スポーツアナザーストーリー

巨人・ビヤヌエバ 原監督の“グータッチ”を復活させた攻守の活躍

話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、6月4日の楽天戦で、9回逆転2ランを放ち、5日もピンチで好守備を披露した巨人・ビヤヌエバ選手のエピソードを取り上げる。

【プロ野球交流戦楽天対巨人】楽天に逆転勝利。ビヤヌエバ(右)とタッチを交わす巨人・原辰徳監督=2019年6月4日 楽天生命パーク宮城 写真提供:産経新聞社

「1、2打席目が悪い内容で三振してしまったので、最後をこのような形で締めくくれて、本当に良かったです」

6月4日、楽天生命パーク宮城で行われたセ・パ交流戦初戦の、楽天-巨人戦。9回表、巨人は1-2とリードされ、マウンド上にはリーグトップのセーブ数を誇る守護神・松井裕樹。敗色濃厚な場面で、起死回生の逆転2ランをスタンドに叩き込んだのが、この日7番で起用されたビヤヌエバでした。

「高めのボールを狙って打席に入ってました。(松井は)いいピッチャーで、なかなか失投はないんですけど、うまく捉えることができました」

このコメントから窺えるのは、ビヤヌエバの研究熱心さです。データが少ないパ・リーグの投手から「高めのボールを狙って打てた」のは、スコアラーからの情報以外に、自分でもデータを集めていたからこそ。周囲の選手や、他チームの投手に詳しい阿部からも情報を収集。その努力が、絶体絶命の場面でみごとに活きました。

「交流戦なんで、そんなに多くのデータを持っていないんですけど、1日1日大事に戦っていきたいな、と思っています」

貢献しているのは、バッティングだけではありません。守備でも再三、好プレーを披露していますが、5日の試合でもこんなシーンがありました。

0-1とリードされた3回ウラ、巨人先発・田口が無死満塁のピンチを招き、バッターは4番・ウィーラー。三塁線へ鋭い打球が飛びましたが、これをサード・ビヤヌエバが滑り込んでキャッチ。起き上がって三塁を踏むと(二塁走者封殺)、すかさず本塁へ送球。捕手・小林が三塁走者の茂木にタッチしてダブルプレー。

田口は続く銀次を右飛に抑えて、無失点で窮地を切り抜けました。試合は終盤、リリーフ陣が打たれ敗れましたが、打ってはチャンスに強く、守ってはピンチを救ってくれるビヤヌエバは、チーム内で日に日に存在感を増しています。

外国人枠を巡る競争が激しいジャイアンツですが、昨季、サンディエゴ・パドレスで20ホーマーを打ったビヤヌエバには原監督の期待も大きく、背番号「33」も指揮官自ら決めました。入団会見にも同席し「背番号以上、ホームランを打ってほしいという願いを込めました」と語った原監督。

しかし、日本の野球に慣れるのはなかなか容易ではなく、開幕から29試合で打率.235、5本塁打と低迷。5月6日に出場選手登録を抹消されました。なまじメジャーでの実績があると、2軍に落とされてやる気をなくす、というのは外国人選手によくあるパターンですが、真面目でひたむきなメキシカン・ビヤヌエバに「腐る」という言葉は無縁です。

ファームであらためて自分のバッティングを見直し、なぜ打てなかったのかを再検証。2軍戦でそれを確認しながら、復調の兆しをつかんで行きました。

5月31日、1軍に再昇格。翌6月1日、復帰2戦目の中日戦で、三塁守備から途中出場すると、0-4と劣勢の6回、無死満塁のチャンスで打席が回って来ました。そこで、代わったばかりの中日・田島の初球を叩くと、打球はバックスクリーンに飛び込む同点満塁弾に!

「ファームでやってきたことができた」

原監督も、この1発には興奮を隠しきれず、復帰以来1度も見せていなかったおなじみの「グータッチ」を、ついに初披露。

その後、代打で登場した阿部が通算400号アーチで勝ち越し。最終回、いったん同点に追い付かれますが、坂本勇がサヨナラ打を放って巨人が勝利。ファンにとっては最高のゲームになりましたが、そのお膳立てをしたのはビヤヌエバなのです。

お立ち台は、チームの顔である阿部と坂本に譲った影のヒーローは、試合後にこうコメントしました。

「ひと振りで同点にできて良かった。勝って締めくくれてよかったし、また(原監督と)グータッチしたいね!」

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