混乱するベネズエラ~アメリカの介入はあるか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月15日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。ベネズエラで発生した停電について解説した。

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停電に乗じ、略奪されたベネズエラのショッピングセンターの店舗(ベネズエラ)=2019年3月12日 写真提供:時事通信

ベネズエラの大規模停電が復旧

南米ベネズエラのロドリゲス情報相は13日、国内の大半で1週間にわたって供給が途絶えていた電力が完全に復旧したとの見方を示した。電気の使用できない状態が長く続いたことで、病院や職場、学校などの施設では混乱が広がっていた。

飯田)独裁政権でアメリカと対立していることもあり、あまり情報が出て来ないなかで、病院などでは死者も出ているのではないかという報道もありました。

宮家)それはそうでしょう、電気が無いのですから。もともとアメリカとの関係は悪くなかったはずです。石油が出る国ですから、本来であれば豊かなところです。あの国がこんなことになってしまって驚きました。最初はどこかの情報機関が、破壊工作の一環として大停電を起こしたのではないかと想像するくらい、停電は絶妙のタイミングで起きました。マドゥロ政権にとっては非常に大きな問題です。ベネズエラは大きな国ですから、全土で完全に民生が安定する可能性は無いかもしれないですね。
そうすると、どういうことが起きるかと言うと、アメリカを中心とした国々は暫定大統領の方を認めているわけでしょう?

飯田)グアイドさんですね。

宮家)場合によってはベネズエラ国内に働きかけをして、軍隊を送るかどうかは別として、徐々に真綿で首を締めるように現政権を追い詰めて行く。場合によっては人道支援という名目で人を派遣して、中南米のアメリカと一緒に行動する国々が人や物資を送ります。物資は止められてしまったのだけれど、全土が完全に掌握できなくなれば、部分的には介入出来る可能性は十分にあるので、非常に心配しています。これでは終わらないですよ。

飯田)周辺から統治の空白みたいなものができて来て、そこで対立することになると、生身の人間同士がぶつかり合うタイミングも出て来るということですね。

アメリカの軍事介入はあるのか

宮家)現政権でいちばん手っ取り早いのは、反対派を一網打尽にしてしまえば良いのですよ。

飯田)独裁政権ですからね。

宮家)それをやったら、実際にやるかどうかは別として、アメリカは軍事介入すると公言しています。トランプさんにとっては痛くも痒くもないですし、本来であれば「アメリカファースト」のトランプさんらしくないですが、彼はやるかもしれませんよ。ベネズエラはいまのトランプさんにとって格好の国なのですよ。いろいろなことができて、もしかしたら拍手喝采になるかもしれない。直接介入すら考えているかもしれません。

飯田)もともとマドゥロ政権は軍がバックについていて強く、力による統治をやって来ました。それが突然、グアイドさんという人が暫定大統領として出て来ること自体も驚きました。

宮家)一応、民主主義をやっており、その結果反対派が議会を占めてしまって・・・、彼、グアイドさんは議長だったでしょう。それが今や暫定大統領だと言うわけです。まだ民主主義をやっているのだから救いはあると思うのですが。ベネズエラでは民主主義のなかで独裁政権ができて、それが先代同様、反米政策でやって来た。そのベネズエラ現政権にもそろそろ黄昏が来たのかなと。あそこまでやっちゃいけないな、と思います。

飯田)インフレが相当進んでいるのが心配ですね。

宮家)めちゃくちゃなインフレですよ。可哀想なのはベネズエラ国民です。

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