ふるさと納税はクラウドファンディングを研究するべき

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月15日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。ふるさと納税について解説した。

ふるさと納税、泉佐野市など4つの市と町を除外すると決定

総務省は5月14日、6月に始まるふるさと納税の新制度で大阪府泉佐野市など4つの市と町を新制度の対象から除外することを正式に発表した。6月以降は4つの市と町に寄付をしても、ふるさと納税の優遇措置は受けられなくなる。

飯田)寄付金の3割以下の地場産品に返礼品を限るとか、派手なことをやるなと総務省が審査をして対象自体を指定するということですが、佐々木さんは拠点が東京以外にもあります。

佐々木)長野と福井と、3拠点を移動しながら生活するということを4~5年やっています。

飯田)ある意味で複数ふるさとがあるということですね。

ふるさと納税はクラウドファンディングを研究するべき
いまのふるさと納税はやりすぎ

佐々木)そうですね。ふるさと納税は狙いとしてはいい制度だと思っています。東京に住民票をおいていて、長野の軽井沢町と福井の美浜町にも家があって、そこで暮らしていると何となくフリーライダー感があります。住民登録せずにそこに住んでいてゴミを出したり、いろいろな公共サービスを使っていると申し訳ない感じがあるのですよ。そうすると住民税を等分に払うみたいな、1ヵ所に住民票を固定しないで自分の税金の貢献先を選ぶというものがあってもいいのではないかと思います。
ふるさと納税はそれを体現した仕組みなのでいいのですが、いままでのふるさと納税はやりすぎです。地場のものではなくアマゾンギフト券とか、自動車とか。いきなり自動車をふるさと納税で買える人はごくわずかです。

飯田)そうですよね、相当納税していないと。

佐々木)高額納税者しか利用できない。普通の人が1万円買っても戻って来る控除額はわずかだけれど、何十万と使うとけっこうな金額が戻るので、これは逆累進課税です。そういう意味で言うと、正常化するのは当然の話ではないでしょうか。

ふるさと納税はクラウドファンディングを研究するべき
関係人口をいかに増やすかが今後のふるさと創生の重要なテーマ

佐々木)今後は関係人口ということです。いま地方では人に来てほしい、でも観光客が来てくれるだけだと継続的なふるさと創生につながらない。かといって移住してくれる人もなかなかいない。であればときどき来てくれたり、定宿があっていつも泊まりに来てくれる僕みたいな生活をしているような人を増やしましょうということです。観光客以上、定住者未満を関係人口と言います。その関係人口をいかに増やすかが重要なテーマになって来ているのです。
関係人口という意味で言うと、ふるさと納税の仕組みを上手く活用して、その土地に対する愛着の一環としてふるさと納税をしてもらう。いろいろな地方に行って、「この町が好きだ」と思ったらそこにふるさと納税するとか。ここの米が美味しかったから、その米をもらってふるさと納税するとか。いろいろな土地とつながって行く材料として、ふるさと納税を使って行くのはいいと思います。

飯田)ふるさと納税は使い道も指定できますよね。復興のために使いますとか、それで募集をしているとは思うのですが。そうすると進捗状況を教えてくれるので、常につながっていられる。

ふるさと納税はクラウドファンディングを研究するべき
ふるさと納税はクラウドファンディングの自治体版

佐々木)ITの世界でクラウドファンディングがあるではないですか。有名なところでは『この世界の片隅に』という原爆のアニメ映画がありましたけれど、これも当初クラウドファンディングで資金を集めていました。映画の最後を見るとエンドロールのところでクラウドファンディングで出資してくれた人の名前の一覧が出ます。それで自分の名前を見つけて喜ぶみたいな。

飯田)そうすると劇場に行くだけではなくて、DVDで買って止めて「これ俺なんだよ」と。

佐々木)クラウドファンディングの自治体版がふるさと納税だと思います。だからみんなで、ある町に対してお金をあげてその町が何かいいことをやりたい、ゲストハウスを作りたいとか名産品を作りたいとか、その目的に合わせて投資して見守るという仕組みが広がるのはいいことではないですか。

飯田)地場産品に限定するのは、「外にお金を流さずに自分のところで工夫しなさいよ」ということですよね。

佐々木)これは産品でなくてもいいと思います。例えば町営のゲストハウスとか公営旅館を作りたいとしたら、そこの宿泊1泊分をプレゼントするとか。そういう建物や新しいサービスを開始するのに合わせてもいいのではないでしょうか。クラウドファンディングでどういうことをやっているのか、もっと自治体の人たちは研究したほうがいいですね。

飯田)そうなると、ライバルは自治体間競争だけでなくそういうところとも。

佐々木)さらに言うと、日本は寄付は免税にならないではないですか。ふるさと納税はなるけれど、一般のNPOに対してはならない。それこそクラウドファンディングでどこかの地方プロジェクトに出資すると、それが免税になる税控除の仕組みを作れば、より寄付が増えるのではないかと思います。これからお金を集めるのは銀行、地銀とかではなくて、そういうところですよ。

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