発射された北朝鮮ミサイルは潜水艦発射型「北極星3」~これを機にGSOMIAの失効を回避するべき

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月3日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。電話ゲストに元航空自衛官・軍事評論家の潮匡人を招き、北朝鮮が発射した弾道ミサイルについて、また、その意図について訊いた。

発射された北朝鮮ミサイルは潜水艦発射型「北極星3」~これを機にGSOMIAの失効を回避するべき

2日午前、北朝鮮の国防科学院が東部の元山湾で行った新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星3」の試射=2019年10月3日 写真提供:時事通信

北朝鮮発射の弾道ミサイル~新型SLBMか

北朝鮮が2日、東海岸付近から発射した弾道ミサイルはおよそ450キロ飛行し、島根県沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した模様だ。ミサイルは潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とみられ、実際の射程はおよそ2000キロに及び、日本全域が攻撃可能となる恐れがあると日米韓の専門家などが分析している。

飯田)北朝鮮の朝鮮中央通信も先ほど、ミサイルは「北極星3」というSLBMであり、成功したと報じています。北朝鮮の思惑、そして発射されたミサイルはどういうものなのか。元航空自衛官で評論家の、潮匡人さんと電話がつながっています。潜水艦発射型というと、脅威の形がまた変わるということですか?

発射された北朝鮮ミサイルは潜水艦発射型「北極星3」~これを機にGSOMIAの失効を回避するべき

4日、朝鮮東海の海上で行われた前線・東部戦線防護部隊の火力攻撃訓練を指導する金正恩朝鮮労働党委員長=2019年5月4日 写真提供:時事通信

潜水艦発射型ミサイル「北極星3」~太平洋からの発射も可能

潮)そうですね。地上発射型のものに比べて、発射の兆候を日本側としては非常につかみづらいということがあります。また、発射のポイントも陸上発射型のものであれば、北朝鮮から撃つ場合、日本に近いところでも「ここしかない」というような制限があります。しかし、潜水艦から発射できるということですので、発射する潜水艦自体が日本、あるいはアメリカに近づけば近づくほど、飛距離の制約がなくなるということです。特に日本にとっては、通常であれば日本海側から発射されるのですが、何らかの理由で太平洋側に回られた場合、日本の弾道ミサイル防衛やレーダーの目などは、基本的に朝鮮半島、あるいは中国大陸側を向いています。そのため、まさに背後から隙を突かれることにもなりかねません。要注意だと思います。

飯田)一部の情報では、海のなかに設置した発射台から行ったとも報道されていますが、北朝鮮は潜水艦から発射できるものを持っているのですか?

潮)そういう情報もあったのですが、今朝の北朝鮮の国営メディアの報道で、潜水艦から撃ったと思われる写真まで掲載しています。間違いなく潜水艦を海に沈めて、海中から撃っているということだと思いますし、この技術自体は「コールドローンチ」と専門家が呼んでいる技術です。これまでも北朝鮮は過去、その実績を示して来た。北極星の1型や2型、さらに今回の3型というように改良を重ねて、性能が上がっていると考えた方がいいと思います。

飯田)これは他国から技術が導入されたものなのですか?

潮)北極星シリーズを北朝鮮が開発し、実際に試射を始めて以降、そういう点についてはさまざまな疑念や指摘が重ねられています。たとえば旧ソビエト連邦が崩壊をし、そしてロシアに至る間に、ソ連やロシアといった国家の意思とは別の事情で、そういった国の技術者が単純にお金のためだけに北朝鮮で活動に従事したり、貢献している可能性もあります。中国についても、同じようなことが当てはまるのではないでしょうか。その一方で、北朝鮮もこれに限らず自国開発も行っていますので、決して北朝鮮の科学力、軍事力を侮ってはいけないと思います。

発射された北朝鮮ミサイルは潜水艦発射型「北極星3」~これを機にGSOMIAの失効を回避するべき

日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の式典で演説する文在寅大統領(韓国・天安)=2019年8月15日 写真提供:時事通信

日韓双方に必要なGSOMIA~今回の発射を機に回避策を打つべき

飯田)スタジオには、ジャーナリストの鈴木哲夫さんもいらっしゃいます。

鈴木)潮さん、おはようございます。日本と韓国の関係悪化が続いていて、北朝鮮がどうもその隙をついて撃って来ているような気がします。日本と韓国の安全保障については連携をしなければなりませんが、潮さんはどのようにお考えですか?

潮)日韓のGSOMIA破棄の影響については、よくも悪くも日韓双方で、自国よりも相手の方が協定の利益を得ているので、廃止になっても自国に影響はないというスタンスを両国ともに示しています。しかし2日の朝、この発射について韓国政府側から、日韓GSOMIAによる情報の提供を公式に求めて来ているということですし、日本側も当初2発撃ったという認識を示していたのが、そうではなく1発でした。私は2段式になっていて、途中で切り離したのではないかと思います。だとすると、そうした情報はより近い場所にいる韓国軍のレーダーの方に、より正確に映っているはずです。これを機に、少なくとも日韓GSOMIAは11月23日で失効してしまいますので、そうならないような回避策を打つべきではないかと思います。

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