幼保無償化法案が衆院内閣委で可決~「無償化」よりも大切なこと

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月4日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。4月3日に衆議院内閣委員会で可決された幼児教育と保育の無償化法案可決のニュースについて解説した。

幼保無償化法案が衆院内閣委で可決~「無償化」よりも大切なこと
幼児教育と保育の無償化法案が衆議院内閣委員会で可決、今国会で成立へ

4月3日、幼児教育と保育の無償化を実現するための子ども・子育て支援法改正案について、衆議院内閣委員会で採決が行われ、与党や国民民主党、日本維新の会の賛成多数で可決された。与党側が今年(2019年)10月からの施行を確実にするため採決に踏み切ったもので、法案は来週中にも衆議院を通過し、参議院に送られ、今国会で成立する見通し。
この委員会で答弁する安倍総理大臣は、次のように述べている。

安倍総理)今回の消費税率引き上げにより作り出される財源を思い切って投入し、本年10月から幼児教育・保育の無償化に加えまして、2020年度からは、真に必要な子供達の高等教育を無償化するなど、これまでとは次元の異なる政策を実行することにより、子育て、養育にかかる負担を大幅に軽減し、日本を、子どもたちを生み、育てやすい国へと転換していきたい。

飯田)改正案は3歳~5歳児は原則全世帯、0歳~2歳児までは低所得世帯を対象に、教育・保育無償化となっております。野党は対応が分かれたという感じになりました。

鈴木)決して悪いことではないです。極端な言い方をすると当たり前のことかもしれない。子どもというものは宝です。だから社会や国が育てて行く、行政が育てて行くのだと。いろいろな環境によって教育が差別されてはいけない、子どもたちはみんな同じようにしっかりと教育を受けられる。この精神は間違っていないし、その一歩だと思います。ただ、私に言わせれば一歩中の一歩の一歩の一歩ぐらいの養育に、ようやく踏み出した感じ。安倍総理が国会でこのテーマについて述べているのを聞いていますけれど、一体これは何のためにやるのかという、その目的をもう1度みんなが認識するべきだと思います。

幼保無償化法案が衆院内閣委で可決~「無償化」よりも大切なこと
生産性を上げるために子育てをするのではない~少子高齢化対策になるのか

鈴木)安倍さんは、ときにはこれを人づくりということを絡めて言う場合がありますが、人づくりとはどういうことかと言うと、いまの政府の方向としては少子高齢化のなかで生産性を上げて行かなければならない。だから極端な言い方をすると、国がしっかり子どもの面倒をみると、その代わり子どもたちにしっかり勉強させて生産性をあげてくれと、つまり社会のために働いてくれということです。それはちょっと違う気がするのです。私は生まれて来た以上、人間の権利として教育を受ける権利があるものだから、人づくりのためではないはずだと思います。
少子高齢化対策だというニュアンスのようなことを言う場合もある。でもこれによって本当に少子高齢化対策につながって行くのか、保育料を出してくれるのなら「はい、次は子どもを作りましょう」となるでしょうか。そこまで効果があるのか。

幼保無償化法案が衆院内閣委で可決~「無償化」よりも大切なこと
無料化より保育所の数を増やすべき

鈴木)それからお金を使うと言うのなら、現場のことを本当に思うのであれば、むしろ待機児童がたくさんいるわけだから、無料にするよりも保育所の数をしっかり増やしてほしい。そっちの方が先ではないか、という意見が当事者から出ています。
それと税の使い方としてどうなのか。税の再分配ということで言うと、今回無償化の恩恵を受けるのは高収入の人です。収入の低い人は既に市町村で無料化しているところがかなりあるので、高収入の人が恩恵を受ける場合が多い。ということは税の再分配という意味ではどうなのか。
いろいろなテーマがあります。だけど根本的には子どもたちは等しく育てて行こうとする社会、その精神に戻って考える。もう1度原点を見直す必要があると思います。

飯田)大事な問題ですが、年金・医療・介護だとか、その辺がずっとテーマになっていて、ようやく子育て世代、30〜40代向けの政策が議論され出したなとは思いました。

鈴木)気をつけなければいけないのは、若い方にシフトして高齢者が切られて行くということになると、これはまずい。両方やらなければいけない。

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