大船駅「伝承 鯵の押寿し(復刻版)」(1,250円)~1匹から2枚だけ!受け継がれる伝統の「鯵と味」②

By -  公開:  更新:

【ライター望月の駅弁膝栗毛】

特急 踊り子

185系電車、特急「踊り子」

東京と伊豆を結ぶ特急「踊り子」。
東京駅に乗り入れる最後の国鉄形・185系電車が充当され、途中、熱海まで伊豆急下田行と修善寺行を併結する列車は、在来線特急最長の15両編成で東海道線を下っていきます。
185系は昭和56(1981)年デビューで、東海道線では長らく普通列車としても活躍しました。
現在も「湘南ライナー」として通勤輸送を担う、東海道線になくてはならない車両です。

大船駅

大船駅

185系「踊り子」になる前、東海道線で急行「伊豆」として活躍していたのが153系電車でした。
置き換えの時期には、185系・153系の混結が行われたこともあったようですが、大船駅ホームの一角にはさりげなく153系電車のイラストが・・・。
今も“湘南電車”が職員の皆さんに愛されている様子が伺え、嬉しくなりました。
駅ナカが充実している大船ですが、実は時々レトロなものも隠れている楽しい駅なのです。

(参考)鉄道ピクトリアル2000年2月号「湘南電車50年」

鯵の押寿し

伝承 鯵の押寿し

そんな大船名物として知られる、「大船軒」の駅弁「鯵の押寿し」。
この上級版として販売されているのが、「伝承 鯵の押寿し」(1,250円)。
現在は、開催中の「駅弁味の陣 2017」に合わせ、大正7(1918)年頃に使われていたという三浦半島の地図が描かれた掛け紙が復刻されています。
当時、地図は軍事機密とされたことも多い中で掛け紙に使ったのは、なかなか攻めてますよね!

鯵の押寿し

「伝承 鯵の押寿し」初代掛け紙

ちなみにコチラは4年前(2013年)、「鯵の押寿し」発売100周年を記念して期間限定で復刻された初代の「鯵の押寿し」の掛け紙。
初代も「お志ずし」とだけ書かれたシンプルなものですが、趣がありますね。

鯵の押寿し

伝承 鯵の押寿し

レギュラー版の960円と比べ、「伝承・・・」は290円アップの1,250円という価格設定。
それというのも「伝承 鯵の押寿し」は、大正2(1913)年の「鯵の押寿し」発売当時と同じように、「小鯵」を使って作られているからなんです。
「小鯵」1匹からは、わずか2枚しか取ることが出来ません。
この「1匹から2枚」、今回は「大船軒」の方にご協力いただき、実際に見せていただきました。

鯵の押寿し

伝承 鯵の押寿し

まずは、「伝承 鯵の押寿し」のシャリの上に載っている鯵を裏返します。
真ん中を箸で開きますと・・・。

鯵の押寿し

伝承 鯵の押寿し

これが「小鯵」1匹の半身ですね。
ということは、2個の“鯵の押寿し”を使いますと・・・?

鯵の押寿し

伝承 鯵の押寿し

「伝承 鯵の押寿し」2個分、ネタとシャリと分離しますとこの通り!
確かに「1匹から2枚」しか取れない「小鯵」を使っていました。
ちなみに、「鯵の押寿し」と「伝承 鯵の押寿し」の味わいは、どう違うのか?
単純に言えば「こってり」と「あっさり」の違いなんだそう。
中鯵を使う「鯵の・・・」では、ちょうど脂が乗ってきた鯵が楽しめるのに対し、小鯵を使う「伝承・・・」は、成長途中の瑞々しい味わいが楽しめるといいます。
私自身、20代は「鯵の押寿し」のほうが好みでしたが、年齢を重ねるに連れて「伝承 鯵の押寿し」の美味しさが分かってきたような気がします。
その意味では「伝承 鯵の押寿し」は、“オトナの鯵寿し”とも言えるかもしれません。

鯵の押寿し

伝承 鯵の押寿し

大船軒の「鯵の押寿し」は、鯵の薄皮を付けたままにするユニークな調理法が行われています。
これによって、歯ごたえある独特な食感が楽しめるんですよね。
大船軒では1年間におよそ150万匹の鯵を、「鯵の押寿し」などで調理しているそうです。
そんな「鯵」への感謝の気持ちを込めて、「大船軒」では毎年秋に地元の坂ノ下御霊神社の神職を迎えて、「鯵供養(あじくよう)」の祭事を行ってきました。
3年前の平成26(2014)年からは、この祭事に合わせ「鯵祭(あじまつり)」を開催していて、一般の方も参加できる「お祭り」となっています。

今年(2017年)の「第4回鯵祭」は、今度の土曜(10月28日)午前11時から、大船駅西口スグの、大船軒本社駐車場・特設会場で開かれます。
当日は「鯵の押寿し3個パック」を特別価格「100円」で販売するほか、大船軒の各種駅弁も販売。
(鯵の押寿し3個パックの整理券は、10:30~配布予定)
1年に1度の「鯵祭」、お時間ある方は、ぜひ大船に足を運んでみて下さい!

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

Page top