バイクの日にバイクな曲を選んでみた

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 昨今のアナログ盤ブームで、改めて注目されているのが歌謡曲のレコード。デジタル音源より音に厚みがあり、またCDでは味わえないジャケットの大きさも魅力の一つ。あえて「当時の盤で聴きたい」と中古盤店を巡り、昔のレコードを集めている平成世代も増えているようです。

そんなアナタのために、ドーナツ盤ハンター・チャッピー加藤が、「ぜひ手元に置きたい一枚」を、アーティスト別、ジャンル別にご紹介していきます。

お盆休みも終わり、8月19日は「バイクの日」です。「山の日」なんていう根拠がピンと来ない祝日を作るなら、こういう分かりやすいダジャレの祝日だってあっていいような気もしますが、それはまあ置いといて。
ワタクシ、二輪は自転車以外乗らないので、バイカーがツーリングで感じる爽快さはさっぱり分かりませんが、「バイク歌謡」は大好きです。バイクって、ジャケットに載っけるのにちょうどいいアイテムなんですよね。それだけで十分画になるし、革ジャン着て横に立ってれば、なんちゃってバイカーでも様になる、誠に使い勝手のいい乗り物なのです。
そんなわけで今回は、「バイクがジャケットに載っているレコード」を3枚選んでみました。バイカーの方は、特に②③は額に入れてガレージに飾っていただきたいと思います。

 
【その①】・・・『あの夏のバイク』国生さゆり(1986)

バイクの日にバイクな曲を選んでみた

おニャン子クラブのメンバーで、会員番号8番・国生さゆりのデビュー第4弾シングル。86年2月発売のデビュー曲『バレンタイン・キッス』はゴリゴリの王道アイドル歌謡でしたが、5月に『夏を待てない』、8月に『ノーブルレッドの瞬間(とき)』とオトナ路線に転向。そして12月にリリースしたのがこの曲です。
彼女が根性あるなと思うのは、多忙な中、教習所に通ってバイク免許を取得し、この年の10月から1ヵ月かけて、ニューヨーク?ロサンゼルス間をバイクで横断したことです。番組の企画でもあったのですが、当時19歳のアイドルが
なかなかできることじゃありません。そのバイク旅の感想を、秋元康が歌詞にまとめたのが本作で、見事オリコン1位に輝きました。だからこのジャケットは、なんちゃってどころか「ガチ」なのです。
当時の国生ファンは、特攻服を着た、これまたガチな方々が多かったのですすが、おニャン子の中では異質な存在だったと言っていいでしょう。そりゃ新田恵利とは合わないハズだわ。
このジャケットはニューヨークで撮影されたものですが、国生の背中にツインタワーがそびえ立っているのを見ると、この15年後に、まさかあんなことが…と思わずにはいられません。500円?750円くらいで入手可能。

 
【その②】・・・『紫のハイウェー』クールス(1975)

バイクの日にバイクな曲を選んでみた

 

バイクを通じて意気投合した舘ひろしと岩城滉一らが、モーターサイクルチームとして立ち上げたクールス。元々はバンドではなく、バイカー集団だったのです。それがなぜ音楽に手を染めたのかというと、キングレコードの社員が「レコード出しましょうよ」と熱心に誘ったから。
岩城はこのデビュー話には乗らず、俳優の道へ。一方、話に乗っかった舘は、
メンバーの中から楽器のできる者を選抜し、8人組バンド・クールスが結成されました。これは第1弾シングルで、ジャケットがメンバー全員、見るからに気合が入っているのは、そもそもバイカーなのだから当然です。
彼らが志向したのは、分かりやすいオールドスタイルの50年代ロケンロールで、 曲のベースがもろ『ダイアナ』だったりするのはご愛嬌。やがて俳優と二足のわらじを履きたくなった舘と、「いやいや、音楽だけやっていこうぜ」という他の7人の意見が衝突し、クールスは空中分解します。
リーダーの舘は77年に脱退し、新たに「舘ひろしとセクシーダイナマイツ」を結成。同時に俳優業も始め、やがて石原軍団入りしますが、クールスの残されたメンバーたちはレコード会社を転々としながらロケンロールを追求。この一本筋が通ったところが、実にバイカー集団らしいところです。
CKBの横山剣は舘の脱退後、クールスに加入した一人で、藤井フミヤもクールスの熱心なファンでしたが、ある意味チェッカーズもその影響下にあると言っていいでしょう。これもバイカーなら押さえたい一枚です。750円?1000円前後で入手可能。

 
【その③】『番長シャロック』梅宮辰夫(1968)

バイクの日にバイクな曲を選んでみた

 

日本にもバイカー映画を、という東映・岡田茂社長の鶴の一声で、梅宮辰夫を主役に作られた『不良番長シリーズ』(1968・第1作公開)の主題歌。「シャロック」とは何かというと、「シャッフル+ロック」の造語なのですが、本曲は演歌テイストも加わって、何とも言えない梅辰ワールドを醸し出しています。このグルーヴはこの人にしか出せません。
『不良番長シリーズ』自体、当初はバイクアクション映画を志向していましたが、次第にコメディ化していった経緯も泣かせます。そんなシリーズに、この一筋縄ではくくれない主題歌は、絶妙にマッチしていました。だって、このジャケットだけでもう「お腹いっぱい」じゃないですか。本曲、どういうわけか好事家の間で需要が高いようで、1000円前後で取引されています。

「アイドル」「リアルバイカー」「梅辰」。この3枚を押さえておけば、バイカーとしては胸が張れるんじゃないかと思います…って、バイクに乗らない私が言うのもなんなんですけどね。ぜひトライしてみてください。

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