障害のある方の人生をもっと豊かに…。介助犬・聴導犬育成と普及に奮闘中!【わん!ダフルストーリー】

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■「身体障害者補助犬」を知っていますか?

介助犬PR犬のアポロと一緒に(w680)

介助犬PR犬のアポロと一緒に

身体障害者補助犬とは、障害者の生活をサポートする3種類の犬たち(盲導犬・介助犬・聴導犬)のこと。盲導犬は日本でも広く知られていますが、肢体不自由者を助ける介助犬と聴覚障害者を助ける聴導犬の存在はまだ一般的ではないのが現状です。

愛媛県松山市でドッグトレーナーとして活躍する砂田真希さんは、日本ではまだ数少ない介助犬と聴導犬育成の専門家。家庭犬のしつけやトレーニング業の傍ら、介助犬や聴導犬の育成を行い、必要とする障害者に無償で提供する活動や、補助犬の普及活動に取り組んでいます。

「一頭の介助犬、聴導犬を育成するために必要な費用は約200万円。一部は皆様からの寄附に支えていただいていますが、ほぼ私個人の持ち出しで行っています。『なんでそこまでやるの?』と不思議がられることもよくあるのですが、これが私の運命なんですよね」と笑う砂田さん。
その言葉通り、砂田さんはまるで運命の見えざる手に導かれるかのように、介助犬・聴導犬とかかわりの深い人生を歩んできました。

■ハンバーガーショップで実感した日米格差

留学先の大学卒業式で校長先生と一緒に(w680)

留学先の大学卒業式で校長先生と一緒に

もともと動物が大好きだった砂田さんは、高校卒業後、京都府にある動物専門学校へ進学。在学中に介助犬・聴導犬の存在を知り、興味を持ちました。
しかし、当時はまだ日本国内に介助犬も聴導犬もほとんどいなかった時代。砂田さんは図書館でみつけた介助犬関係の書籍の著者に連絡を取るなどして情報収集を開始しましたが、当時は国内で介助犬や聴導犬育成を実践的に学ぶことができる環境はありませんでした。

「いつか、本場・アメリカに行って介助犬や聴導犬の育成を学びたい!」との願いを胸に専門学校を卒業した砂田さんは、いったん故郷の愛媛に戻り、動物病院で動物看護士として働き、約6年後、いよいよ夢の実現に向けて動き始めました。
まずオーストラリアでワーキングホリデーを半年間体験した後、29歳でいよいよ、本場アメリカへ!サンフランシスコ郊外にある、Assistance Dog Institute(現Bergin University of Canine Studies)に留学したのです。

「英語力にもアメリカでの生活にも不安はありました。でも、どうしても行きたかったし、行かねばならないと思っていました。本当に不思議なのですが、何かに導かれるような運命的なものを感じて、留学に踏み切ったのです」という砂田さん。

「留学生活は予想以上に充実していました。留学先では、月齢の違う3頭の犬のトレーニングを担当、実践的に介助犬育成のノウハウを学ぶことができましたし、障害者の方との面談も担当。障害者の方に犬を扱う上でのアドバイスをする方法なども学びました。また、卒業後の活動を見据えてNPOの立ち上げ方やマーケティングの講座まで用意されているのにも驚きました」と振り返ります。

「学校での学びも新鮮でしたが、留学で一番強く心に残っているのは、障害者補助犬に対する意識の日米格差です。実は留学中に一度、訓練中の犬を連れてハンバーガーショップに行ったところ、介助犬のことを知らない店員さんに注意されたことがありました。もちろん当時からアメリカでは介助犬の飲食店への入店は認められていたのですが、私の英語力ではとっさに説明できず、まごまごしてしまったのです。
すると、周囲のお客さんたちが口々に『その犬は介助犬よ』『飲食店への入店は法で認められているんだよ』と店員さんに説明してくれ、事なきを得ることができました。日本ではありえないことですよね。いつか日本もこんな社会にしていきたい…と願わずにはいられませんでした」。

■障害を持つ人の生活、そして人生をも変える犬の力

2007年に留学を終えて帰国した砂田さんは、社会福祉法人や専門学校で介助犬・聴導犬の育成、補助犬普及活動、トレーナー育成に取り組んだ後、2013年に地元愛媛に戻り「Dog For Life Japan」を立ち上げました。

「愛媛に戻ってから、じっくりと腰を添えて介助犬・聴導犬の育成に取り組むことができるようになりました。時間もお金もかかる取り組みなので、私一人でできることは限られていて大変なこともあります。それだけに、こちらに来て初めて育てた聴導犬ベル(トイプードル)を聴覚障害者のSさん(男性)にお渡しできたときの喜びはひとしおでした」。

広島市のイベントにて。右の男性と一緒にいるのがベル(w680)

広島市のイベントにて。右の男性と一緒にいるのがベル

Sさんは、それまで犬を飼った経験がなく、最初はベルの扱い方に戸惑っていたそうですが、今ではすっかりベルにメロメロに!ベルと一緒にいろいろな場所に出かけたり、SNSにベルの写真を投稿したりして、仲間との交流を楽しむようになったそうです。

聴導犬訓練生のシェリー(w680)

聴導犬訓練生のシェリー

「介助犬や聴導犬には、障害者の方々の生活をよりアクティブにし、人生をより豊かなものにしてくれる力があります。この喜びをもっと多くの障害者の方にお届けしたい。そして将来的にはより多くの介助犬や聴導犬が活躍できる仕組みが日本でも確立されることを願って、微力ですが活動を続けていこうと思います」と語る砂田さん。

現在は介助犬を育成に取り組んでいるそうです。砂田さんのもとから、1頭でも多くの介助犬・聴導犬が巣立つこと、そして障害者と補助犬がより暮らしやすい社会に近づくことを願ってやみません。

ONE POINT 街で障害者補助犬に出会ったら?
盲導犬は白いハーネス、介助犬・聴導犬はケープを着用している時はお仕事中です。次の3つの約束を守り、彼らが落ち着いてお仕事ができるよう見守ってあげてください。
①補助犬を見つめない・声をかけない・勝手に触らないでください
②補助犬の使用者さんが困っている時は声を掛けてください
③公共施設や交通機関への同伴が認められています。暖かく受け入れてください
☆Dog For Life Japanについてはこちら→http://dogforlife.org/index.html

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  わん!ダフルストーリー Vol.53

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