北朝鮮に制裁を加えると、とんでもない犠牲が出る!【高嶋ひでたけのあさラジ!】

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8/1(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

安倍総理とトランプ大統領が電話会談
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター富坂聰(ジャーナリスト・拓殖大学)

安倍晋三

米トランプ大統領との日米電話首脳会議を終え、取材に応じる安倍晋三首相=2017年7月31日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

北朝鮮が週末深夜に弾道ミサイルを発射

安倍総理)日米は北朝鮮の問題、平和的に解決をしていく為の努力を積み重ねて参りました。しかし北朝鮮はことごとく踏みにじり、一方的にエスカレーションさせてきました。

北朝鮮が先週強行した大陸間弾道ミサイルの発射を受け、安倍総理大臣とアメリカのトランプ大統領が電話会談を行い、北朝鮮に対して更なる行動を取らなければならないという認識で一致しました。その上で国際社会への働きかけを強めていくことも申し合わせました。

まずはこの日米首脳の電話会談ですが、ミサイル発射から週が明けて昨日の朝およそ50分間にわたって行われました。国際社会に働きかけを強める方針を申し合わせたわけですが、とりわけ中国とロシアを念頭に置いたことは明白です。
会談後の安倍総理です。

安倍総理)厳然たる事実を中国・ロシアをはじめ国際社会は重く受け止め、圧力を高めていかなければなりません。今後北朝鮮の脅威に対して、国民の安全の確保を図る為、万全を期してまいります。

畑中)これに対してトランプ大統領は「日米は強固なパートナーであり、アメリカの日本防衛に対するコミットメントは揺るぎない」と応じたということです。
さらにアメリカは電話会談を受けてミサイル迎撃態勢の強化に乗り出す構えです。具体的にはミサイルの迎撃をサポートする為にセンサーを衛星に搭載するという方法があります。
これまでの地上や海上のレーダーでは、地球は丸いので地平線や水平線の向こう側にはレーダーが届かないということだったのですが、今回の大陸間弾道ミサイルの射程は1万km以上という専門家の指摘がありますので、地球4分の1週分ということになります。
この宇宙からの迎撃システムが必要ということになりますと、まさに米ソ冷戦時代の「スターウォーズ計画(戦略防衛構想)」を彷彿とさせるものがあります。
一方この日米の結束とは裏腹に、ロシアと中国との足並みの乱れは依然としてありまして、特にトランプ大統領はTwitterで「中国には非常に落胆した」とこのように不満をぶちまけました。これに対して中国の共産党系メディアは「全く理不尽だ」とこのように報じています。
さらにロシアは「今回北朝鮮が発射したのはICBM(大陸間弾道ミサイル)ではなく中距離弾道ミサイルである」とこのような主張を崩しておらず、ロシアと中国が大目に見ているとして事実上非難し「責任を転嫁する試みは納得できない」とこのように反論しています。
そうなりますとやはり北朝鮮にとっては思う壺という感じで、こういった動きはどこ吹く風と言いますか、平壌(ピョンヤン)では一昨日ミサイル発射の成功を祝う宴会が開かれたということですね。


アメリカは北朝鮮問題についてどのような姿勢を取っているのか

高嶋)さあ富坂さん、中国とロシアの本音はどこにあるのかということですが、いかがですか?

富坂)これは元々朝鮮半島には大国の思惑の間にぽっかりと空いている穴がずっとある。北朝鮮はここにポテンヒットを積み重ねているのですが、これは容易に埋まらないと私は思います。
そういう意味で言えば我々も北朝鮮情勢というのはアメリカと日本とロシアと中国と言う風に見てしまうのですけども、例えばアメリカの視点だけで見ても今は北朝鮮だけの問題かというとそうではないですよね。北朝鮮・ロシア・イランを一気に制裁をしましたので、もう3ヶ国の間でバチバチの状態になっていて、特にロシアはアメリカの外交官を455人に減らすとか言って、これからまた新たに議会が出した制裁案に対して10日間の内に大統領が署名するとまたさらにロシアとの間の亀裂が広がるということです。
イランもこの間ミサイルの実験をして、海上で威嚇射撃をし合うとかすごいことになっていますので、そういった中でどれだけの力を北朝鮮に割けるのかということを考えると、そもそも中国に「やれ」と言うのを、どこまでアメリカは真剣に北朝鮮のことを考えているのかという風に私は受け止めています。自国の利害が絡んでいるところで他国に「やれ」という話になるのかなと、私はその辺のところから疑問を持っているのですね。

高嶋)トランプさんも4月に習近平さんと首脳会議をして、どういうわけか知らないけども「100日間待つ」みたいなことを言って「その間に中国が北朝鮮に対して何か然るべき有効な手を」と。それで今度は何も無いものだから、散々おだてておきながら今度は「あんなに失望した奴はいない」というような、何だか最初から分かっていたような話じゃないかと思うのですが。

富坂)実はその直後にティラーソンさんは「中国と話してこの問題はすぐに解決しないということはよく分かった」みたいな発言をするのですよ。それで今まで何も言っていないですよね。
だからどこをどういう風に見ていくべきかというのは、私はティラーソンさんとかマクマスターさんとかマティスさんとか、この辺の発言の方が多分重いのではないかという気はしますね。


中国にとっても北朝鮮問題は深刻

高嶋)何か事があって方向が逆を向けば、北朝鮮のああいうICBMとか核は中国だって襲いかねないわけで、そういういつ牙を剥くか分からないような恐れというものは無いのですか?

富坂)実は中国は日本以上にこの問題は深刻ですよ。

高嶋)深刻なのになぜ何もしないのですか?

富坂)これは簡単には取り上げられないと思っています。実際に本気で取り組もうと考えたら、それは簡単に出来ないということはすぐに分かりますよ。例えば外科手術と簡単に言いますけど、その結果は日本人の頭の中には無いですよね。
軍事行動を取るにしても簡単に終わらないということは軍人なら皆知っています。実際多くの人はもうその時期は過ぎたという言い方をします。例えばマティスさんも「とんでもない犠牲が出る」ということをおっしゃっていますよね。だからそういうことは日本人の頭の中では簡単なことだと思われがちですが、そんなことは絶対に無いということですよね。

高嶋)やるのであればもうとっくのとうにやっている話だと。もうここまで来てしまったら全然こういう作戦は通じない、被害が大きすぎると。

富坂)何を覚悟して何を貰うのかというプラスマイナスというものを計算すると、ちょっとできないことですよね。

高嶋)交渉が通じる相手ではないですものね。

富坂)だから中国は長期的に彼らを話ができる土俵に載せようとしています。つまり守るものを持ってもらわないと対等に話ができないというところから入るので、スパンで考えるともう折り合わないですよ。

高嶋)それに対してトランプさんがどんな癇癪を起こすのか、心配ですね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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