G7先進7ヵ国では「世界秩序」を守ることはできない

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月21日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。24日からフランスで開催される先進7ヵ国主要国首脳会議(G7サミット)について解説した。

G7首脳会議が24日からフランスで開催

24日からフランスで開催される先進7ヵ国首脳会議(G7サミット)。会議では世界経済やイランの核合意など様々な議論が交わされる予定だが、自由貿易や地球温暖化の問題などについて各国の意見の隔たりが大きいこともあり、例年発表される首脳宣言の採択が見送られるとの見方も出ている。

飯田)毎回揉めるところですが、もう1つ、トランプ大統領がルーマニアの大統領との会談の前、ホワイトハウスで記者団に「ロシアを復帰させてG8にすることが適切だ」と語ったということです。

佐々木)G7は、フランス・イギリス・カナダ・アメリカ・ドイツ・イタリア、そして日本。これはいまの世界秩序のなかで見ると、たいして影響力のない国ばかりです。少し前までこれにロシアが入ってG8だったわけですが、ウクライナ・クリミア併合問題で追い出されてG7に戻った。でも中国が入っていないとか、インドはどうなのだとか、言い出すときりがありませんが。

終わりつつある、欧米が守って来た「世界秩序」

佐々木)戦後に国連ができて、常任理事国が大きな力を持っていた。しかし当時のソ連や中国も入っていたので、それだと冷戦のなかで何も決まらない。そこで西側の先進国だけ集まって、我々で世界秩序を作って行きましょうということでできたのが、サミットです。そこから始まり、当時の日本としては「遂に我々もサミットに入れたのだ」と、先進国のアメリカ・イギリスと同じ仲間だと大喜びして、参加国の1つという誇りを持っていたものですが、いまやこの体たらくという感じです。世界秩序という言葉があります。これはヘンリー・キッシンジャーという、70年代のニクソン時代の大統領補佐官、国務長官だった人が言ったものです。その「ワールドオーダー・世界秩序」を、当時はアメリカと西側諸国が守って行くのだということだった。世界秩序が機能していた時代は、G7がリードして、外交や国際問題にある種の正解があったと思うのです。西側の言っていることは民主的だし正しいと。それに反するソ連は共産主義でけしからんということで終わっていたのですが、いまやキッシンジャー氏が言っていた世界秩序は終わりつつある。3年くらい前にキッシンジャー氏は『WORLD ORDER』というタイトルの本を出しましたが、これには「世界秩序をやせ我慢してでも守るしかないのだ」と書いてあり、ヒラリー・クリントンさんが評価していました。しかし、キッシンジャー氏の願いも空しく、それは終わりつつある。

アメリカの存在感が薄れるなか、ロシア・中国なしに世界秩序は守れない

佐々木)そのなかで西側諸国がリードするものではない、新しい世界秩序が必要ではないかという話になっている。先ほど言っていた、トランプ大統領がG7にロシアを復帰させるべきではないかということを、フランスのマクロン大統領も言っています。マクロン大統領はG7が始まる前にプーチンさんと会談して、もう1回EUと仲よくやろうということを言っているわけです。あれだけクリミア問題でロシアを批判していたのだけれども、アメリカの力が薄れて行くなかで、ロシア・中国なしでは世界秩序を守れないということです。だからアメリカの力が相対的に小さくなって、ロシア・中国が大きくなっている。その2国とEU、もしくは日本という、そのくらいの軸で新しい穏健なワールドオーダーを作れないかということが、世界にとって大きな課題になりつつあるのではないでしょうか。

飯田)そこで中国やロシア…一応は民主主義ということになっていますけれども、それが形だけに過ぎないところ。

佐々木)実際は強権政治ですからね。

飯田)そこと融和するのか、対峙するのかという。それこそ歴史が後から証明することかもしれませんが、ミュンヘンでの融和のように、その後で台頭したではないかという謗(そし)りになるのか、新しいオーダーが作られるのか。

佐々木)強権政治ではなくて、対応できるリベラリズムの国、しかも力が強い国と言うと、ドイツと日本、もしくはフランスしかない。なかなか厳しいところだとは思います。

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