習近平国家主席が仏マクロン氏らと4者会談~中国の投資攻勢への向かい方

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月27日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。ヨーロッパを歴訪中の習近平国家主席について解説した。

習近平国家主席が仏マクロン氏らと4者会談~中国の投資攻勢への向かい方

パリで記者会見に臨む(左から)欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長、習近平・中国国家主席、マクロン仏大統領、メルケル独首相(フランス・パリ)=2019年3月26日 写真提供:時事通信

習近平国家主席が仏マクロン大統領、独メルケル首相らと4者会議

中国の習近平国家主席は26日、フランスのマクロン大統領の呼びかけで集まったドイツのメルケル首相、EUのユンケル委員長と首脳会談を行った。マクロン大統領は会談後の声明で習近平国家主席に対しEUの結束を尊重するように望むと求め、中国の投資攻勢を牽制している。

飯田)習さんのヨーロッパ歴訪、イタリア、モナコ、フランスと来ましたけれども、イタリアで一帯一路の覚書に署名をしたり、切り崩しをしているというようにも報じられています。

高橋)しているのでしょうね。切り崩しが簡単なフランスやドイツに行っているわけですから。それは習さんもアメリカにやられて大変だからやっているのでしょう。しかし、中国の投資攻勢ですが、ドイツは投資を受けられないとダメだというところもあるし、牽制するならば、ヨーロッパも中国に対して「投資させてくれ」と言うのがいちばん簡単です。中国としては拒否してしまったら「なぜ?」という話になるでしょう。しかし、中国は拒否するのですよ。投資されてしまったら、自分の政治体制が持たないですからね。一党独裁の社会主義国は生産手段の国有化が大原則なのですけれど、生産手段は土地とか企業なので、そこに海外が投資してしまったら国で管理ができなくなって体制が崩れてしまう。こういうときには、「投資しないでくれ」と言うよりは「EUも中国に投資させてくれ」という方が効くのです。

飯田)EUの企業や日本の企業も行ってはいますけれど、基本的には合弁という形ですか?

高橋)そう。支配権を持てないのですよ。金だけ出すというパターンで最悪なのですけれどね。支配権を持てるようにと言えば、中国はびっくりしますよね。国内でだって、共産党が主導するという建前なので、外国企業に共産党が主導はできないでしょう。

飯田)そうですね。

高橋)中国は資本の取引について完全な自由化ができないから、OECDに入れないのですよ。だからこれから投資も活発にやって行こう、両国間の関係を深めよう、ひいては「中国もOECDに入って資本の自由化をして下さい」と言うのがいちばん効くのですよね。

飯田)なるほど、多国間主義をお互い守って行こうとか、対トランプ牽制みたいなことが日本では言われていますけれど。

高橋)だったらOECDに入ってください、そして一緒にやりましょうと言うのがいちばん効くのですけれどね。

飯田)そもそも根本のところで経済がまったく異質なものなのですよね。

高橋)まったく違う。OECDに入れないこと自体が変でしょうと、そこから分かった方が良いのですよね。表面的に何となくやっているように見えるのだけれど、根っこのところはOECDにも加盟できないくらいなので、対外的に資本取引について閉鎖的にならざるを得ないのが中国なのです。そこを使ってEUのユンケルさんも言えば良いのですよ。EUも是非中国にどんどん自由に投資したいとか、そうしたら逆にびっくりしてしまいますよ。

飯田)そうか、その意味で言うとこの間、安倍総理が一帯一路の協力条件について4つの条件を出したではないですか。資本の透明性であるとか。

高橋)それなのです。お金だけ出すのではなくて企業も買わせてくれと言ったらいい。そうしたら中国共産党はびっくりします。中国共産党は主導できないものが来てしまうのですから。そういう形で逆手にとって外交はやった方が良くて、そういうことは多分分かりながらやっているのだと思います。だから協力しているように見えるのだけれど、根幹的なところはできないですよ。

習近平国家主席が仏マクロン氏らと4者会談~中国の投資攻勢への向かい方
相互主義では進められない中国

飯田)G20が間もなく来ます。そこには中国も含めていろいろな国が参加していますけれど、かつて不均衡みたいなことが言われたではないですか。こちらは投資できないのに、向こうはガンガン投資しているし、そっちは輸入してガンガン輸出して来るけれど、こっちはそんなに輸出ができないとか。その辺がもう1度議題にあがって来たりしますか?

高橋)特にお金の話について中国はアキレス腱ですからね。安倍さんは言ってしまうかもしれませんね。相互主義でもっと大きく、多国間式でガンガン行こうとかね(笑)。トランプさんには「どうせ中国はできませんから」と言っておけばいいのでしょう。

飯田)それを事前に言っておけば。

高橋)フルオープンで全部相互主義にしたら、日本は有利になりますよ。資本取引も全部自由と。中国もそれでやりましょうと言ったら、「いや待ってくれ」となりますよ。

飯田)確かにそういう意味で日本は切れるカードはいっぱいあるのだけれど、あまりそれが報じられないですよね。

高橋)だから外交のなかでは水面下で蹴っ飛ばし合いをしているのでしょうけれど、上の仲良くしている部分だけを報じるとこういう形になるのかなと思いますけれどね。

飯田)そもそも、この一帯一路は上手く行くのですか?

高橋)行かないですよ。中国国内が大変だから少し国外にはけ口を生み出しているのだけれど、中国流のやり方ですから、いろいろな国からお金を借りたら土地を取られてしまったとか、そういうものが沢山ありますよね。パキスタンの地下鉄も上手く行っていませんし、基本的に一帯一路は上手く行っていません。ルールが違いすぎますよ。

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