるのかどうかというところで、一応そこには到達できたということなのですが、ただ要人と会うだけなら80年代なら鄧小平(とう しょうへい)から何から皆出て来ていたのですから、それで李克強さんが出て来たことを有り難がっていてはいけないですよね(笑)。一回値ごろを勝手に下げたのは向こうですから。
それはさておいて、やはりご商売の話なので、会って「よろしく」というのはビジネスマンですからこれは当たり前のことなのですが、やはり言うべきことは投資の条件や「法律をコロコロ変えるのはやめて下さいよ」というようなことをしっかり言わなくてはいけなくて、そこはちゃんと議題にはなっていたようですから、これはこれで交流が広がっていく中のビジネスのやり方としては悪くはないのかなと思いますね。

 

日本企業が中国経済に関わるには一帯一路ではなくプロジェクトや入札のひとつひとつを重視すべき

 

飯田)日中間で特に経済ということになると、中国が進めている「一帯一路」政策という、あれについて日本企業としてはどうやって関わって行けば良いのかということですよね。

山本)まあ安倍さんも東京でのセミナーで「日本も入って行って良いんじゃないか」というようなことを言われて、それで中国側が大変喜んでしまって。あそこから日中関係は一応好転の方向にということで今日に至っているのですが、もちろん政治レベルで日中関係の改善を模索するというのはこれはこれで有りだと思うのですが、民間企業の目線になるとこれは一帯一路なんていう壮大なものでは無く、やはりプロジェクト1件1件、それから入札の1個1個ですよ。これはもう自分の身銭、それから投資家の方のお金というのが入った上で経営判断をしてやることですから、政治判断で商売をやっている人なんか多分いないはずですからね。それは持って来られた案件、入って行こうとする案件が有利なのか不利なのか、動きがあったらどれくらい出るのかというのはそろばんをがっちり弾いていかないといけないですよね。
かつて日中経済は「政治が良いから」というのでイケイケで行っていた時代もあったのですけど、そこは皆どこかでしっぺ返しを食ったりしましたから。銀行の融資も担保を取らないで地元の偉い人のお手紙1本で融資をしたこともあってそれが全部返って来なかったのですから。そこはやはり過去に痛い思いをした教訓はしっかりと思い出しておかないといけないですよね。

飯田)やはり羹に懲りたところがあって、日本からの対中投資というのはけっこう下がって来ていると?

山本)下がりましたね。それからやはり肌感覚で見えるのは進出企業が減っているということですね。在留邦人も減っていますし、そこのところで見ると、昔「人が増えるから」というので日本人学校の教室が手狭になった時代もありましたし、そういう時代を見て来ている目からするとこの辺がかなり落ち着くところなのではないのかなという気もしますけどね。

飯田)あまり加熱もし過ぎず1つ1つリスクを取って見極めていくと。

山本)やはり中国は入って行くときはイケイケドンドンというのが一番危ないので、自分で脇を固めて「大丈夫なのか」と足元を見ながら行かないとドスンと大穴が空いていることがよくありますから。
要人が来るのだって向こうの政治判断で勝手に変えるわけですからね。だから向こうさんの決めたことに一喜一憂するというのは誠に馬鹿馬鹿しい話で、まず日本の利益、自分の会社の利益というのをがっちり固めていかないと。それは当然だと思いますね。

中国経済に進出していくヨーロッパやアメリカ 日本がこの流れに便乗するのは危険

飯田)これは向こうに駐在している人などに話を聞くと、一方でヨーロッパの企業とかアメリカの企業がガンガン入って来ていると。「このチャンスを日本だけ逃しているぞ!」みたいなことを言う人もいるのですが。

山本)それはご商売なのですから、向こうさんがどうしてもヨーロッパの企業と組みたいと言えば泣いて頼んでも組むわけですから、それよりも「ご自由ですけど、うちと組んだらこうなりますよ。宜しいのですか? 判断はあなた次第ですけど」とこのくらいの構えで行かないと。
もちろん商売ですから「よろしく」とも言うしディスカウントもするのでしょうけれど「ヨーロッパが入って来るからバスに乗り遅れるな」というこの発想は私もやめるべきだと思いますね。

飯田)まああのAIIB(アジアインフラ投資銀行)のときとかその「バスに乗り遅れるな」というのが日本の新聞にも躍り出ていましたよね。

山本)ありましたね。少なくとも私の新聞社はそういうことは書いていないと思いますけど(笑)。その「バスに乗り遅れるな」というのは昭和の初めにも言ってしまったことがありましたよね。その結果どうなったのかというのをやはり思い出さないと。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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