愛犬は映画デビュー&アラフォー飼い主はトリマーになり青森にUターン~愛犬が変えた人生

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【ペットと一緒に vol.132】

愛犬は映画デビュー&アラフォー飼い主はトリマーになり青森にUターン~愛犬が変えた人生
地元の青森市で、2016年にトリミングサロンをオープンした村井倫子さん。たまたま東京で暮らしていた時代に迎えた1頭の愛犬が、村井さんの人生を大きく変えました。愛犬の出産、映画デビュー、村井さんのトリマーへの転身……。今回は、村井さんと愛犬との12年間のストーリーを紹介します。

村井さんは12年余り前、ひとり暮らしをしていた東京で1頭のミニチュア・シュナウザーを迎えました。名前はミンクちゃん。

「本当にかわいくて溺愛しましたね。それまでは自宅と職場の往復で、近所の知り合いもいませんでした。でも、ミンクと散歩するようになってから、いわゆる“犬友”もたくさんできたんです。犬友みんなで集まってバーベキューや花見をしたり、犬連れ旅行や川遊びを楽しんだり。私の生活が、愛犬のおかげで一気に健康的になりました(笑)」。

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犬友の愛犬たちとの集合写真

その犬友に、同じミニチュア・シュナウザーを飼っている人がいたのがきっかけで、ミンクちゃんは交配をすることになったとか。
「2頭目を迎えたかったのですが、ミンクはすごくヤキモチ焼き。もしかすると私の愛情を取られると思って2頭目をうとましく感じるかな~って心配で。でも、自分の赤ちゃんなら大切に育てて仲良くしてくれるに違いないと、ひらめいたんです」と、村井さんは語ります。

3頭生まれた子犬を、ミンクちゃんはとてもかわいがったそうです。最初に生まれたメスを、村井さんは手元に残しました。

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ミンクちゃんの赤ちゃん(一番左が村井家に残したメロウちゃん)


竹野内豊さん主演の映画に出演

念願の多頭飼育ライフを満喫していた村井さんですが、ある日、犬友をつうじて親しくなった映画関係者から思わぬチャンスを教えてもらったとか。

「竹野内豊さん主演の映画に出演する犬を探しているという話でした。ミンクかメロウが映画デビューだなんて、とてもワクワクしましたね。ミンクは人懐っこいですし臆病でもないから、向いているんじゃないかと思ってオーディションに参加したんです」。

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ポスターに登場したミンクちゃん

結果は、みごと合格! 映画『ニシノユキヒコの恋と冒険』のポスターにも登場することになりました。
「ほかの参加犬より、おやつに対して従順でやる気を見せたからだと思います(笑)。ミンクの出演時間はトータルで10分もありませんが、本当にいい思い出になりました。家宝ですね」と、村井さんは微笑みます。

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イラストに描かれてグッズにも登場


毛の薄い愛犬が誘った、トリマーへの道

現在、村井さんは出身地の青森に戻ってトリミングサロンmink’sを経営しています。

「ミンクは、毛量がたぶんもともと少ないんです。だからトリミングサロンに出しても、なんかショボくなって帰って来ることが多くて」と、村井さんは東京時代を振り返ります。ならば自分でトリミングをしてみようかと、近所のペットクリニック併設サロンで開催された、飼い主さん向けの1日トリミングセミナーに参加してみたそうです。

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村井さんがトリミングした後のミンクちゃん

「そうしたら、トリミングの楽しさに目覚めてしまいました(笑)。道具をそろえて、犬友の愛犬をトリミングするようにもなったんです」。

本格的にトリミングを勉強したくなった村井さんですが、東京でスクールに通いながら仕事と“育犬”を両立するのは厳しいと考え、里帰りを決意。
「アラフォーですから、トリミングスクールを卒業したら自身でサロンを経営することを念頭に置いていました」と、村井さん。

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東京を去る前に犬友がくれた寄せ書き

ようやく見つけた、犬OKの賃貸物件でトリミングサロンをオープンしたものの、最初はなかなか顧客がいなくて夜間のアルバイトなども掛け持ちながら家賃を払う生活だったとか。

「いまは経営も軌道に乗って来て、やりがいのある日々を過ごしています。自身の犬でも犬友の犬でも、これまで経験を豊富に積めていたのがよかったですね。来店したワンちゃんの病気を発見したことも何度もあります」と、村井さんは言います。

皮膚病の発見のほか、腹部がぽっこりしているけれどもただの肥満とは違うので内分泌疾患か何かかもしれないと飼い主さんに伝えて受診を促したところ、動物病院でクッシング症候群が発見されて感謝されたこともあったそうです。

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青森市内の雪道を散歩するミンクちゃんとメロウちゃん

「『わぁ~、かわいくなった~』と、飼い主さんが笑顔になられる瞬間を毎日見られるのが、本当にうれしいですね」と、笑顔を見せる村井さんは、これからは地元で、愛犬家から頼られる存在として活躍の場を広げて行くことでしょう。

連載情報

ペットと一緒に

ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!

著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。

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