露朝首脳会談~それぞれの狙いは何か

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月19日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。金正恩委員長とプーチン大統領による露朝首脳会談について解説した。

北朝鮮の金正恩氏が今月後半ロシアでプーチン大統領と初の首脳会談か

ロシア大統領府は18日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が4月下旬にロシアを訪問し、プーチン大統領と初の首脳会談を行うと発表した。具体的な日時や場所は明らかにしていないが、プーチン氏の外遊日程から4月24日にロシアの極東ウラジオストクで会談が行われるのではないかという観測も出ている。

飯田)24日か、或いは25日が軸か、という話も出ています。

宮家)ウラジオストクの南の方に川が流れているのですけれど、その川の反対側は北朝鮮なのです。そしてその川の上流の方に中国領があるのですよ。あの地域は中国領と北朝鮮領とロシア領が一緒になっているすごいところなのですね。逆に言うと、北朝鮮領内からバスに乗って1時間位走るとウラジオストクに着いてしまうわけです。北朝鮮のリーダーにとっては行きやすい。モスクワまで列車で行くのは大変でしょう。
なぜこんなことが起きるかと言うと、トランプさんが2018年6月12日にシンガポールで金正恩さんと会談して国際的な認知を与えて、物事が動き始めたからです。プーチンさんからすれば「俺たちだって極東に領土がある当事者なのだ」ということでしょう。実はあまり関係無いのだけれど。
プーチンさんの関心はクリミアの変な経済制裁をやめてほしい、ということ。しかし米国はやめるわけがないのですよ。だからロシアはシリアにちょっかいを出して、アメリカが勝手なことをするならアメリカが嫌がることはいくらでもできるのだということを行動で示すわけです。
それと同じようなことを北朝鮮でもやる機会を狙っていたのだと思います。北朝鮮が好きだから会談するわけではないし、あの国を守ろうという気もないけれど、とにかくアメリカが何かを動かし始めて、上手く行きそうなところは、全部それを潰せるような形でロシアが介入する。その意味では、この間のハノイでの米朝首脳会談が上手く行かなかったですから、これはロシアにとっては絶好のチャンスですよね。金正恩さんからすれば中国だけでは足りないし、南の文在寅さんも頼りにならないから、こうなったらもう仕方がない、ロシアだと。日本というわけにはいかないから。というわけで、金正恩さんご本人は上手くやっているつもりなのだと思いますけれども、ロシアの国力を考えたら北朝鮮を抱え込むような力は全然無いです。状況を見てロシアの国益を最大化するためにプーチンさんが上手く立ち回って行って、それを金正恩さんも受け入れたということでしょう。もしくは逆なのかもしれませんけれど。

ロシアは受け身の動き

飯田)メールもいろいろいただいております。文京区の“内憂外患”さん。「ウラジオストクで行われると予定されている金正恩氏、プーチン氏の会談。北の軍部強硬派に促された金氏を、プーチン氏が制裁緩和をエサに対米強硬路線に引き戻すことをもくろんでいるのでしょうか。北の内部はどうなっているのでしょうか」といただきました。

宮家)どうでしょう。そこは私も専門家では無いから分からないですけれど、ロシアが北の軍部とつながっているという感じでもないのですよね。労働党の軍隊ですから、軍に関しては中国の方が関係が深いと思います。
プーチンさんとしては北のなかで、もしくは朝鮮半島のなかで何かを引き起こそうというよりも、とにかく自分たちも極東の国なのだから、この地域でのロシアの権益が侵されるようなことだけは困るので北朝鮮とはきちんと連絡は取っておきたい。あとはアメリカに恥をかかせることができるような球として持っておきたいということだと思います。そういう意味では、どちらかと言うと受け身の動きではないかと私は推測していますけれども、どうでしょうか。

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