議論すべきは“見出しの言葉”ではなく、年金制度そのものの在り方

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月11日放送)にジャーナリストの有本香が出演。10日の参議院決算委員会で問題となった年金制度について解説した。

参院決算委員会で答弁を行う安倍晋三首相=10日午後、国会・参院第1委員会室 撮影日2019年06月10日 提供産経新聞

老後に2000万円必要という金融庁の報告書について~安倍総理が「不正確で誤解を与えた」と釈明

安倍総理)金融庁から発表された数字なんだろうと思っておりますが、これは不正確であり、誤解を与えるものであった。

安倍総理大臣は10日の参議院決算委員会で老後の蓄えとして夫婦で2000万円が必要になるとした金融庁の報告書の表現について、不正確であり誤解を与えるものだったと釈明した上で、改めて公的年金の信頼性は変わらないと強調した。

飯田)これについてはたくさんのメールやツイッターもニッポン放送に寄せられております。「100年安心の年金ではなかったのか」というようなお怒りの声もかなりいただいております。
ラジオネーム“こはる”さん、埼玉県坂戸市の方です。「老後2000万円の蓄えがないと生活できない、日本はそんな国なのか、そんな国になってしまうのでしょうか、なっているのでしょうか。その日暮らしに近い状態で生きている状態の我が家、とても不安になります」。
この見出しが一人歩きしているようなところもありますが。

有本)そうですね。この「100年安心」というのもむしろ見出しといえば見出しなのですが、要するに、これは、もとをたどると12年前、第1次安倍政権のときに、消えた年金問題があったではないですか。

飯田)ありましたね。

 

「老後2000万円必要」や「100年安心の年金」など、見出しの言葉を政争の具にすべきではない

有本)あの年も参議院選挙があって、しかも亥年選挙でした。亥年は荒れると言われているのですが、消えた年金等々で、政権が支持を落して、この年、参議院選挙で惨敗して、その数か月後に安倍総理は退陣しました。ただし、この年金記録が、あのとき管理がまずかったという点はあるのだけど、その後、それがどうなったのかということに関しては、その2年後に民主党が政権を取った後も、ほとんど国民に対して説明されていないですよね。

飯田)確かにそうですね。名寄せなどで、かなり予算が使われているという話があります。

有本)そういうところも含めて、あのとき一連のことのなかで100年安心ということが出て来たのは、「年金制度そのものが破綻するということはありませんよ」という話なわけではないですか。「国民の、老後の支出を全部年金で賄えるかどうか」という意味での安心とまでは言っていないのですよ。問題があるのは常に皆が「あっ」と飛びつきそうなワードだけを引っ張って、それをお互いに攻撃の材料にしてしまうことです。
年金がどうなっていて、今度どうなるのか。若年人口が減っていて、高齢者が増えているわけです。しかも、老後と言われる年数が長くなっているなかで、年金はどうなって行くのか。社会保障全体はどうなって行くのかという問題に議論は全然ならないわけです。

飯田)そうなんですよね。

年金制度そのものを議論すべきである

有本)野党側としては、12年前の夢をもう一度で、これで政権を攻撃すれば、有利に行くのではないかと思っている。だけど、私は、12年前も多少そういう意見があったのは、こういう社会保障の問題を、政争の具にしてはいけませんよね。しかも、こういう短絡的なやり取りになる。
今後、年金制度は破綻させないと政府は言っているのだから、前々から言われているように、例えば、国民年金で言うと、国民年金で月7万円くらいですか、貰っても、それではなかなか生活は立ちいかない。むしろ、生活保護を貰っていた方がいいという話になるわけですよ。この辺りの問題をどう考えるのかという整理は必要だろうと思います。

飯田)他にも誤解されているところがたくさんあって、例えば年金は積み立てではなく賦課方式と言って、いま現役の人たちが保険料を払って、それが、そのまま右から左に現在の年金受給者に行くという話です。ということは、いま現役の人たちが、年金受給者になったときは、いまの子ども達が将来働いたお金が右から左へ流れて来ることになる。

有本)そうですね。かつては4人で1人のお年寄りを支えていたのが、段々3人になり、2人になりということに対して不安を持っているわけです。その辺りをどうするのかということですよ。年金制度そのものを、根本から考え直して、場合によっては抜本的な変更、改革みたいなものが必要であるとするならば、尚更こういうわけの分からない議論はすべきではないと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
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