傘のマークでおなじみ!スポーツビジネスの祖 プロゴルファー・アーノルドパーマー(享年87歳) スポーツ人間模様

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米男子ゴルフ・2014マスターズ パー3コンテストで観客の声援に応えるアーノルド・パーマー

米男子ゴルフ・2014マスターズ パー3コンテストで観客の声援に応えるアーノルド・パーマー 写真:産経新聞社

25日アーノルド・パーマー氏が米国ペンシルバニア州ピッツバーグで亡くなりました、87歳でした。

キングの異名があり、現在活躍する選手たちに多大な影響を与えた巨人。
何しろ上流社会のスポーツだったゴルフを『真昼の決闘』に変えたといわれるほどで、レイアップ(刻むこと)を潔しよしとせず、常に攻撃的なプレーを展開しました。
何重にもホールを囲む大ギャラリーを引き連れてラウンドし、ファンはアーニーズ・アーミーと呼ばれています。

パーマー氏はクラブプロとグリーンキーパーのお父さんから影響を受け、7歳でゴルフを始めました。
そう聞くと、何やら裕福な家庭のお坊ちゃんというイメージがありますが、ペンシルバニア州の生家は、ゴルフ場に近いロッジのような建物。
家の中には、水道などの配管がなかったほどで、家計はとても厳しかったそうです。
「子どもの頃、金持ちの子どもたちが、ゴルフを楽しんでいた。家の窓から、見ていたけど、それがうらやましくて仕方がなかったよ。」

お父さんから指導を受けたのは技術ではなくメンタル。
「ターゲットを捕えろ」
「ハードにスイングを」
など、攻撃的なスタイルの基本を構築しました。

当時は、まだゴルフはメジャースポーツとはいえませんでしたが、パーマー氏も、ペンキのセールスマンという過去があり、エリートではない労働者階級の出身だからこそ、多くのファンの共感を呼んだのでしょう。

第一線から引退した後は、セレブやすてきな老人といった感じですが、バリバリの現役時代は、「相手を倒す本能をもつ、ライオンのような存在。」

史上最高の選手の1人といわれるベン・ホーガンを「大嫌いだ」と公言したことで知られます。
「プロになってからずっとホーガンから、さげすまれ見下されてきた。名前で呼ばれたことなど1度もない。いつもおれのことをヤツとしか呼んだことがなかったよ。クソッタレの1人。」
と敵意をむき出しにしてプレー。
1960年グランドスラムのマスターズで快勝した後、勢いに乗って、全米オープンでは、これまた「嫌い」と漏らしたジャック・ニクラウスの2人を最終日の猛チャージで下しています。

一方で、スポーツビジネスのモデルをつくった最初の存在でもあります。
パーマー氏のマネジャーはゴルフ仲間だったマーク・マコーマックという友人が務めていました。
当初、スケジュールや契約などは自身で行っていましたが、
「あなたはゴルフだけに、専念するべきだ。」
と、この仕事が拡大して、アスリートのマネジメントビジネスを展開する会社を設立することに発展しました。
この会社は、世界的に拡大してタイガー・ウッズや、日本でもテニスの錦織圭など超一流選手が契約をかわしています。
マコーマック氏は2003年5月亡くなりましたが、その手腕はマネジメントだけではなく、ゴルフトーナメントにも活かされ、企業スポンサーを取り込み、高額賞金大会へ発展させています。

パーマー氏は日本ではゴルファー以上に、実業家として子どもにまで有名でした。
1970年代、傘のマークをロゴマークとした「アーノルド・パーマー」いう衣料品ブランドが大ヒット。
ゴルフを知らない子どもまでもが皆、アーノルド・パーマーの名と傘のロゴは知っていました。

アーノルド・パーマー享年87歳、ひとつの時代がまた、終わりました。

9月27日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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