「北朝鮮が核を撃ち込むことはない」と思っている韓国国民の危うさ

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月7日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。ゲストを交え、韓国の北朝鮮に関する安全保障の捉え方を解説した。

米朝実務協議に出席した北朝鮮の金明吉首席代表(右から3人目)=2019年10月5日、ストックホルム郊外(共同) 写真提供:共同通信社

米朝実務者協議~米と北、成果で食い違い

アメリカと北朝鮮は現地5日、スウェーデンのストックホルムで非核化をめぐる実務者協議を開いたが、アメリカの「2週間後に再協議する」との前向きな姿勢に対し、北朝鮮は「事実無根、交渉は決裂」と表明。非核化をめぐる米朝の隔たりの大きさを、改めて露呈した形になった。

飯田)2月以来の米朝実務者協議で、8時間以上に及んだということですが、事実上の物別れに終わっています。日本時間では6日の早朝に来ましたよね。

須田)北朝鮮側が激しい揺さぶりに動いて来た感じがします。今月(10月)2日、北朝鮮側がいわゆるSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)と称するミサイルを発射したことを受けて、いよいよSLBM完成に向けて動いているのではないかと思います。北朝鮮としては核ミサイルの完成に向けて、時間稼ぎをしているのではないでしょうか。そもそもアメリカと交渉をまとめる気があるのかどうか、甚だ疑問に思います。

20日、白頭山の山頂で記念写真に納まる金正恩朝鮮労働党委員長(左から2人目)と南朝鮮(韓国)の文在寅大統領(右から2人目)。両端は李雪主夫人(左)と金正淑夫人=2018年9月20日 写真提供:時事通信

北朝鮮への危機感を訴える朝鮮日報

飯田)今朝(7日)は産経新聞のソウル支局長、名村隆寛さんとともに、韓国側の受け止め方についても深めたいと思います。韓国メディアの書き方は、どうなっていますか?

名村)7日付けの保守系メディアの朝鮮日報では、一面トップに「北、特定品目の一時的制裁緩和を拒否」という看板記者の記事が掲載されています。社説のトップにも、「金正恩に核放棄の意思がないという明白な事実を直視すべきだ」と、韓国政府及び韓国世論に訴えています。

飯田)文在寅政権は北と結ぼうとしている、あるいは核放棄なしでも結ぶ可能性があるという危機感なのですか?

名村)表向きは南北で仲よくしようということですが、非常に甘いと。朝鮮日報は保守系メディアの伝統ある新聞ですが、北朝鮮が揺さぶりをかけたり挑発したときには、必ずこういう報道が出ます。

2日午前、北朝鮮の国防科学院が東部の元山湾で行った新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星3」の試射=2019年10月3日 写真提供:時事通信

北朝鮮が韓国に向けて核を使う可能性は「十分ある」

飯田)安全保障の専門家がこれをどう見たのか、韓国軍の出身でもあり、国民大学政治大学院の教授でもいらっしゃる朴輝洛(パク・フィラク)さんにお話を伺って来ました。あの核弾頭は日本を狙っていますか? それとも、韓国を狙っていますか?

朴)韓国だと思います。

飯田)同じ民族であっても、核を使う可能性があると?

朴)北朝鮮が韓国に核を使用する可能性は、十分にあります。

飯田)それに対して、どう守って行くのが理想だと思いますか?

朴)現在の政権が政権を取っている間は、方法がないと思います。今回も200万人の国民が参加して、ストライキをしました。朝鮮戦争を経験した人たちは、韓国が共産化されることを怖がっていると思います。いまの政権は共産主義になっているのではないかと思うし、北朝鮮の核から我が国を守るために、一生懸命にやっています。

飯田)安全保障の専門家の方、軍の方が見ているところで、日本だと同じ民族に核は使わないのではないかと言われていますが、非常にドライな危機感のある話し方でした。

ホワイトハウスで、記者団に話すドナルド・トランプ米大統領(アメリカ・ワシントン)=2019年10月3日 写真提供:時事通信

迎撃の難しいSLBM~日米韓で対策を議論することが必要

須田)SLBMは、高高度にミサイルを飛ばして目標に誘導する、ロフテッド軌道という新しい技術によるミサイルなのです。いまの日本にはまだイージス・アショアの配備ができていませんから、これを100%迎撃できるシステムがないのですよ。韓国に大きなリスクはありますが、日本にとっても北朝鮮の核ミサイルのリスクは高まって来たと考えていいと思います。

飯田)日本を守るためにどうするかということになると、日米韓で連携しなければいけないのですが、そこが問題ですね。

須田)そうですね。先だってのGSOMIA破棄は、この問題に大きな影響を与えます。加えて、潜水艦からミサイルが発射できるようになると、それを発見、捕捉追尾することが難しくなります。そうなったときにどうするのかという議論を、今国会でやって欲しいと思います。

3日、ソウル中心部で開かれた韓国の曺国法相の辞任などを求める集会で抗議の声を上げる参加者ら(共同)=2019年10月3日 写真提供:共同通信社

北の核に対する危機感が驚くほどない韓国政府、国民

飯田)名村さん、韓国の世論の受け止め方として、GSOMIAは話題に上っているのでしょうか?

名村)一般的にはあまり関心がありません。私の知人の国防関係者、OBからは、いまの状況を危惧する声が聞こえます。

飯田)文政権の安全保障に対する姿勢は、まずいということですね。

須田)名村さんに伺いたいのですが、いまの文在寅政権は、北朝鮮との統一を目指していますよね。そうなると、北朝鮮の核ミサイルの影響は、韓国にとっては大きくないと考える人たちもいるのでしょうか?

名村)もし核を南に向けて発射した場合、北は自滅するだろうとみんな信じ込んでいますね。驚くほど、悲しいほど北の核に対する危機感はありません。長年で慣らされたという言い方もできます。

飯田)だからこそ、朝鮮日報がこうやって警鐘を鳴らし続けているのでしょうね。

名村)いまの政権とは志向が違いますが、頑張っています。

飯田)もう1つ聞きたいのが、きょうの一面に「北、特定品目の一時的制裁緩和を拒否」と出ています。そういう提案をアメリカがしたのかどうか、その辺りはなかなか出て来ないところでしょうね。

名村)これは朝鮮日報が書いていることなので、勇み足の可能性もあります。

日本は今国会を含め、慎重に議論すべき

飯田)飛ばし的な記事を書きがち、ということですね。日本としては対岸の火事というわけにもいかず、条件なしで対話をする、と総理も金正恩委員長にメッセージを投げかけているところ、なかなか強硬には出られないのでしょうか?

須田)いまの日本は、北村安全保障局長が水面下で北朝鮮との交渉の糸口を探っているということですから、それも含めて北朝鮮といまの政権がどう向き合って行くのか、そこが大きなポイントだと思います。

飯田)北にメッセージを出さなくても国の守りは考えて行かなければならないし、憲法改正などがあると、それが北への間接的なインパクトになったりするのでしょうか?

須田)そうですね。しかし、きちんと備えることが必要だと思います。いまの憲法のなかでも敵地攻撃はできますが、それについて議論を積み重ねる必要があります。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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