アメリカがイランを挑発しても何も起こらない

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月17日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。安倍総理とイランのザリフ外相との会談について解説した。

アメリカがイランを挑発しても何も起こらない

会談を前に握手を交わすイランのザリフ外相(左)と安倍晋三首相=2019年5月16日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

安倍総理がイランの外相と会談

安倍総理大臣は5月16日、日本を訪れているイランのザリフ外相と会談した。会談で総理は中東情勢をめぐる状況が大変緊迫化していることを懸念している、状況の安定化に向けて率直な意見交換を行いたいと述べ、中東情勢の緊迫化への懸念を示したうえで、緊張緩和に向けて日本が貢献する考えを示している。一方イランのザリフ外相は、核合意を履行しているとイランの立場を主張したということだ。

飯田)ザリフさんは日本に来ていますけれども、この後は中国にも行く。アメリカ以外の各国を巡るような外交をしていますが。

宮家)イランはアメリカに相当挑発されています。それを何とか挽回しようということで、誰かが日本に来るように仕掛けたのでしょう。中国に行くということですから、その前に日本に来させたのだと思います。なかなかいい動きだと思いますが、アメリカ国内では「イランけしからん」という声がとても強い。今回のアメリカのやり方は酷いと思います。空母が爆撃機を持って行くと言うけれど、ローテーションで動かしているはずですから、そんなことはいつもやっていることなのです。それを殊更ああいう形で強硬策のように言うということは、やはりアメリカはイランを挑発しているとしか思えないです。しかし、イランという国は北朝鮮より遥かに賢くて、「力」というものの意味をよく知っている国です。アメリカがこのような状況で挑発して来たときにイランが手を出したら、アメリカに攻撃の口実を与えることになる。彼らは賢いからそんな馬鹿なことはしないと思います。

イランが米の挑発に乗ることはないが懸念されること

宮家)ただし本国がやらなくても、中東にはイランが関係を深めているいろいろなグループがいるわけです。そのなかには、まともな悪い奴と、変な悪い奴もいるのですよ。そういうやつらを使って、或いはそういうやつらが自発的にアメリカ、もしくはサウジアラビアやアラブ首長国連邦に対してちょっかいを出す可能性は0ではないと思います。実際にタンカーが攻撃されたと言われていますが、あれはイランがやったとはまだ言い切れないのですよ。言い切れるのだったらとっくに非難していますから。

飯田)それを口実にということもある話だし。

宮家)ええ。イランは挑発に乗りません。しかし、イランが乗らなくても、イランが支援している変な人たちが何かを動かす可能性は0ではない。そしてその0ではない可能性を考えると、やはり心配ではあります。

飯田)それがあるから、例えばイラクという国もいまではイランと関係がかなり深い。だからイラクに居るアメリカの在外公館の人たちに一部退去命令が出たりするのですね。

宮家)いまイランのような国がそんなことをやったら、逆効果だということをいちばん分かっているのは彼らです。だから、常識的に考えれば何も起きないと思います。

飯田)いまならば日本も関与できる余地があるということですか?

宮家)イランの核合意は国連の常任理事国と、なぜかドイツが入っている。なぜ日本は入っていないのか、おかしいですよね。恐らくどこかの国が反対したのです。日本は中東から石油をたくさん買っている国なのですから、もう少し関与すべきだと思います。若干危険ではあるのですけれど。

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