米朝首脳会談決裂の原因はアメリカによる北朝鮮“ナンバー2”の見誤りだった

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月4日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。アメリカが米韓合同軍事演習を中止する理由と、米朝首脳会談が決裂した原因について解説した。

大規模な米韓合同演習~中止へ

アメリカ国防総省は韓国との協議の結果、毎年春に実施していた大規模な米韓合同軍事演習を中止することを決めたと発表した。北朝鮮の非核化を巡る米朝交渉に配慮した措置で、今後は規模を縮小させた演習に置き換えるとみられる。

飯田)これに対しトランプ大統領はTwitterで、何億ドルものアメリカの金を節約するためだ、現時点で北朝鮮との緊張緩和も良いことだと主張したということです。この判断ですけれども、当然北朝鮮との交渉も絡んでのことになると思いますが。

須田)もちろんそうですね。「演習」と日本語に訳すと柔らかいイメージになるのですが、軍隊を動員するということで準戦時態勢に入るのです。いつでも北朝鮮を攻撃することができるのがこの演習の期間中です。だから北朝鮮サイドはこれを嫌がるのですね。相当反発していました。その反発を和らげるためにも、演習を中止することは米朝首脳会談を受けて、今後も交渉を続けて行くという気持ちの表れだと思います。

飯田)これも1つのサインですか。

須田)サインですね。今回の米朝首脳会談が決裂してしまったのは、進め方の手続きに食い違いがあったのではないかと思います。意識の差と言うか、そこにはパーセプションギャップが発生していた。アメリカは全面的な核ミサイルの放棄と共に、全面的な制裁解除と経済支援をワンセットで考えていたと思います。
それに対して北朝鮮は段階的に、最初は寧辺核施設を放棄します、これを解体するのにアメリカの技術者も入ってもらってけっこうですと。その代わりアメリカは何をしてくれるのですかと言うように、段階的に物事を進めて行こうとした。その北朝鮮の思惑とアメリカの思惑が合致しなかったのが、決裂の最大の要因だと思います。
アメリカは、なぜこんなに認識の差が出て来てしまったのかをフル回転で調べています。昨日アメリカの関係者から聞いた話によると、アメリカは北朝鮮の意思決定の構造を見誤っていたのではないかという分析結果が出つつあるようです。

北朝鮮のナンバー2は金英哲(キム・ヨンチョル)氏ではない

須田)どういうことかと言うと、我々はポンペオ国務長官のカウンターパートナーである金英哲(キム・ヨンチョル)氏をナンバー2と認識して、そこと手続きをして行けば、最終的には金正恩氏が首を縦に振ると、そう踏んでいた節があるのですよ。
ところが、どうもそうでは無かった。ナンバー2はどうも他にいるのではないか、その間にどうもワンクッション入っているということが、ここへ来て見えてきた。アメリカサイドは、物事を進めて行くには実質的なナンバー2と話をしなければ、前に進んで行かないという結論に達しつつあるのです。
この話はまだまったく報道に出ていません。

飯田)北の体制を考えると、今回ベトナムでの首脳会談に随行した人たちの顔ぶれを見て、いま出て来た金英哲氏は人民武力相でもあって、情報機関のトップでもあるので適任だと思ったのですが、そうではない。かと言って外相の李容浩氏だとか李洙墉氏という外交ラインでも無いわけですよね。

須田)どうも金英哲氏よりは、北朝鮮では執事、或いは一族である格上で、しかも情報機関を統括している人物がいるというのが見えて来たようなのです。

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【拉致被害者家族会・救う会合同会議】会議後、会見する(右から)飯塚繁雄さん、横田早紀江さん、横田拓也さん、横田哲也さん=2019年2月17日 写真提供:産経新聞社

小泉政権時、拉致被害者が戻って来た際の交渉先

飯田)やはり北朝鮮という国は情報機関が優位なのですね。

須田)そうですね。日朝首脳会談、小泉政権のときに一部ではありますが、なぜ最終的に拉致被害者が帰って来たのかと言うと、情報機関のトップが首を縦に振ったからなのです。日本は水面下でそこと交渉していたのです。いくら北朝鮮の外務省が了解しても、そこが動かない限り物事は前に進みません。

飯田)アメリカと北朝鮮の交渉と言うと、昔もCIAの人が極秘に向こうへ飛んでいたみたいな話がありました。情報機関同士でやらないと、ことは進まないのですか?

須田)北朝鮮はそこが国の根幹を握っていますから。情報機関がと言うよりも、根幹を握っているのが情報機関のトップであるということです。

飯田)日本も、安倍総理が「今度は私が向き合わなくては」と言っているという報道がありましたが、そうすると、どのルートを使うかは非常に難しい判断となりますか?

須田)実質的なナンバー2とのルートを構築する動きが、これから日本サイドにも出て来ると思います。

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