チームあっての代表です。それを貫きたい。J1浦和・GK 西川周作(30歳) スポーツ人間模様

By -  公開:  更新:

【サッカーJ1・FC東京対浦和】後半好守を見せる浦和GK・西川周作(左)=20170416味の素スタジアム 写真提供:産経新聞社

【サッカーJ1・FC東京対浦和】後半好守を見せる浦和GK・西川周作(左)=20170416味の素スタジアム 写真提供:産経新聞社

今日、ニッポン放送でも中継するスポーツの大一番といえば、埼玉スタジアムで開催される、J1の浦和-鹿島戦。

Jリーグチャンピオンシップに続き、2試合連続でチケットは完売。よくサッカーでは、注目カードをダービーといいますが、今や、このカードはナショナルダービーの別名までつくほどです。

赤い悪魔と呼ばれるレッズと対戦する選手からすれば、その中でも悪魔と呼びたくなる存在は西川でしょう。今季が移籍4シーズン目になります。
常々、口にしているのは
「キーパーは、失点数が試合数よりも下回らないとね。逆の場合は、キーパーが一流ではないということでしょう。」

加えて、国産GKの危機を訴えている1人です。川崎、札幌、セレッソ大阪、神戸、鹿島と守護神は外国人。世界的にみても、サイドバックとともに、GKは人材難のポジションになっている。
「日本の将来を考えれば、決していいことではない。だから、もっとアピールすることが自分の使命だと思う。」

そんな西川は、どうしてGKになったのでしょう。
サッカーを始めた小学生の低学年ではフォワードでした。誰もが最初はフィールドプレーヤーにあこがれるのは当然。ただ、西川のチームでは誰もキーパーをやりたがらない。こまったコーチが体形と、性格の良さを見抜いてコンバートしたそうです。
「ぼくだって、イヤでした。すり傷が絶えないし、けがをする。痛いイメージばかりでしたから…。」

ところが、その西川の目の色が変わった出来事がありました。
それは小学4年夏、未来永劫、マイアミの奇跡として日本サッカー界で伝えられる、アトランタオリンピックのブラジル戦。
この試合で川口は28本のシュートを止めています。
「子どもの頃の、鮮烈な記憶です。キーパーは決められてしまうか、止めるか。テレビにはそこだけが映った。川口さんが神様に見えました。」

西川は以降、精進を続け、今日の地位を築いていますが、日本では異色のスタイル。とにかくキックがいい。大分ユース時代には、1シーズンで7本のフリーキックを決めています。ロングキックの飛距離が80メートルにも達します。
一方で、テクニック日本一と高評価されるのは、リベロの役割も果たしているからです。
つまり、ただゴールにへばりついているわけではなく、浦和のディフェンスラインは8メートルも上がっており、これは相手チームの脅威です。
通常、フィールドプレーヤーは、1試合12キロを走れば1人前。驚くのは、西川はGKでいながら6キロ以上を走る。

第7節のFC東京戦では、中継局が新たな試みとしてGK専用カメラを据えました。これが斬新でなかなかいいと評判をとったのは、西川のすごさが視聴者へ伝わったことが要因。
…にもかかわらず、日本代表ではレギュラーない。本当に不思議です。

「レギュラーから外されることは、うすうす感じていた。」
日本代表・ハリルホジッチ監督はGKがリベロとして試合中、動くことを好まないのです。
対照的に、浦和のペトロビッチ監督はいつも、「リスクをおかせ」が口ぐせ。
指揮官のスタイルにあわせることがベスト。
でも、そこは九州男児の気概で「チームがあっての代表です。それを貫きたい。」きょうの鹿島戦は、完封を狙います。

5月4日(木・祝) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

Page top