アメリカ下院本会議でオバマケア代替法案僅差で可決 高嶋ひでたけのあさラジ!

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5/5(金・祝)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!

米下院オバマケア代替法案を可決~トランプ氏中東・欧州に初外遊へ
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・外交評論家)


「オバマケア代替法案」上院へと進む

アメリカ下院本会議は4日、トランプ政権が最優先課題に掲げる、医療保険制度改革、いわゆる「オバマケア」を見直すための代替法案を、賛成217、反対213の僅差で可決された。一方、トランプ大統領が今月下旬に、中東のイスラエルとサウジアラビアほか、ヨーロッパを訪問することが判明した。

高嶋)これは早朝というか、深夜に入ってきたニュースです。まずはより具体的に、ニッポン放送報道部、森田耕次解説委員です。

森田)国民皆保険制度のないアメリカで、公的補助を通じて全国民に保険加入を義務づけたのがオバマケアです。これまでにおよそ2000万人が新たに保険に加入する一方で、加入したために、既往症のある人も加入したため、保険会社の経営が圧迫されました。政府機能の肥大化を嫌う共和党はこの「オバマケア」に反発し、「オバマケアの撤廃」はトランプ大統領の選挙公約でもありました。3月に公表されたオバマケア見直し法案では、「保険の加入の義務づけを撤廃しよう、低所得者向けの医療保険を「縮小しよう」と定めたのですが、共和党の中では「保証をもっと最小限にしろ」と求める保守強硬派。逆に、「保険のない人が増えるのはどうなのか?」と言う穏健派。この双方から異論が出て、3月のときには採決直前で法案が撤回に追い込まれました。今回の修正案では、「州の判断次第で、保険会社が病歴のある加入希望者を断れるようにする」等、強硬派に配慮しました。また、穏健派の反発を抑えるために、「既往症のある人の保険料の補助で、連邦政府が5年間で80億ドル。およそ9000億円を投入する」ということを決めました。この土壇場での修正で賛成票の確保に成功し、日本時間の今日未明に、4票差で下院に可決されたのです。法案はこの後、上院での審議に進むのですが、上院の共和党には、なお慎重意見が根強く、さらなる修正を迫られるのは必至であり、成立までには曲折が予想されています。一方、トランプ大統領は就任後、初の外遊として、今月下旬にサウジアラビアやイスラエル、バチカンなど、中東ヨーロッパ諸国を訪問すると発表しました。最初の訪問国はサウジ。バチカンではローマ法王と会談し、ベルギーではNATO首脳会議、イタリアではG7首脳会議に出席するとのことです。


日本と党のシステムが違うので、日本と同じには考えられない

高嶋)これは要するに、上院でも修正があれば通るという見通しなのですか? それともつぶされそうな気配ですか?

宮家)日本の国会だと、党議拘束というか、各党で違っているでしょう? それで、両方とも多数なら通ってしまう。アメリカは全然違います。まず今の話。「コストが高くなってしまうから、国民皆保険はダメだ。会社が困る」というね。けれど、もしそれを辞めたら。また保険に入れない人が出てきて、元に戻ってしまうわけです。その人たちの不満を、上院議員は必ず受けるはずです。そして、一部の人たちには来年か再来年、中間選挙がある。それを考えると、簡単に「共和党のみんなが賛成したから、下院なんて関係ない。私は私。私の州の有権者と」というのが基本だから。全部が個人で自由というわけではないですが、日本ほど党議拘束がないわけですよ。だから、これが通るかどうかまったく分からない。いままでも店晒しになった法案、腐るほどあります。ですから、日本と同じように考えない方がよいと思います。

高嶋)たしかに、アメリカの上院議員。映画とかでも、尊敬される厚さが下院議員と全然違うのですよね。

宮家)州に2人しかいませんからね。


反対政党がダメな場合、オバマケアは定着する

高嶋)アメリカのこの制度は悪くないと思いますね。要するに良識と、その選挙の地域の事情。そういうものによって、上院議員が判断できるのでしょう? 「オバマケア」だって、下院4票差で通ったということですけれど。これですんなり上院が……とはならないのですよね? もしならないと、どうなるのですか?

宮家)7年前にできたオバマケアがずっと動いているわけですので、それを修正しようとする法案がすべて傾けば、通らないということはオバマケアが定着する、ということですよね。反対政党がまるでダメだったということは、「オバマケア」が当分定着する、と言うことだと思います。

高嶋)でもあれは州に対して、いろいろな力があるので、州ごとに「規制緩和が云々~」など、いろいろな個別な条件というのもありみたいですね。

宮家)州の議会にも立法権がありますから。連邦レベルと州のレベルで微妙に違うというのは十分あり得ると思います、保険の場合は。

高嶋)見通しはどうですか?

宮家)今回の場合、トランプさんがあまり四の五の言わなかったから、すんなり行ったのだから、このまま黙っていたらうまく行くかも。よけいなことをいったらこけてしまうかもしれないですね。そのくらい難しいことだと、私は考えています。

高嶋)4票差で、しかも小うるさい上院ではどうなるのかね。バラ色ではなさそうです。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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