名古屋駅「松浦のみそカツ」(980円)~「君の名は。」に出てきた「駅弁の名は。」?【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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キハ85系・特急「(ワイドビュー)ひだ」

キハ85系・特急「(ワイドビュー)ひだ」

名古屋駅で発車を待つのは、岐阜から高山本線に入る特急「(ワイドビュー)ひだ」。
JR東海“ワイドビュー特急”の元祖、平成元(1989)年デビューのキハ85系が活躍しています。

特急「(ワイドビュー)ひだ」は今年、大きな注目を浴びました。
邦画では15年ぶりに興行収入200億円を突破した映画「君の名は。」に「ひだ」が登場、しかも「駅弁」とみられる食べ物が登場しているとの情報も・・・。
そこで、どんな駅弁が出ているのか確かめるためだけに「君の名は。」を観てきました。

キハ85系・特急「(ワイドビュー)ひだ」

キハ85系・特急「(ワイドビュー)ひだ」

【念のため、ネタバレ注意】
●「(ワイドビュー)ひだ」下り列車で数秒間、駅弁を食べているシーンがある。
●駅弁の中身は「みそカツ」(これがかなり美味しそう!)。
●包装(掛け紙)の右下に「愛嬌のある豚の絵」が描かれている。

これらの状況を鑑みて、私が特定した「君の名は。」のモチーフになった「駅弁の名は」???

松浦のみそカツ

松浦のみそカツ

名古屋駅で販売されている「松浦のみそカツ」(980円)!
調製元は、大正11(1922)年創業、名古屋駅弁の老舗「松浦商店」です。

決め手となったのは、やはり豚の絵が描かれた包装でした。
名古屋駅最大の駅弁売場・コンコースのKIOSKの陳列棚でチェックしたところ、名古屋の「みそカツ」駅弁で豚の絵が描かれているのは3つ。
このうち右下に「愛嬌のある豚の絵」があったのは「松浦のみそカツ」でした。

松浦のみそカツ

松浦のみそカツ

加えて、もう1つ「松浦のみそカツ」に絞ったポイントは、名古屋駅の売店位置。

時刻表によると特急「(ワイドビューひだ)」は、全て名古屋駅11番線から発車します。
11番線には岐阜寄りに「松浦商店」、金山寄りに「JR東海パッセンジャーズ」の売店があります。
名古屋駅で観察すると「ひだ」は、比較的岐阜寄りに停車している様子。
また、貫通扉のある車両が岐阜寄りで、目的地が飛騨古川であることを考えると、名古屋9:39発「ひだ5号」飛騨古川行あたりが有力候補。
それというのも「ひだ5号」は、岐阜で大阪からの「ひだ25号」を併結しますから、貫通扉のある車両が岐阜寄りに来るのです。
さらに登場人物の若さを考慮すると「自由席」利用が一般的で、「ひだ5号」の自由席は最も岐阜寄りの5号車。

これら様々な状況を総合すると「松浦商店」の駅弁を購入した可能性が高い訳なんです。

松浦のみそカツ

松浦のみそカツ

「松浦のみそカツ」は、2010年の「松浦商店」創業88周年を記念して登場した、岡崎「カクキュー」の八丁味噌を使用したみそカツ駅弁です。
「豚の絵」が描かれた紙ふたを開けると、早速八丁味噌の香りがフワッとして「名古屋エリアに来たなぁ」という気持ちになります。
お好みですりごまをふりかけて、付添の辛子を付けていただきます。

カツには熟成豚ロース肉を使用、冷めても柔らかい肉とサクッとした衣の食感は、映画以上の感動かも!?
かなりのボリューム(1,119kcal)なので、特に映画の登場人物のような“若い子”にはたまらない筈、年末の元気をガツンと出したい時に丁度よさそうです。

松浦のみそカツ

松浦のみそカツ

松浦商店の方も自社駅弁をモチーフとした弁当が出ているのを知ったのは、公開後しばらくして映画を観てからなんだそう。
秋以降「松浦のみそカツ」も“激しく”出ていて、映画効果を実感しているようです。

ちなみに包装に描かれている“豚の名は”「松浦トン平」。
大正11年、名古屋生まれの名古屋育ちです。
私も映画を観て、改めて「ニッポンの鉄道と駅弁のある風景」はイイなぁと思いました。

キハ85系・特急「(ワイドビュー)ひだ」飛騨古川駅にて2009年筆者撮影

キハ85系・特急「(ワイドビュー)ひだ」飛騨古川駅にて2009年筆者撮影

「君の名は。」人気を受けてJR東海も映画とタイアップした「記念TOICA」の発売を決定。
在来線バージョンは、飛騨古川駅の特急「(ワイドビュー)ひだ」になるようです。
ちなみにこの記念TOICA、JR30周年のメモリアルということで、同時に懐かしのTVCM「クリスマス・エクスプレス」バージョンも登場予定。
しかも、平成元(1989)年放映の牧瀬里穂さんバージョン・・・コレは欲しいかも!?
発売方法の発表は来年ということですが、年の瀬にちょっぴり嬉しいクリスマスプレゼントが届いた気分になりました。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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