商品ジャーナリスト・北村森~これからの伝統工芸はAIと人間のコラボレーションとなる

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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、株式会社「ものめぐり」の商品ジャーナリスト、北村森が出演。これからの日本のものづくりについて語った。

黒木)今週のゲストは株式会社「ものめぐり」商品ジャーナリストの北村森さんです。これからの日本のものづくりは、どうなって行くのでしょうか?

北村)これは僕に限らずほとんどの人がおっしゃっていますが、人工知能、AIです。家電製品からおもちゃに至るまで、さまざまな分野でそうなるでしょう。日本のものづくりは、無機質なものに情緒や愛嬌を込めて行くのが得意なのです。その意味では、日本に可能性があると思います。犬型ロボット、人型ロボットなどがまさにそうです。我々の国のお家芸かもしれません。

黒木)日本の伝統工芸は、AIにできるものなのですか?

北村)僕はAIは万能ではないと思っています。山形県に金型の設計・製造からプラスチック成型までを手がける、IBUKI(いぶき)という会社があります。僕はいまジャーナリストの会社を離れて、これまで世の中に存在していなかったようなプラスチック製のグラスを作ろうと、一緒にやっています。プラスチックのグラスを作るには、鉄の合金ですごく大きな金型が必要なのです。そこにプラスチックを流し込んでつくります。金型は、いまは機械で全部削れるかと思っていたのですが、機械だけでは駄目なのです。金型を作った後、最後はミクロン単位で1ヵ月くらいかけて、1人の人間が付きっ切りで磨いて行くのです。そこはやはり人間のカンや、経験が必要になります。AIにはAIの大事な部分があって、意味がある。その反面で人間の勘どころとか、手で触ったときの、何か確信を得るセンサーのようなものがあります。これはけんかするものではなくて、両方が大事なのだと思っています。

黒木)共存というか、楽しむというか。いい感じで相乗効果が出るといいということですね。北村さんご自身が、これから取材に行きたい場所やものはありますか?

北村)あります。福岡県なのですが、何かと言うと「角打ち」です。北九州では、酒屋さんの一角で飲める「角打ち」の文化が根付いているのです。

黒木)ありましたね。

北村)いまも頑張っている店があるのです。僕は北九州のそういうお店を、まだ巡ったことがないのですよ。だから行きたい。なぜ行きたいかと言うと、朝から酒が飲める文化が根付いている街は、食文化が深いと確信しています。いままで全国のいろいろな街を巡っていて、仕事が終わって1泊した朝、時間に余裕がある限り、「朝飲み」の店があったら立ち寄るようにしています。本当にいいのですよ。時間としても贅沢なのですけれど、思わぬものが出て来ます。

黒木)つまみで、ですか?

北村)つまみで。北海道に行けば、色が漂うようなサンマのお刺身が、旬の時期になると出て来る。そして地酒で一杯やると、面白いですよ。

商品ジャーナリスト・北村森~これからの伝統工芸はAIと人間のコラボレーションとなる

北村森(きたむら・もり)/株式会社「ものめぐり」商品ジャーナリスト

■1966年、富山県生まれ。慶應義塾大学卒業。
■1992年、日経ホーム出版社に入社。編集者兼記者として活動。
■2005年、「日経トレンディ」編集長に就任。2007年からは発行人を兼務。「消費者がお金で買えるもの全てをテーマに据える」を旗印に、低落傾向にあった販売部数を大きく立て直すことに成功。
■2008年に独立、フリージャーナリストの道へ。また編集者として活動する傍ら、メディアにも積極的に出演。2017年にはサイバー大学IT総合学部教授に就任。
■現在は、取材した日本のものづくりのいまを雑誌やWebで執筆する他、メディアにも数多く出演。海外も含め多忙な取材活動を行っている。

ENEOSプレゼンツ あさナビ(10月4日放送分より)
FM93AM1242 ニッポン放送 月-金 6:43-6:49

番組情報

黒木瞳のあさナビ

毎週月曜〜金曜 6:41 - 6:47

番組HP

毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳

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