10時のグッとストーリー

外から見たらまるで本屋! 本好きが集まる“文学堂美容室”

番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】

東京・下北沢に去年(2018年)、ちょっと変わった美容室がオープンしました。お客さんが座る座席の周りが本棚に囲まれている、まるで本屋さんのような美容室。店主はどんな人で、なぜこういうスタイルの美容室をオープンさせたのでしょうか?

「文学堂美容室・retri」店主・生田目泰孝さん

小田急線と京王線が交差する東京・下北沢。去年11月、下北沢駅から歩いて数分のビルの2階に、「文学堂美容室・retri(レトリ)」というお店が開店しました。外から見ると、まず本棚が目に入り、一見ここが美容室だとは気がつきません。

そんなユニークな美容室をオープンさせたのが、生田目泰孝さん・37歳。美容師になって17年、それまでは日本橋のチェーン店に勤務。店長を任されたこともありましたが、独立して1人で「レトリ」を開業しました。

お店を外から見ると本屋さんにしか見えない!

「いつか独立したいな、とは思っていたんですが、起業を考えている人向けの無料相談に軽い気持ちで行ってみたら、トントン拍子に話が進んで……」

故郷・栃木から上京したときは部屋にテレビがなく、本でも読むかと読書を始めたのが、本好きになったきっかけという生田目さん。家にはたくさんの蔵書がありました。独立の相談に乗ってくれた担当者に、「美容室はたくさんありますから、他のお店と違った特色を打ち出したいですね」と言われ、「じゃあ、本とリンクした美容室なんてどうでしょう?」と答えた生田目さん。

「そしたら、その担当者も本が大好きで『いいですね、それ!』と盛り上がっちゃって」

「retri」入口前の看板

下北沢にちょうど閉店したばかりの美容室があり、その物件を居抜きで借りられることになって、生田目さんは決断しました。オープンに当たり、3席ある座席の周りを背の高い本棚で囲んで、生田目さんの家にあった本をどんどん入れて行きましたが、それだけでは足りないことが判明。

「不足分はネットの古本オークションを使って、段ボールごと仕入れたりしました。自分が読んだことのない本も入っていて、おかげで読書の幅が広がりましたね(笑)」

店内の座席と本棚のようす

店内の本棚には小説、歴史書、美術本、実用書、写真集、マンガなどなど、あらゆるジャンルの本が生田目さん独自の分け方で並べてあります。オープンして1年近く経ったいまでも、本屋さんと間違えて入って来る人が後を絶たないとか。そんなときも生田目さんは、「うちは美容室なんですけど、よかったら、お好きな本を読んで行ってください」と、優しくお客さんに伝えます。

もちろん、席料は無料。「本だけ読みに来る方も歓迎ですよ。本の貸し出しもしています」。普通の美容室なら、座席の前に雑誌が置いてありますが、「レトリ」のお客さんは周りの本棚から好きな本を手にとって、生田目さんが髪を切っている間、じっくり読むことができます。

本のレパートリーもさまざま

「僕は美容師なのに、人と話すことがあんまり得意じゃなかったんですよ。でもここに来るお客さんとは、好きな本の話がたっぷりできるので、すごく楽しいです」

ときには人生論を語り合ったり、お客さんが偶然手にとった本をきっかけに、深い話になることも。

「お店のブログで、最近読んだ本について感想をアップするようにしています。お客さんに『こんな本もあるよ』と薦めてもらったり、本を持って来てくれる方もいて、どんどん読みたい本が増えています(笑)」

ゆくゆくはお店で読書会や、本にまつわるイベントも開きたいという生田目さん。

「大好きな本の話を、お客さんとたっぷりできるのは楽しいです。本を通じて輪が広がって、楽しいことが次の楽しいことにつながって行く…この店がそんな場になればいいですね」

本棚には本以外の小物も置かれている

八木亜希子 LOVE&MELODY
FM93AM1242ニッポン放送 土曜 8:00-10:50

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