京王百貨店・新宿店「第52回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」開幕!ズバリ伝授・駅弁大会の楽しみ方三原則!!【ライター望月の駅弁膝栗毛】

By -  公開:  更新:

bl170113-1(京王8000系)

京王8000系

東京・山手線のターミナル駅を起点に、郊外に向かって伸びる私鉄各線。
新宿を起点に、甲州街道に沿って、多摩地区へ線路を伸ばしたのが京王電鉄です。
特に昭和38(1963)年には、新宿駅の地下化に合わせて、新宿~東八王子(現・京王八王子)間に看板列車の「特急」をデビューさせました。
平成4(1992)年のデビューから四半世紀、特急から各停まで幅広く活躍するのは8000系電車。
放送作家の仕事では、資料集めのために八幡山駅が最寄りの大宅壮一文庫へ通ったりするので、京王線は私鉄の中でも愛着のある路線なんですよね。

bl170113-2(京王百貨店)

京王百貨店新宿店

新宿駅の地下化、特急運行開始の翌年、昭和39(1964)年に行われた東京オリンピック。
京王線に並行する甲州街道はマラソンコースでしたから、沿線は大きく盛り上がったことでしょう。
そんなオリンピックの興奮冷めやらぬ中、昭和39(1964)年11月1日に、新宿駅の駅ビルにオープンしたのが「京王百貨店(新宿店)」。
開店初日の来店客が40万人を超え、当時、百貨店入店客の新記録といわれたとか。
その開店の2年後、昭和41(1966)年2月、今も続くあの「催事」が始まりました。
(参考:京王百貨店ホームページ

bl170113-3(駅弁大会)

京王百貨店新宿店7階大催場

今回で52回目となった「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」!
全国各社の駅弁が揃うことから、人呼んで「駅弁の甲子園」。
首都圏を代表する「駅弁大会」として、13日間の会期中に売上高およそ「6億円」という、百貨店の催事としては最大級の規模を誇ります。
これに合わせて「新作」を投入する駅弁屋さんもあり、駅弁好きとしても大注目のイベント。
今年も昨日(1/12)からスタート、私も初日の夕方に訪問し、この催事の責任者となって5年という京王百貨店新宿店の永井充規(ながい・みつのり)さんにお話を伺いました。

bl170113-4(永井マネージャー)

京王百貨店新宿店・永井マネージャー

―52回目を迎えた今回、最も工夫された点は?

名物企画である「対決企画」が、4本立てになっている点です。
中でも、今年が平成「29」年ということで、肉(にく)弁当の中でも、非常に人気の高い「牛肉」の弁当の“頂上対決”として、5つのお弁当を盛り込みました。

bl170113-5(牛肉駅弁頂上対決)

牛肉駅弁頂上対決~松江駅・一文字家「島根牛すき焼き煮切丼」販売ブース

bl170113-6(黄金の弁当対決)

海の幸 黄金の弁当対決~福井駅・番匠「黄金のウニ・かに合戦」販売ブース

bl170113-7(海鮮陶器駅弁対決)

海鮮陶器駅弁対決~小淵沢駅・丸政「元気鮑(かい)」販売ブース

bl170113-8(トントン対決)

トントン対決~出水駅・松栄軒「かごんま黒豚角煮とみそ焼き弁当」販売ブース

―やっぱり「対決企画」は盛り上がるんですか?

実はウチの駅弁大会の売り上げが跳ね上がったのは、「対決企画」が始めてからなんです。
それ以来、全社で(対決の)アイディアを出しながら、みんなで作り上げてきています。
そのアイディアの中から10くらいに絞って、最終的にこの4つになりました。
※参考:対決シリーズのスタートは、第33回(1998年)から。

bl170113-9(玉屋)

玉屋旅館「奥久慈しゃも弁当」販売ブース

―いろんな駅弁屋さんが出店されていますが、出店いただくのに、かなりご苦労された所もあるんですか?

初出店なんですが、「奥久慈しゃも弁当」の玉屋旅館さん(水郡線・常陸大子駅)でしょうか。
随分前に一度、ご連絡させていただいたことがあるんですが、その時は人の都合がつかず、ご出店いただくことが出来ませんでした。
今回、やっと状況が整って、ご出店いただくことが出来ました。

bl170113-10(奥久慈しゃも弁当)

奥久慈しゃも弁当

【望月の補足解説】
「奥久慈しゃも弁当」が売られているのは、茨城の水戸と福島の郡山を結ぶ水郡線(すいぐんせん)のほぼ中間にある「常陸大子駅(ひたちだいご・えき)」。
日本三名瀑の1つ「袋田の滝」のある町ということで、掛け紙にも滝の画像が使われています。
この常陸大子唯一の駅弁が、「奥久慈しゃも弁当」(1000円)。
普段は改札をいったん出て、駅前の旅館まで行って買い求めるのが基本。
私自身は、常陸大子で20分あまり停車する各駅停車の途中で、買いに行ったこともあります。

bl170113-11(奥久慈しゃも弁当)

奥久慈しゃも弁当

奥久慈しゃもは、全国地鶏味品評会で1位に輝いたこともあるブランド鶏。
このしゃものモモとムネ肉、奥久慈しゃもの卵を使った炒り玉子も入っています。
ただ、玉屋旅館は3姉妹で営む、比較的小さな駅前旅館。
私も玉屋さんが出られると聞いて、正直ビックリしました。
初出店のせいか、初日は食材の補給のタイミングなどで、苦労されていた様子が伺えましたが、もしも長い列になってしまっても、一度並んだ方は温かい目で見守ってほしい・・・。
この駅弁屋さんが出てこられたことは、ほとんど奇跡と言っていいと思います。
1週目限定、ローカル線の素朴な手作り駅弁、コレは味わう価値、大アリです!!

―まだまだ、ご苦労された点もあるでしょうね?

出店には至らなかったんですが、熊本県の南阿蘇鉄道・立野駅の「南鉄鳥めし弁当」です。
最終的には「輸送駅弁」という形になりましたが、(熊本地震の)大きな被害を受けた地域に、少しでもお力になれれば・・・という思いで取り組んでいます。

bl170113-12(カイロ堂)

佐世保線・武雄温泉駅弁・カイロ堂「佐賀牛ロースステーキ&カルビ弁当」販売ブース

―首都圏にお住まいの方が普段、あまり目にすることが出来ない駅弁で、これはぜひチェックしておいてほしいというものは?

佐賀県・武雄温泉駅弁、カイロ堂の新作「佐賀牛ロースステーキ&カルビ弁当」です。
コレは他ではなかなか出せません!
佐賀牛自体の美味しさはもちろん、完成度も非常に高いお弁当なので、ぜひ一度味わっていただきたいなぁと思います。

bl170113-13(佐賀牛弁当)

佐賀牛ロースステーキ&カルビ弁当

【望月の補足解説】
武雄温泉駅は、佐賀県の肥前山口と長崎県の佐世保を結ぶJR佐世保線の駅。
武雄温泉や嬉野温泉の玄関口となっており、長崎新幹線が出来れば、停車駅になります。
佐賀牛の駅弁と聞いても、東京の人はピンと来ないかもしれませんが、実は九州では大有名!
調製元のカイロ堂は、JR九州の「九州駅弁グランプリ」で3連覇した実績を持っているんです。
その九州有数の実力派駅弁屋さんの味が味わえる、貴重な機会なんですね。

bl170113-14(佐賀牛弁当)

佐賀牛ロースステーキ&カルビ弁当

カイロ堂は、地元で佐賀牛のA5ランクの肉を使ったすき焼き駅弁を1300円で出しています。
以前、「九州駅弁グランプリ」の際に、マネージャーの池田さんに伺ったことがあるのですが、同じグループに焼肉屋さんがあって仕入れを共通化、半頭買いなどでコストダウンしているとのこと。
今回の新作は「1998円」と強気の価格設定ですが、恐らく普通の駅弁屋さんなら、もっと高騰してもおかしくないような肉を使ってきていることが推察されます。
「佐賀牛ってこんなに美味しいの!」という体験をぜひ!!

―「駅弁大会」のお薦めの楽しみ方は?

インターネットをご覧いただけるようでしたら「京王百貨店」のホームページに「第52回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」の特設サイトが開設されています。
チェックしていただけたら、特集の内容や楽しみ方が出ていたり、折り込みチラシがダウンロードできるようになっています。
また、実食レポートも出ていますので、そこでまず情報を得ていただけたらと思います。

bl170113-15(駅弁シェア)

みんなで駅弁シェアを!

―いつごろ来るのがイイですか?

やっぱり平日ですね。
だいたい月曜日と火曜日が、比較的お客様が少ない曜日になります。
平日にお時間のある方は、普段よりもいろんなものが見られて、短い時間でお求めいただけるかと思います。
あと、開店直後からお昼くらいまでは、非常に混雑する時間帯ですので、午後2時~3時くらいですと、ちょっとした“空白の時間帯”になることがあります。
あと、出来れば「数人(グループ)」でいらしていただくと、いろんな駅弁を手に入れやすいです。
どうしても人気の駅弁は、実演駅弁も輸送駅弁も列が出来てしまうことがあって、お1人で全部希望の物を手に入れようとすると、時間がかかってしまいます。
ですので、仲間で分かれて列に並んでいただいて、シェアしていただくと、いろんな駅弁を楽しんでいただけるのではないかと思います。

bl170113-16(輸送駅弁)

輸送駅弁の販売、松阪駅・あら竹「特撰元祖牛肉弁当」など

―初日の手応えはいかがですか?

初日から大勢のお客様に来ていただき、順調に売り上げが伸びている状況です。
手応えは感じています。
この調子で13日間、しっかりお届けしていきたいと思います。

永井マネージャーに伺ったお話から云える「駅弁大会」を楽しむ三原則はコチラ!

【駅弁大会を楽しむ3原則】
①まずはネットで予習!
②平日昼過ぎが穴場!
③駅弁は仲間とシェア!

さあ、まだまだ「駅弁の甲子園」は開幕したばかり。
東京・都心部で気軽に全国の「駅弁」を味わえる貴重な機会です。
まずは足を運んで、ニッポンの駅弁文化のパワーを感じてみてはいかがでしょうか?

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

Page top