アメリカが中国に「貿易戦争」を仕掛ける本当の理由

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ニッポン放送「飯田浩司の OK! Cozy up!」(1月23日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。米中関係から日本を取り巻く東アジア情勢について解説した。

韓国 ファーウェイ 副会長 北朝鮮 文在寅 金正恩 米中 貿易戦争 トランプ

中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)(ロシア・モスクワ)=2014年10月2日 写真提供:時事通信

アメリカがファーウェイ副会長の引き渡しをカナダに要請

カナダのグローブ・アンド・メール紙は21日、中国通信機器王手ファーウェイの孟晩舟副会長について、アメリカがカナダ側に対して身柄の引き渡しを正式に要請する方針だと報じた。報道では、今月30日が期限。

飯田)ネタ元がカナダのマクノートン駐米大使が取材に答えたものだということで、オフィシャルな筋から出ているなという感じもありますが、どう見たらいいのか。

高橋)「米中貿易戦争」が貿易でなくて本当の戦争かもしれないというレベルでしょう。もともと貿易戦争だけではないことはわかっていましたが。米中間の安全保障でどちらが覇権を取るかという話でしょう。ファーウェイは人民解放軍の人が作った会社だし、アメリカから見れば国営企業に見えるでしょうね。軍事的にもいろいろな協力をしているし、特に軍事技術上で、アメリカにとってファーウェイは要注意な企業でしょう。議会の報告書でもファーウェイはいろいろなところに、マルウェアや通信機器の部品をインフラに埋め込んで、いざというときに中国がそれを使ってインフラ攻撃をするというようなことは、ずっと言われ続けていましたから。それをオバマ政権は無視していたけれど、トランプ政権はそれに忠実だということです。
貿易戦争という形で仕掛けていますが、本当はこのような軍事技術の類はアメリカが独占したい、中国には許さないということです。インフラ攻撃は、はっきり言ってアメリカがやっている話ですよね。日本はもうすでにやられていますが、日本政府がすぐファーウェイに反応したのは、アメリカにやられているのは事実だけれど、更に中国にもインフラ攻撃されたら大変だと思って、ファーウェイをストップしたというのが実態でしょう。

飯田)アメリカに日本がやられているのですね。

高橋)スノーデンさんが言っているではないですか。全部インフラだ、支配していますよと。

飯田)相当いろいろなものがあのときに出て来ましたよね。

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中国広東省深圳市にある華為技術(ファーウェイ)本社キャンパス(ゲッティ=共同)=2018年12月7日 写真提供:共同通信社

次世代の石油である“データ”を中国に渡さないために

飯田)ネット上も含めて、データというものがある意味で次世代の石油のようなものだという言い方をしますが、確かに石油と米ドルで覇権を握ったアメリカとしては、次世代の石油を取られるのはまずいと。

高橋)恐らくそうでしょう。特に中国はまずいということで、貿易戦争を仕掛けている。アメリカはこういうものを仕掛けるのですよ。80年代に日米貿易戦争を仕掛けて来たではないですか。それ以降は為替で強烈な円高になったりして、日本はやられたわけです。結果的には経済成長もしなくなってしまった。中国も似たようなところに行くような気がします。

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アメリカは中国経済が潰れるまでやるかもしれない

飯田)しかも、データが石油だと考えると、確かにファーウェイは5Gという新しい規格で丸ごと取りに来たと、もういい加減に許せないと。

高橋)そういうことでしょうね。5Gは通信の部分の話ですけれど、もうちょっと上の方には安全保障の話があるから、アメリカは許せないのですよ。その一環が高関税、貿易の話になるし、ファーウェイ副会長の引き渡し要求なんかも出て来る。ファーウェイ副会長の話は、アメリカが中国に仕掛けているもののうちの1つではないですか。

飯田)そういう全体の絵を見ていくと、抜き差しならないものが長い間続く可能性が高い。

高橋)そうでしょう。根幹な話ですが、中国経済が本当にだめになるまでやるかもしれないですよね。

飯田)サイバーと宇宙もありますか?

高橋)宇宙もありますね。中国が月の裏側に行くというのは、ひょっとしたら資源を取りに行っているからという風にも見えますよね。南極は無理ですが、月の裏側は領有権がないでしょうから、先に行ったもの勝ち。そうだと思ったらアメリカも大変でしょうね。

飯田)そうするとアメリカも太陽系だとか、その先へという話をしていますが。

高橋)月の方が近いでしょうから、月は自分たちのものだと思っているかもしれませんよね。だって星条旗を立てていたではないですか。

飯田)確かにそうですよね。

高橋)中国も知っているから裏側に行くわけです。月を半分半分に二分してね。太平洋の半分半分よりは、まだいいかもしれないですけれど。

飯田)しかし太平洋が半分半分になると、我が国は中国側に入ってしまいますね。

高橋)だから太平洋は完全に人類共有のものとしてやってもらわないとね。

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20日、白頭山の山頂で記念写真に納まる金正恩朝鮮労働党委員長(左から2人目)と南朝鮮(韓国)の文在寅大統領(右から2人目)。両端は李雪主夫人(左)と金正淑夫人=2018年9月20日 写真提供:時事通信

今後、日本は韓国も意識しなくてはならなくなるか

飯田)東アジア情勢に落とし込んで、アメリカとの同盟国ということでいくと、日本がいて韓国がいるはずだったのですが。

高橋)日米韓も危ういですよね。これからは、北韓中かもしれない。

飯田)その3ヵ国と対峙してしまうかも。

高橋)文在寅さんは国防白書で、日本は価値観を共有する国だという記述を落としたり、北朝鮮は敵国だとしている部分を削除しています。明らかに変化がありますよね。政府の公式書類でしょう。

飯田)それを安全保障面で言ってしまったという。大きく報道されませんでしたね。

高橋)公式見解ですから。日本を切って北朝鮮と仲良くすると宣言したようなものです。

飯田)そうすると、日本の守り方は相当変わって来るということですよね。

高橋)いままでは北朝鮮と中国を意識すれば良かったのが、韓国も意識しなくてはいけなくなる。対馬などはフロントラインになってしまうのではないですか。

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