サッカー日本代表・長澤 ハリルホジッチ監督がひとめ惚れしたブラジル戦の秘密兵器

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長沢和輝

【サッカーJ1浦和対G大阪】前半 競り合う、浦和・長澤和輝とG大阪・井手口陽介(左)=2017年10月22日埼玉スタジアム 写真提供:産経新聞社

あのハリルホジッチ監督が、ひとめ惚れし、今夜のブラジル戦で大抜擢されそうな選手がいます。2013年、ユニバーシアード日本代表へ選出されたことがあるものの、各世代で全く経験がない長澤です。

「すごい発見だ。パフォーマンスが良ければ、名前がどうであれ、関係はない」

と、今回のヨーロッパ遠征のメンバーに加えています。

きっかけは、視察したアジアチャンピオンズリーグ準決勝、上海上港第2戦でした。御前試合だから、というわけではありません。1-0の勝利に躍動。AFC(アジアサッカー連盟)は、選手個人のデータを発表している。90分間で、長澤が相手に25回トライして、その内、15回もボールを奪い取った。驚異的なパフォーマンスにびっくりしたのは、ハリルホジッチ監督です。代表に選出されるのは、海外クラブに所属する選手からというスタンスを根底から覆したわけです。しかも、上海は元ブラジル代表のフッキなどが在籍する強豪。

では、全国区とは言えない、長澤とはどんな選手でしょうか。千葉県市原市出身。小学校入学直前からキャリアをスタートし、八千代高3年時には、高校サッカー選手権へ出場し、大会優秀選手に選ばれています。その後、専修大へ入り、関東大学リーグ3連覇を達成した中心でした。とはいえ、大学サッカーのレベルは高いとはいえない。日本代表クラスは大半が高校卒業後、すぐさまJリーグへ入団します。サッカー選手にとって、4年間の回り道は大きなリスクが伴うからです。

長澤は専大を出て、いきなり海外へ飛び出した。当時2部だった、ドイツの1FCケルンへ入団。

「ストレスがたまるところで、自分を試したい」

困難に打ち勝ち、リーグ優勝と1部昇格へ貢献します。ただ、いいことがあれば、悪いこともある。翌シーズンの開幕前、左ひざのじん帯を断裂する大けがを負った。そのため出場機会が減り、帰国を決意。当然ながら、複数のクラブからオファーがありました。

浦和を選んだのは専大時代、まっさきに声をかけられたからでした。サッカー部の特色のひとつは、ほぼ毎日の早朝練習。その練習中、浦和のスカウトがいつも見守っていました。浦和へ入団したものの、当時の浦和の監督であったペドロビッチは長澤が好みではなく、出場機会がありません。そこで、J2の千葉へレンタル移籍します。ここでは、本来のトップ下ではなく、守備的ミッドフィルダー、ボランチを命じられた。がっかりするのではなく、与えられた役割をきっちりとこなしました。しかし、再び浦和へ復帰しても、ペドロビッチ監督の評価は変わりませんでした。

不遇な環境が一変したのは、5年続いたペドロビッチ監督が今年7月、解任されてからです。後任の堀監督は、長澤をすぐさまレギュラーで起用。173センチと小柄でも、

「重心が低いことは、ぼくのストロングポイント」

と言うように、ボールを奪ってのドリブルは、まさに矢のようです。ハリルホジッチ監督が大抜てき中の、大抜てきをした気持ちがわかる。ちなみに、今遠征で、日本代表落ちした香川は、今日のブラジル戦を観るために、スタンドへ足を運ぶそうです。ブラジルA代表との戦績は過去、2分9敗です。果たして、長澤はハリルジャパンの救世主となるでしょうか。

11月10日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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