新たな「人間失格」、アニメーションだからこそなし得た境地!

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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第736回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。支配人の八雲ふみねです。シネマアナリストの八雲ふみねが観ると誰かにしゃベりたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

 

今回は、全国公開中の『HUMAN LOST 人間失格』を掘り起こします。

新たな「人間失格」、アニメーションだからこそなし得た境地!

ニッポン放送「しゃベルシネマ」

太宰治の傑作小説「人間失格」を大胆にアレンジした、SFダークヒーローアクション

昭和111年、東京。人々は医療の革命的な発達により、病とは無縁で、傷の手当ても必要としない、死を克服した生活を送っていた。

大気汚染と貧困の広がる環状16号線外に位置する“アウトサイド”で、薬物に溺れ怠惰に暮らす大庭葉蔵は、ある日、暴走集団とともに特権階級が住む環状7号線内“インサイド”へ突貫し、激しい闘争に巻き込まれる。

そこで“ロスト体”と呼ばれる異形体に遭遇した葉蔵は、不思議な力を持った女性・柊美子に命を救われ、さらに自身も人とは違う力を持っていることを知る。

暴走集団に薬をばらまきロスト体を生み出していたのは、葉蔵や美子と同じ力を持つ男・堀木正雄だった。正雄は言う。「進みすぎた社会システムに、人間はすべて“失格”した」と。

死への逃避を奪われ、人ならざる者となった大庭葉蔵。平均寿命120歳を祝う人類初の“人間合格式”を100日後にひかえ、その果てに、彼が選択するものとは…。

新たな「人間失格」、アニメーションだからこそなし得た境地!

ニッポン放送「しゃベルシネマ」

「恥の多い生涯を送って来ました。」

衝撃的な告白から始まる、太宰治の代表作「人間失格」。深い死生観や文学性で知られる名作小説を、SFダークヒーローアクションへと大胆にアレンジしたオリジナルアニメーション映画『HUMAN LOST 人間失格』が、全国公開となりました。

新たな「人間失格」、アニメーションだからこそなし得た境地!

ニッポン放送「しゃベルシネマ」

“古典文学とSFアクションの融合”という、これまで誰も実現し得なかったプロジェクトに集結したのは、日本屈指のクリエイター陣。

スーパーバイザーに『PSYCHO-PASS サイコパス』の本広克行、監督に『アフロサムライ』の木﨑文智。そして脚本を手がけたのは、太宰治と同じ小説家であり、日本SF大賞ほか数々の賞を受賞して来た冲方丁。

東京タワー上での衝撃的な切腹シーンを皮切りに、予想だにしない世界観と迫力のアクションシーンが怒涛のごとく展開します。

新たな「人間失格」、アニメーションだからこそなし得た境地!

ニッポン放送「しゃベルシネマ」

「無病長寿大国・日本」「GDP世界第1位」「年金1億円支給」など、昭和111年を象徴するキーワードは、刺激的なものばかり。「近い将来、こうした未来になる可能性があるのでは…」といった思いが頭をよぎる一方で、そうした世の中が現実となったときの恐怖さえも感じられる本作。

あまりにも純文学からかけ離れた作品のように思われるかもしれませんが、実は登場人物の関係性は原案から踏襲されているなど、観れば観るほど太宰治の精神性が内包されていることに気づかされることでしょう。

まったく別次元に置き換えて、新たな「人間失格」を構築する。これぞ、アニメーションだからこそ実現できた境地と言えるでしょう。

新たな「人間失格」、アニメーションだからこそなし得た境地!

ニッポン放送「しゃベルシネマ」

『HUMAN LOST 人間失格』

2019年11月29日(金)から全国ロードショー
原案:太宰治「人間失格」より
監督:木﨑文智
スーパーバイザー:本広克行
ストーリー原案・脚本:冲方丁
キャラクターデザイン:コザキユースケ
コンセプトアート:富安健一郎(INEI)
音楽:菅野祐悟
主題歌:m-flo「HUMAN LOST feat. J. Balvin」(rhythm zone/LDH MUSIC)
声の出演:宮野真守、花澤香菜、櫻井孝宏、福山潤、松田健一郎、小山力也、沢城みゆき、千菅春香
(C)2019 HUMAN LOST Project
公式サイト https://human-lost.jp/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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