夏の参院選~ポイントは「憲法改正」を争点のどこに置くか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月16日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。参議院選挙を前にした自民党の動きについて解説した。

夏の参院選~ポイントは「憲法改正」を争点のどこに置くか

政治  政治資金パーティー「宏池会と語る会」で壇上にならぶ、前列左2人目から自民党の二階俊博幹事長、古賀誠・宏池会名誉会長、岸田文雄会長=2019年5月15日、東京都港区 写真提供:産経新聞社

夏の参院選に向け自民党、各派閥が相次いで政治資金パーティー

夏の参議院選挙を前に、自民党各派閥の政治資金パーティーが相次いで行われている。5月はすでに4派のパーティーが開催され、15日は岸田派のパーティーが行われた。岸田文雄政調会長は覚悟を持って新しい時代に挑むと挨拶し、ポスト安倍に向けて強い意欲を示している。

飯田)メールもいただいています。“てっちゃん”さん、神奈川県川崎市の59歳会社員の方。
「各派閥、パーティーを開催し、いよいよ参院選に向け本格活動ですね。安倍総理は麻生派のパーティーでまた“悪夢の民主党政権”とあいさつされたそうですが、よっぽど第1次政権の参院選で負けたことがトラウマになっているのでしょうか」といただきました。

鈴木)それはそうでしょうね。選挙に負けただけではなく、退陣も含めて。何としてでも今回はという思いがあるのではないでしょうか。選挙戦そのものも、本来は幹事長の二階さんが仕切るものですが、安倍さんの盟友の甘利さんを選対委員長につけて、イニシアチブを取っているのもその表れでしょう。
それから悪夢という表現はどうかという、いろいろな見方や意見があると思います。悪夢と言っても民主党政権は国民が選んだ政権であるから、それを悪夢と言うことは今度政権交代をして、別の政権になったときに安倍政権も悪夢と言われてしまうわけです。国民の民意ですから、総理大臣としてそういう表現はどうかなと思いますが、まだ使っているということは確信犯ですよね。逆の言い方をすれば、それくらい戦闘モードということなのでしょう。

夏の参院選~ポイントは「憲法改正」を争点のどこに置くか
参院選のポイントは争点として憲法改正をどう扱うか

飯田)参議院選挙のことを考えると、今回改選になる人たちは2013年の選挙で受かった人たち。安倍政権が発足した当初で大勝したときです。これを維持するだけで大変ですよね。

鈴木)勝ちすぎていたので、減らすだろうという前提から言っていますけれども。自民党が4月に世論調査を行っていまして、そこでは自民党が健闘しているデータが出ているようです。それはまだ野党が統一候補を含め、体制が整っていないということがありますから、先行している自民党が強くなっているのでしょう。ただ今度の選挙で言うと、ポイントは争点で憲法改正をどう扱うかというところになると思います。

飯田)ここのところ、総理は言及していますよね。

鈴木)衆参で3分の2の賛成がないと、この発議ができません。憲法改正をやりたいという勢力で、今度の参議院で3分の2を獲れるのか。半分は改選しないのですから、ここは数字が変わらないので、今回かなりの数字を獲らなければならない。安倍さんがここで憲法改正と言って行くと、これが争点の第1番目になったら、憲法改正ができない。つまり、改憲勢力で3分の2を獲れなければ敗北になりますよね。僕は憲法改正を堂々と、1番に掲げて安倍さんは勝負すべきだと思うのです。これで国民の審判が下って、3分の2獲れなければ憲法改正はしばらくやらないというけじめをつけるべきなので、僕はやるべきだと思うのですが、権力闘争的、政権の維持などを考えると、これを第1に持って来ると諸刃の剣のような部分があります。

飯田)政治テクニック的にはリスクを背負う。

夏の参院選~ポイントは「憲法改正」を争点のどこに置くか
憲法改正を第1の争点にすれば、3分の2を獲らなければ負けになる

鈴木)背負いますね。憲法改正をどの位置に、1番に持って来るのか、5つあるうちの5番目、またはプラスして6番目に持って来るのか。これを参議院選挙のどこに据えて来るのかがポイントになると思います。それによって勝敗の意味合いが変わって行きます。数だけで過半数なら自公が勝ちかもしれないのですが、憲法改正が第1の争点であれば、3分の2を獲れなければ負けになるのです。野党にとっては、逆に憲法改正を1番に持って来てくれた方が戦えるという腹があると思います。

飯田)結束しやすいというか。それで3分の2、憲法改正が争点となった場合には自民公明のみならず、維新やその他の保守系の野党勢力も改憲勢力になる?

鈴木)そうです。全部ひっくるめて3分の2ということですよ。ただ、これも安倍さん周辺によると、国民民主など野党で結集しようとしている側にも憲法改正がオーケーな人もいるので、一本釣りのような形で3分の2をやる努力をすればいいと言う人もいます。その問題というよりは選挙そのものの結果で、国民の民意で争点をどう判断するかということになります。
安倍さんが1番に持って来るのか、そうではないのか。この辺りから覚悟とか、本当にどこまで憲法改正をやるつもりなのかが試されるし、リスクを負いながらどうするのかということが1つ遠目の見どころだと思います。

夏の参院選~ポイントは「憲法改正」を争点のどこに置くか

政治 自民党大会で総裁演説を行う安倍晋三首相=2019年02月10日午前、東京都港区 写真提供:産経新聞社

W選挙はあるのか

飯田)W選挙はどうなりますか?

鈴木)14日の夜くらいから、またバタバタとしています。

飯田)あるのですか?

鈴木)情報が飛び交っています。私も取材を始めていますが。

飯田)13日に景気動向調査の結果が出て、足下の経済がちょっと、というところも。

鈴木)いろいろな理屈があるのです。例えば世論調査を行ったら、支持率が良いからやったほうがいいとか。

飯田)野党の体制がまだ整っていないからとか。

鈴木)消費税と経済との絡みでやったほうがいい、あるいは野党の体制が整っていないので、いまやったら圧勝できるとかね。逆にそうではないという考えもあります。やはり解散総選挙はリスクもあると公明党は言っていましたけれど、小選挙区になってW選挙は行っていないのですよね。

飯田)中曽根政権時代ですものね、最後のW総選挙は。

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