あけの語りびと

海蔵亮太が第61回レコード大賞・新人賞で歌う『愛のカタチ』

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それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

「海蔵亮太オフィシャルサイト」より

2019年も残りの日数が少なくなって来ました。気の早い職場では「おい、忘年会はどうするんだ?」という声が飛ぶころです。負けず嫌いのお父さんは、カラオケの自主トレを始めなければなりません。

ところで、カラオケの世界大会があるのをご存じでしょうか? 世界各国代表のアマチュアシンガーによる、カラオケ世界No.1決定戦「KARAOKE WORLD CHAMPION SHIPS」は、世界40ヵ国の国と地域のアマチュアシンガーたちが集結する世界大会。2003年の第1回大会から、これまで毎年開催され、日本は2012年から参戦しています。

この世界カラオケ大会の2016年男性部門と2017年デュエット部門では、日本人のチャンピオンが誕生しています。その人の名は、海蔵亮太さん・29歳。

海蔵亮太『愛のカタチ』(※画像はAmazonより)

海蔵亮太さんは去年(2018年)6月のデビュー以来、お年寄りの病院や介護施設を訪れて、情感あふれる歌声を届け続けて来ました。ある看護師さんからは、「ホスピタルプリンス」=「ホスプリ」という異名をもらったと言います。

ホスピタルプリンス=病院の王子様。このニックネームを、ご本人はどう思っているのでしょうか? うかがってみました。

「本名の『海蔵』が珍しい名前なので、覚えにくいと思うんです。でも『ホスプリ』なら、すぐに親しんでもらえそうです」と、このニックネームにまんざらでもなさそうです。

病院でのライブは1時間ほど。その中身は、懐かしの歌謡曲から童謡・唱歌まで、お年寄りに心から楽しんでいただけるメニューです。「上を向いて歩こう」や「喝采」などを、一緒に口ずさむ人、うなずきながら耳を傾ける人…。

けれども、海蔵さんのデビュー曲『愛のカタチ』のイントロが流れると、お年寄りたちの背筋がすっと伸び、その集中力が一挙に高まるような気がすると言います。みなさんはまるで、これがどんな歌なのかを知っているかのようです。

海蔵亮太『Communication』(※画像はAmazonより)

『愛のカタチ』を作詞・作曲したのは、シンガーソングライターの中村つよしさん。いまも発声の指導者として活躍されている方です。

自分のおばあさんが認知症を発症して、何もかもがわからなくなって行くなか、65年間連れ添ったおじいさんの名前だけは最後まで忘れなかった…。この愛情あふれるエピソードを歌にしたのが、11年前でした。

楽しかった日々、辛かった出来事、大笑いした時間、涙したあの日、家族の顔と名前…自分の人生を織りなす全てのことが消えて行く。その怖さと悲しさは、いかばかりのことでしょう。けれどもそのなかで、たった1つだけ忘れられないものがあるとすれば、それこそが自分が生きた証、愛のカタチ…。

デビュー曲を探すなかで、この歌にめぐり合った海蔵さんは、すぐに自分のおじいさん=茂さんのことを想い出したと言います。九州男児で寡黙な漁師だった茂さんもまた、認知症を発症して入院。

「お見舞いに行くたびに思ったんです。病院には音楽が少ないなぁと」…海蔵さんがお年寄りの介護施設で歌い続ける原点が、ここにありました。

海蔵亮太『愛のカタチ(スペシャル盤)』(※画像はAmazonより)

やがて、おじいさんは子どもや孫の顔を忘れ、名前を忘れて行きますが、長年連れ添って来たおばあさん=クキさんのことだけはわかったと言います。「だからこの歌に出会ったとき、運命を感じたんです」と海蔵さんは言います。

「本当は、厳格だった祖父のことをあんまり好きじゃなかった。でもいま、この歌を歌うたびに思うんです。おばあちゃんを幸せにしてくれてありがとう!」

これまで訪れた病院や介護施設では、いろいろな出会いがありました。ほんの数分で記憶がなくなってしまうおばあさんは、海蔵さんの歌も顔も忘れてしまっているはずでしたが、前に一緒に写した写真を見せると、目をうるませて「うれしい!」と再会を喜んでくれたそうです。「歌のチカラというものを感じました!」と、海蔵さんは声を弾ませます。

今年(2019年)の第61回『輝く! 日本レコード大賞 新人賞』に選ばれた海蔵亮太さん。12月30日の夜、『愛のカタチ』の熱唱が楽しみです。

海蔵亮太 公式ツイッターより(2019年11月16日掲載の写真)

上柳昌彦 あさぼらけ
FM93AM1242ニッポン放送 月曜 5:00-6:00 火-金 4:30-6:00

朗読BGM作曲・演奏 森丘ヒロキ

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