ペット同伴避難が認められず自宅に留まる~筆者の台風襲来時の体験記~

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【ペットと一緒に vol.168】by 臼井京音

ペット同伴避難が認められず自宅に留まる~筆者の台風襲来時の体験記~

筆者は台風による災害が起こりうる地域に暮らしています。愛犬2頭を連れて避難所へ行こうか迷った実体験を、今回はつづります。人とペットの防災のプロにも、最新のペット防災対策に関するアドバイスを聞きました。

 

区役所にペット同行避難について尋ねると……

筆者はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。1頭は14歳半、もう1頭は10歳半。1週間ほど前に筆者の暮らす関東を直撃した令和元年台風19号が近づいて来た際、筆者は愛犬と同行避難をしようか迷いました。自宅が丘の斜面に建っていて、土砂災害警戒区域に指定されているからです。

2019年初秋に関東に大きな被害をもたらした台風15号が来襲した際に、実際に避難勧告が出されたというのも、今回避難をするか検討した理由のひとつでした。

ペット同伴避難が認められず自宅に留まる~筆者の台風襲来時の体験記~

愛犬2頭はシニアドッグとハイニシアドッグ

筆者の暮らす地域の避難所について、台風15号が過ぎたあとで、筆者は最新の情報を得るために区役所に確認の電話をしていました。

これまで筆者はペット同行避難の訓練に立ち会ったりと取材を重ねて来ましたが、多くは大地震を想定したものが多く、ペットは小学校の校庭にケージに入れて待機させるところも少なくありません。実際に、東日本大震災の発災後は、犬は校庭にリードでつなぐといった対応をした避難所も多数ありました。

犬や猫に対するアレルギーを持っている方もいるので、ペットを避難所のどこで過ごさせるかは慎重に検討する必要があるでしょう。けれども、台風による暴風雨で荒れる校庭に、さすがに飼い主と同行避難して来たペットを留まらせるのは不可能です。

昨今増加している水害を想定したものに、避難所の対応も変化しているかもしれません。そこで、筆者はあらためて尋ねてみたのです。

ペット同伴避難が認められず自宅に留まる~筆者の台風襲来時の体験記~

避難所ではクレートに落ち着いて入っていられるよう、日ごろから自分のにおいをつけて、リビングなどに置いておき練習を

区役所の返答によると、区内の避難所のうち半数近くはペットとの同行避難は可能ですが、室内に飼い主と同居する同伴避難は1ヵ所も認められていませんでした。ですが台風のさなかなどは、ペットは風雨を避けられる場所でケージに入れておくとのこと。

 

愛犬2頭を抱えて避難するか迷った末

結局筆者は、今回は避難所には行かず自宅で過ごしました。ペットと暮らしていない近隣の知人は、避難したようでしたが……。

筆者宅には、マイカーがありません。なので、避難をするとなると徒歩か、公共の交通機関で避難所に向かいます。発災後は、マイカーで車中泊をして愛犬や愛猫と生活する飼い主さんも多いようですが、マイカーがないとそれは不可能なのと、そもそも強風が吹き荒れるなかでのマイカー滞在は危険なのでできません。

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犬2頭と避難する場合はこのような感じになると筆者は想定しています(写真は、カートもついた背負えるペットキャリーバッグ)

今回、避難勧告が出たときにはすでに屋外で強い雨が降っていました。その状況で、老犬を抱えて避難所に徒歩で向かうのは現実的ではありません。理想的には、まだ雨が降っていないうちに避難することでしたが、雨が降る前には避難所は開設していませんでした。そして何より、同行避難はできても同伴避難ができない点で、筆者は避難所へ行きませんでした。

 

ツイッターの情報が頼り

土砂災害が発生しないように祈りながら、筆者が自宅でツイッターを見ていると、隣接する区の避難所ではペットとの同伴避難が可能であることがわかりました。ペットと同室で過ごしている飼い主さんもいるようです。けれども、そこは徒歩では行けない場所。電車で数駅のところですが、すでに計画運休で公共の交通機関は利用できません。

その避難所がペット同伴避難が可能だと、どこかのサイト上に情報があったのか気になり、筆者はネット検索をしてみましたが見つけられませんでした。実際には、ペット同行避難が可能な場所を探そうとネット検索しても、その情報は簡単には得られません。これは、各自治体で今後ぜひ改善をしていだきたいポイントだと筆者は感じています。

ペット同行避難や同伴避難がどこの避難所で可能か否かの情報を、個人のツイッターでしかなかなか見つけられない状況にため息を漏らしていた筆者は、さいたま市広報課のツイッターを発見。せめてこのような発信が、今後は広がるように望まずにはいられません。

ペット同伴避難が認められず自宅に留まる~筆者の台風襲来時の体験記~

さいたま市広報課のツイッターのスクリーンショット

ちなみに、居住する市区町村以外の避難所も利用できることを、筆者は区役所に先日電話で確認をしました。

 

動物看護師でもある防災士が語る防災対策

台風19号関連の報道によると、浸水被害時に「猫を飼っていて避難できなくて」と語る中学1年生が、消防ボートで自宅の2階から救助されたそうです。ペットがいるために自宅に残った筆者に、まるで他人事とは思えないニュースでした。

防災士とペット災害危機管理士の資格を持つ、動物看護師の村井知美さんは、次のように語ります。

「避難先は、自治体が開設する避難所だけを検討すると困ってしまうかもしれません。台風のように事前に危険性が予測できる場合、土砂災害や浸水のリスクが低いペットホテルや知人宅に愛犬や愛猫を預けておき、いざとなったら飼い主さんだけが避難所に避難することもできます。実際に、ペット災害危機管理士の仲間のひとりは、安全に移動できるうちに愛鳥4羽と安全性の高い地域に暮らす親戚宅に避難していました」。

ペット同伴避難が認められず自宅に留まる~筆者の台風襲来時の体験記~

筆者が備えている愛犬のための備蓄品

村井さんによると、ドッグフードの備蓄は5日分以上、すぐに手に入りにくい処方食や薬は、理想的には1ヵ月分は備蓄しておくべきだそうです。

「人間とは違って動物の薬には“おくすり手帳”もありませんし、実は愛犬や愛猫が飲んでいる薬の名称を知らない飼い主さんが多いんです。発災後にかかりつけ医から薬を処方してもらえるとは限らないので、愛犬や愛猫に必要な薬の名称は、動物病院で薬名を聞いてメモしておくなど、ぜひ把握を」とも、村井さんは強調します。

家族の一員であるペットと自身の命を守れるよう、ハード面でもソフト面でも日頃から備えておかねばならないと、今回の件で筆者は再度実感しました。

くわえて、様々な工夫や町内会の方々の理解によってペットとの同伴避難が可能な場所が増えるよう、一飼い主として強く願わずにはいられません。

連載情報

ペットと一緒に

ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!

著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。

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