新所原駅「うなぎ弁当(一匹入)」(2,100円)~日本一いい匂いのする駅・新所原でうなぎを食べる!【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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天竜浜名湖鉄道・TH2100形気動車

東海道線の掛川と新所原の間を、浜名湖北岸経由で結ぶ「天竜浜名湖鉄道」。
静岡では珍しい、全線非電化の第3セクター鉄道です。
掛川で東海道新幹線、西鹿島で遠州鉄道、新所原で東海道線と接続しています。
2時間に1本程度のローカル線だった旧・国鉄二俣線から転換され、今年で30年。
今は毎時1本以上の列車が運行され、クルマ社会の中で頑張っています。

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車窓の浜名湖

社名に“浜名湖”が入る以上、車窓にも浜名湖が広がる区間があります。
特に気賀~三ケ日間は、車窓からよく浜名湖が見える区間。
この“奥浜名湖”と云われるエリアは、波も静かでどこか懐かしい雰囲気です。
「浜名湖」は、旧国名・遠江(とおとうみ)の由来となったと云われます。
ちなみに、この地の豪族・井伊氏は江戸時代、遠江から近江へ移ったのも興味深いところ。

bl170213-3(浜名湖佐久米駅)

天竜浜名湖鉄道・浜名湖佐久米駅

浜名湖に面した「天竜浜名湖鉄道」の駅といえば、浜名湖佐久米(さくめ)駅。
湖に面してはいますが、実は目の前が東名高速道路。
東名高速が通る前は、それは長閑で美しい景色だったに違いありません。
当時は、景観より開発のほうにウェイトが置かれていたということなんでしょう。
最近は冬場、ユリカモメが集まる駅として知られています。(今冬は餌付けを自粛)

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天竜浜名湖鉄道・新所原駅

気賀駅からおよそ40分で「天竜浜名湖鉄道」の終点・新所原駅に到着。
新所原はギリギリ静岡、目の前は愛知という“県境の駅”です。
国鉄時代は、東海道本線・豊橋まで直通していた二俣線の列車もありました。
天下の東海道線をキハ20がトコトコ走る様子・・・、想像するだけでも面白そう。
JRの駅も建て替えられた今、天竜浜名湖鉄道は駅の片隅で発着しています。

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天竜浜名湖鉄道・新所原駅改札口

さて、天竜浜名湖鉄道の改札を通り抜けようとしますと・・・何やら香ばしい匂いが!
なんと新所原駅、駅舎にうなぎ屋さんが入っているのです。
しかも、この「やまよし」といううなぎ屋さん、元はうなぎの養殖業者。
それゆえ窓にも“日本で唯一、元生産者が作るうなぎ駅弁当”の文字が躍ります。
たぶん新所原駅、日本一“いい匂いのする”ローカル線の駅ではないでしょうか?

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駅のうなぎ屋・やまよし

改札を抜け、お店の正面に回ると窓口があって、ココで注文します。
「駅のうなぎ屋 やまよし」の「うなぎ弁当」は3種類。
うなぎの量で価格が決まり、1,300円(一切れ)、1,600円(二切れ)、2,100円(一匹)となります。
駅ナカのうなぎ屋さんも珍しいですが、しかもお店の人がうなぎのエキスパート!
これは「うなぎ弁当」を食べずには、新所原駅から下りられません。

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うなぎ弁当

今回は、事前に予約して「うなぎ弁当(一匹入)」(2,100円)をいただきました。
掛け紙が無いのが残念ですが、地元の新聞に包んだ状態で手渡してくれました。
「『うなぎ弁当』を少しでも温かい状態で食べてほしい」という思いで新聞紙に包んでいるそう。
その心遣いが、何とも温かい!
(「駅のうなぎ屋 やまよし」電話:053-577-4181、営業時間10:30~18:30、火曜定休)

bl170213-8(うなぎ弁当)

うなぎ弁当

温もりのある包みと、キチンとパッケージされたふたを外すと、ん~!いい匂い!!
タレのいっぱいかかった白いご飯の上に、うなぎの蒲焼が一面に広がっています。
焼き方は蒸さない関西風ということで、表面がパリッとした食感なのが特徴。
白焼の段階から、こんがり焦げ目が付くように焼き上げているそうです。
この日は、地元・浜名湖産のうなぎを使用とのこと。
コレを列車の中でいただいたら、周りの皆さんが羨むこと間違いありません。

bl170213-9(うなぎ弁当)

うなぎ弁当

山椒をパラッと振って、甘いたれとバランスを取りながらいただきます。
お店の方によると、「うなぎ」には、季節ごとの美味しさがあるといいます。
一般に夏場は若いうなぎが多いので柔らかい食感が楽しめるのだとか。
秋から冬にかけては、大きくなるので脂が乗る分、皮などは硬めな「大人」の味になるそう。
ちなみに、よく出ているのは1,600円と2,100円の「うなぎ弁当」とのこと。
1,300円は、少量食べられればいいという女性の方に人気なんだそうです。
うなぎの薀蓄を聞くことが出来る上に、「うなぎ弁当」は比較的良心的な価格帯。
天竜浜名湖鉄道に揺られながら、浜名湖を眺めてのんびり頂くのがお薦めです。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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