安倍総理が自民党総裁4選を否定 権力闘争勃発か?

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月21日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。安倍総理が自民党総裁4選について否定したことの意味について解説した。

安倍総理が自民党総裁4選を否定 権力闘争勃発か?

日本商工会議所の通常総会であいさつする安倍晋三首相。後ろは三村明夫会頭=15日午後、東京都千代田区
撮影日2018年03月15日 提供産経新聞

 

安倍総理、自民党総裁連続4選を否定

安倍総理は昨日、日本商工会議所の通常会員総会で、自身の自民党総裁連続4選について強く否定しました。総理は日商の三村会頭が3期目を目指す意向を表明したことに触れて、次のようにコメントしております。

『記者会見で三村会頭は、マックスであと1期と仰ったと伺いました。さすがに4期目は考えていないよという事かと思いますが、私もまったく同じ心境であります。私の場合は連続3期、9年までというのが自民党の明確なルールでございますので、正真正銘3期目が最後の任期となります』

飯田)正真正銘3期目が最後のルールでありますと言ったわけですが、ここのところ自民党の幹部から4選もあるかもという声が出ています。

鈴木)自民党の幹部からというよりは、二階幹事長が4選と口にしたというのが大きいです。安倍総理が今回、私はやりません自民党のルールは3期9年ですからと仰いましたが、2期6年だったルールを3期9年に変えたわけですから、そういう意味では4期12年というルールに変えようと思えば変えられるわけです。例えば安倍さんが一生懸命やろうとしている憲法改正にしても、北方領土にしても拉致問題にしても、まだ志半ばであるならば、もう1回という思いにならないとも限らない。だけれどもこのタイミングでは「ない」と言わざるを得ないわけです。
それは二階さんがあぁいうことを言ったために、いろんなところで影響が出てくるわけです。FNNの世論調査で『4選についてどう思いますか』と聞いたところ、ちょっとやりすぎ、長いといった反対の方が多いんです。となると今まさにこれから選挙があるタイミングで悪影響が出てしまう。だから安倍さんとしては「いやいや、そういうことは。まだそんな話はありませんよ」という風に否定をする、ということなんだと思います。否定したらしたで、安倍さんはこれで終わりなんだといって、求心力がなくなってしまいます。実はこれについて発言すること自体がマイナスなんです。だけど発言せざるを得ないように持っていったのは二階さんの4選の会見となるわけです。
となると、二階さんは何でこのタイミングであぁいうことを言ったのか。これもずっと取材してあちこちで書いてきましたが、このところやはり二階幹事長の頭越しに官邸が動くケースが多い。例えば選挙の問題であったり、田畑毅前議員の処分の問題。これは官邸主導でやって二階さんは知らされていなかった。結局官邸が頭越しにやっているところがあるわけです。二階さんにしてみると、誰が幹事長なんだと。今まで政権を安定させてきたのは誰なんだと。そういう思いがあるわけです。
官邸に対しての牽制球というか、要するに今後の安倍さんにしても政権にしても俺が握っているんだぞと、ある種の牽制、ブラフという意味合いがあると思うんです。そういう駆け引きの中で4選の話が出てきたんだと思います。これは一歩間違うとさっき言ったように、世論は批判的になり、こういうことを言う安倍さんに求心力がなくなり、政局になってしまうという危険性もあるんです。

飯田)不思議なのが、二階さんの発言が注目されていますが、その前に自民党総務会長の加藤勝信さんも4選の可能性について発言しています。あれは2月の末くらいでしたか。

鈴木)早かったですよね。僕も正直びっくりして、真意はどうなんだろうかと。本当に応援しているのか、客観的にそういうこともあるという風に言っているのか。逆に今回と同じようにそれを言うことによって安倍さんに「出ません」と言わせようとしているのか。真意を加藤さんが明かすことはないけれども、おそらくは様子見の観測気球のような形だったんじゃないでしょうか。加藤さんは安倍さんとは関係は悪くないですから、

飯田)官房副長官をやって大臣もやって総務会長で。しかも元々義理のお父さんにあたる加藤六月さんは安倍さんのお父さんの最側近のおひとり。

鈴木)しかもお母さま同士の仲がいい。そういう中でどっちかというと安倍さんを親・安倍という側で言ったのかなとか、そういう見方もあります。でも二階さんは人脈や野党・公明党とのパイプや党内の派閥の数や、これまでの百戦錬磨、剛腕。そういうところからすると二階さんは幹事長で、やっぱり流れを作ることができるわけです。そういう力を持っている。だから加藤さんのが軽いというわけではないけれど、二階さんの発言とは重みは違いますよね。

飯田)この発言で主導権とを得ると考えると、加藤さんも自分の派閥は平成研究会、昔の経世会の流れですよね。茂木さんがいて加藤さんがいてというところを考えると、この発言で主導権って、面白いなぁって思ったんです。二階さんもここで主導権を引き込むという。

鈴木)そういう意味では権力闘争が起こっている。これは今の知事選と同じなんだけど、安倍1強で自民党が安定してくると、内部の争い、権力闘争が勃発しますよね。これが野党が強くて下手すると政権交代だなんて言っている時には内輪もめしている場合ではありません。安定しているからこそ権力闘争が出てきている。トータルで見るとやはり安倍政権が一応ルールでは最後だけど、次の政権に向けてポスト安倍に向けてレームダック(=死に体、役立たずの政治家を指す政治用語)なんて表現されるけど、いろんな内部の権力闘争が起きてくる。その中のひとつ。早いうちに修復しないとボタンを掛け違ったままずーっと行ってしまうと、非常に大きなヒビ、傷になるということですよね。

飯田)二階さんが4選はありうると発言した中でおや?と思ったのは、国内はさておき海外からの要請、ほかの国の元首がガタガタな中で安倍さんは長くやっていて安定感がある、その辺の要請で辞めることが出来なくなってしまうのではないかという指摘もありました。

鈴木)外交は安倍政権が長期だからこその評価としてありますが、権力闘争は昨日言ったことを平気でひっくり返します。二階さんがそう言ったからって、「俺、そんなこと言ったっけ?」って、世の中の流れ、世論は変わっただろ?ってそのひとことで流れが変わっていく。永田町の歴史をみていくと、権力闘争とはそういうものですから、ボールを投げ始めて、安倍さんがどう返していくか。安倍さんだって4選ありませんよと言っていても、どのタイミングでガッと変えてくるか分からないですよ。そういう意味ではスリリングと言っては失礼な言い方ですが、自民党の中ではグラグラと権力闘争が起こってきているなという感じがします。

 

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