イージス・アショアシステムによって日本の迎撃能力はどう変わるのか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月31日放送)に元航空自衛官・評論家の潮匡人が出演。日本のミサイル防衛システム、イージス・アショア導入について解説した。

アメリカが日本へのイージス・アショア2機の売却を承認

アメリカ国務省は29日、地上配備型の迎撃ミサイルシステム、イージス・アショアを日本政府に売却することを承認したと発表した。売却価格は関連費用を含め、日本円にしておよそ2,350億円。日本政府は北朝鮮の弾道ミサイルなどを常時警戒するため、2017年にイージス・アショアの導入を決定している。

飯田)これは米国本土ではなくて日本を防衛するためのものですね。

潮)もちろんそうです。アメリカ本土に飛んで行くものについて、このイージス・アショアで防衛できるのかについては疑問符が付きますが、日本に着弾する弾道のミサイルについては、現状周辺国に配備されているもので迎撃が期待できるということです。日本には既にイージス艦やPAC3がありますが、例えば北朝鮮などが同時に多数撃って来た場合、こちら側の迎撃できるシステムも2重3重になればより安心です。1つでも多くあった方が日本の盾としては強化されるでしょう。

迎撃よりも敵基地攻撃の方が技術的には易しい

飯田)導入されるときに盾と矛論として、そうは言っても向こうは撃って来るから根本を断つという議論もありました。これは下火になってしまいましたね。

潮)日本がやろうとしているのは、弾道ミサイルが落ちて来る段階、あるいはその途中の段階で迎撃しようとしているわけです。このイージス・アショアについても大気圏外で迎撃するシステムなのですが、技術的にも非常に難しい問題をクリアしていかなければなりません。発射直後に宇宙空間から、あるいは無人機を近づけてその時点で撃墜する方が技術的にはより簡単ですし、もっと簡単なのは発射される前に叩く、そもそも動いていない目標に攻撃する方が簡単で、軍事的には有利です。しかし、なかなかそれが敵基地攻撃論と相まって、専守防衛の枠を越えるのではないかとか、憲法上の問題でこれまで何度も先送りされて来たのです。
仮にこのイージス・アショアが高過ぎるという批判があるのであれば、むしろそうした敵基地攻撃の能力を整備して行く方が、コストパフォーマンスとしては優れていると思います。

飯田)新しいものを導入するときに意思と能力があって、意思の部分は憲法改正などいろいろとありますが、能力については航空自衛隊、海上自衛隊などはあるのですか?

潮)現状ではJDAMというミサイルがその一定の能力を持っているわけですけれども、いわゆる敵基地攻撃はアメリカ軍がときどき行うように、パッケージで編隊を組んで飛んで行く、電子戦専用のものが必要であるとか、軍事的なリアルタイムの情報が日本に入って来ないとどこを狙えば良いのかわかりません。様々なことが今後必要になって来ると思います。

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