関西電力の金品授受問題~元助役により双方向から金が流れ込む仕組み

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月2日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。関西電力役員の金品受領問題について解説した。

関西電力の金品授受問題~元助役により双方向から金が流れ込む仕組み

関西電力経営幹部らが福井県高浜町の元助役から資金を受け取っていた問題で、同社が会見。会見に臨む岩根茂樹社長ら=2019年9月27日 写真提供:産経新聞社

関西電力の金品授受問題~子会社が元助役を顧問として雇用

関西電力の幹部らが福井県高浜町の元助役から金品を受け取っていた問題で、関西電力の子会社が元助役を顧問として雇用していたことがわかった。また元助役は原発関連の工事を請け負う複数の企業にも顧問などの形で関わっていた。

飯田)関西電力の会長や社長など、合わせて20人が7年間にわたり、福井県高浜町の森山栄治元助役から3億2000万円相当の金品を受け取っていた問題です。外貨や金貨を受け取っていたという話です。

佐々木)論外としか言いようがありません。これで関西原発再稼働は難しいでしょう。エネルギー需要が逼迫していて、地球温暖化の問題も高まっており、原発をもう1度考えなければならないとなっているところでの、この事件です。インパクトが強いですよね。私は福井県の原発銀座と言われている、若狭湾沿いの美浜町に家を借りていて、毎月行っています。あの辺に行くとわかりますが、体育館などの建物が立派ですごいですよ。ときどきトレーニングしに行きますが、誰もいません。

飯田)原発の立地自治体は確かにすごいですよね。

地元自治体には原発1基で50年間に1359億円が交付

佐々木)この原因をたどると田中角栄さんの、70年代の日本列島改造計画になります。原発を誘致して、地元にお金をまわすために電源三法という法律をつくり、交付金、電力会社が国民から電力代を徴収して上乗せ部分を国に集める、それを地元の自治体に交付するというものです。1基つくると、自治体に50年で1359億円が交付されます。電力会社は自治体や地元の住民を優遇しなければならないので、お金を使って飲み屋などで接待をするため、自治体には交付金以外にも莫大な金額が流れ込んで行く。そうすると金銭感覚が麻痺しますよ。交付金、補助金漬け行政は昔から問題になっています。いちばんの問題は金銭感覚が麻痺してしまって、自力で自分たちの町をつくるためにビジネスをやるという発想がなくなり、「ぼーっとしていてもお金が回って来るからいいや」という、死んだようなゾンビ状態になるということが最大の問題ではないでしょうか。それを如実に表している事件ですね。

飯田)確かに半世紀で、1基につき1400億円となると、1年間で30億円弱が入ると。しかも原発は1基だけでなく何号機もありますよね。そうすると莫大な額が入ります。

佐々木)しかも使い道がないので、箱物をつくるしかない。だから原発銀座の若狭湾沿いは箱だらけです。

関西電力の金品授受問題~元助役により双方向から金が流れ込む仕組み

関西電力の役員らが高浜町元助役から金品受領していた問題を受け、岩根茂樹社長が会見=2019年9月27日午前、大阪市北区 写真提供:産経新聞社

双方向から金が流れ込む仕組み~贈収賄となる可能性も

飯田)元助役という肩書に引っ張られて地元で世論を抑えるために、関西電力側からお金を出すのはわかるけれど、逆はおかしいという構図だったのですが、いろいろな会社の顧問をやっているとなると。

佐々木)だから流れ方が片方だけでなく、双方向から流れ込む仕組みになっているのでしょうね。

飯田)そうなると、いまは税務の話が発端で言っていますが、贈収賄ということになりますかね。

佐々木)なるのではないでしょうか。実際に贈収賄を成立するためには何の目的で、それによってどういう利益を得たのかが立証されなければならないので、何とも言えないですが、十分事件になる可能性はありますね。

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