いまが拉致問題解決へ進む千載一遇のチャンス

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月28日放送)にジャーナリストの有本香が出演。現在の日米関係から考えられる拉致問題解決の可能性について解説した。

いまが拉致問題解決へ進む千載一遇のチャンス

拉致被害者家族との面会であいさつするトランプ米大統領(中央左)=2019年5月27日午後、東京・元赤坂の迎賓館[代表撮影] 写真提供:時事通信

トランプ大統領が北朝鮮拉致被害者の家族と2回目の面会

安倍総理大臣とアメリカのトランプ大統領は5月27日、およそ2時間にわたって会談を行った。当初は1時間程度の予定だったが、大幅に延長。その後、安倍総理とトランプ大統領は北朝鮮による拉致被害者の家族の皆さんと面会。そして共同記者会見を行った。

飯田)1時間、拉致被害者の家族の皆さん1人1人と、目と目を合わせて話をしたということです。

有本)今回で2回目です。前回2017年の秋、11月にお越しになったときも、大統領ご夫妻が膝を付け合せるようにして面会された。いい意味で非常に驚きました。前任のオバマ大統領が日本に来られたとき、やはり日本側が拉致被害者のご家族との面会をお願いしたのです。もちろん面会はされたのですが、それは立ったままの面会とアメリカ側が強く言って来た。座ってじっくり話を聞くことは叶わなかったのです。
でもトランプ大統領はそうではない。トランプ大統領は、就任直後から人権には関心がない人だと言われて来たけれど、日本人にとってみれば初めて拉致問題に本気で取り組む姿勢を明らかにしてくれた大統領です。日本に来た機会に必ずこういう面会の場を設けてくださることは、非常に心強いです。
ここで日本側は、北朝鮮に対してどのように問題の解決を迫れるかというところに来ています。ゴールデンウィークの前から、日本側も日朝首脳会談に向けて相当地ならしをしています。

飯田)水面下ではいろいろと。

有本)総理の側近が動いています。ですから、私は日朝首脳会談は近くあるのではないかと見ています。

飯田)総理も記者会見のなかで、条件をつけずに金正恩委員長と会うと。そしてそれをトランプ大統領も強く支持してくれた。こういうことも当然、北側は見ているわけですよね。

有本)そうですね。それとミサイル発射を繰り返していた2年前の状況とは、少し北朝鮮側も変わって来ています。この2年間の制裁によって相当困窮していることは明らかです。つい最近、韓国が北朝鮮に対して食料支援をした。それから韓国に対しては、かねてから制裁やぶりの疑いももたれていました。ここへ来て、ロイターが文在寅政権が弾劾される可能性が出て来たという報道をしています。

飯田)また、弾劾。

有本)署名が集まって規定の数を超えたと言われているようです。

飯田)だから、機関として動かなくてはいけなくなったという。

有本)そういうルールですからね。韓国の政局がまた混迷する可能性が出て来た。特にいまの政権は、ある人によれば北朝鮮が作った政権だとまで言われています。いままで私たちにとっては、言ってみれば扱いづらい政権だったのだけれど、これがまたわからなくなる可能性が出て来た。朝鮮半島自体の先行きが見えなくなって来ている。ここを逆に日本側はチャンスにできるかどうかだと思います。

飯田)むしろチャンスに。

いまが拉致問題解決へ進む千載一遇のチャンス

【トランプ米大統領来日】羽田空港に到着したトランプ米大統領とスカートを押さえながらタラップを降りるメラニア夫人=2019年5月25日午後、羽田空港 写真提供:産経新聞社

文在寅政権、中国の現状、日米関係~拉致問題解決へ進む千載一遇のチャンス

有本)いま中国は米中の覇権争いで、いろいろな面で困っています。日本とは何とかいい関係をつくりたいと思っていますから、北朝鮮に対しても従来のような、日本にとってマイナスになるような働きかけはしないタイミングではある。

飯田)手出しはしづらい。

有本)そのなかで日朝の首脳同士が会って、拉致問題をとにかく前に進められるかどうか。トランプ大統領も言われているように、安倍総理にとってはもっとも重要な政治課題である拉致問題を、前に進める千載一遇のチャンスが来たと私は見ています。

飯田)会見のなかでトランプさんは、日朝の接触は後押しする、強く支持すると言う一方で、北朝鮮のミサイル発射に関してはあまり気にしていないと。ということは、第3回の米朝は可能性としては残っている。でもそのためには、お前ら日本と先に会えよみたいな…。

有本)そういうサジェスチョンがあるようにもとれますよね。それから日本とアメリカとの間には当然、通商問題があるわけです。これも少し先延ばししようと言っているではないですか。選挙や日本側の政治スケジュールに配慮したとも言えますけれど、私は北朝鮮との問題を動かすというスケジュールが両首脳の頭のなかにあると見ています。政権周りを取材すると、日朝の問題に関してすごく緊張感があるように感じます。なぜかと言うと、言わないのですよ。

飯田)何も言わない。

有本)少し前まではけっこう言っていたのです。それを言わなくなるということは、むしろ何かあるなと感じます。

飯田)本気で交渉に入っているから、いまは何も言えなくなっているということですか?

有本)そのように思えますよね。

飯田)しかもそのタイミングは、日米交渉について言っていたということは、その前だよという…。

有本)前が理想的なのか、あるいは同じくらいのタイミングかもしれませんよね。安倍政権側は当然選挙があるので、その辺のスケジュールも意識しているとは思います。ただ相手のあることですから、こちらの思うようには行かないところもあるでしょう。

飯田)北朝鮮側は前から言われているように、日本の世論や政治状況をよく見ているし、そのための情報網があると考えると、自分たちを高く売る為には選挙の前にやったほうが、と。向こうが商売人として考えたときに、そうやって来ますよね。

有本)いくら何でも、日本側が目先のことに動かされることは無いと思います。この問題の大きさを考えると、何としても選挙の前にしてくださいということはないと思います。

いまが拉致問題解決へ進む千載一遇のチャンス

【トランプ米大統領来日】トランプ米大統領夫妻の宮中歓迎行事に臨まれる天皇、皇后両陛下=2019年5月27日午前、皇居 写真提供:産経新聞社

今回のトランプ大統領へのおもてなしは外交上必要なこと

有本)今回、いろいろと日米首脳会談は話題を撒いています。安倍政権に批判的な向きからは「アメリカの大統領を接待しすぎではないか」という見方もあるけれど、日本の文化や日本そのものに、アメリカ大統領ご夫妻からより親しみを持ってもらうのは当然、必要なことですよ。外交上。

飯田)アメリカの大統領が、これだけ長い日程滞在することも珍しいことですよね。

有本)普通のビジネス関係であっても、良い取引をしようと思ったら相手を接待するではないですか。そんなことで目くじらをたてるのは次元の低い話だと思います。さらに今回、海上自衛隊の艦船に日米の首脳が揃って乗る。アメリカの大統領が乗ることは史上初です。これも大きなアピールですよね。

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