日朝対話の方針が変わらない理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月14日放送)にジャーナリストの有本香が出演。日朝首脳会談について解説した。

日朝対話の方針が変わらない理由

ペンス副大統領との会談などのため米国へ出発する菅義偉官房長官(中央)=2019年5月9日午前、成田空港 写真提供:時事通信

菅官房長官が北朝鮮のミサイル発射後も日朝の対話方針変わらずとの認識を示す

後藤議員)短距離弾道ミサイルが発射されれば少なくとも日本としては、これは決議違反であり、抗議までしているなかで決議違反の状態が明らかになったいま、引き続き安倍首相も条件を付けずに金氏と日朝首脳会談を行うべきであるという風にお考えですか。それが政府としての方針ですか。

菅官房長官)その通りであり、政府の方針は変わらないということです。

5月13日の衆議院決算行政監視委員会での、国民民主党・後藤祐一氏と、菅官房長官のやり取り。菅官房長官は昨日(13日)の衆議院決算行政監視委員会で、北朝鮮による5月9日の短距離弾道ミサイル発射後も、拉致問題をめぐり前提条件を付けずに、日朝首脳会談の実現を目指す政府の方針に変わりはないという認識を示した。

飯田)後藤さんの言い方だと国連の制裁違反でもあるというなかで、「条件をつけずに、というのは甘くないか」というような主旨の質問でしたが、日本としては何と言っても拉致問題、拉致事件を解決しないといけないところです。

有本)そうですね。後藤さんの質疑は、一見正しいことを聞いている風な感じですよね。もともとは、日朝首脳会談をやることありきではなくて、解決をする、「北朝鮮がそのような流れになったときしか会わないよ」と言っていたものが、今度は前提条件なしに会うのか、と言っているのですね。
しかし状況がこの2年でガラッと変わった。2017年以降、例の国連総会で安倍総理が演説をしてから、過去にないだけの強い制裁をかけて、これが効いて来ているわけです。
最近、韓国が食料支援をするという話がありましたけれども、あるところの情報によれば北朝鮮国民の4割が、緊急の食糧支援が必要なくらい困窮している。あるいは、北朝鮮のなかでは比較的恵まれていると思しき工場の労働者。ほとんど北朝鮮の場合は国営と見て良いのですけれども、そういうところから物が盗まれて、売りさばかれているということです。

日朝対話の方針が変わらない理由

4日、朝鮮東海の海上で行われた前線・東部戦線防護部隊の火力攻撃訓練を指導する金正恩朝鮮労働党委員長=2019年5月4日 写真提供:時事通信

制裁が効いているなかで金正恩氏と会ってその腹を探るということ

有本)工場で働ける人たちは、職があって、食べられている人たちです。でも、そういう人たちでもそのような挙に出ていて、社会問題化しているのです。そのように、いよいよ制裁が効いて来ている状況のなかで、「では、ちょっと会いましょうか」ということです。だからと言って米朝がそうだったように、会ったから急に何かするという話でも無いわけです。向こうの腹を見極めて行くという点では、私はいま会う方向付けをしているのは悪くないと思います。そして、はっきり確証という意味ではないのですけれども、このゴールデンウィークも北朝鮮サイドと日本サイドとで接触をして、日朝首脳会談に向けた準備、地ならしは進んでいます。
一方で、このゴールデンウィークと、それから12日に帰国する2回目まで含めて、拉致被害者のご家族、横田めぐみさんの弟さんの拓也さんが、ワシントン、あるいはニューヨークの国連本部に行っていたということです。後半の方は官房長官もいらっしゃっていましたけれども、何人かの議員が毎年一緒に行っています。そのなかの元拉致問題担当大臣で、社会保障を立て直す国民会議という会派に所属している松原仁さんに話を聞きましたらば、米朝首脳会談で拉致問題に言及をしたことがあったというだけではなく、一方で日本側がもう少し強い、例えば、金正恩委員長の個人資産を制裁対象にすることも考えていいのではないかと言ったら、NSC(米国家安全保障会議)のポッティンジャーアジア上級部長が身を乗り出して非常に積極的だったということです。だから、「会うのだけれど、一方ではちゃんと更なる制裁もいろいろ考えている」という構えだと思います。

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