ロシアとの外相会議に島田首相秘書官が同席した理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月18日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。ロシアとの外相会談に島田総理秘書官が同席していたことについて解説した。

ロシアとの外相会議に島田首相秘書官が同席した理由
総理秘書官が外相会談に同席

総理秘書官というのは内閣総理大臣に対して政権運営や政策で助言をする他、与党や各省庁との連絡、総理の国会答弁のチェックなどを担う側近のことを言う。国内外への出張にも常に同行するなど、総理とは密接な関係にある。安倍内閣では6人おり、外務、財務、経済産業、防衛、警察、この各省庁から派遣された5人の事務担当秘書官の他、総理の政権運営や政治活動を支える政務担当秘書官がいる。

モスクワで14日行われた日本とロシアの外相会談に、防衛省出身の島田和久総理秘書官が同席していたことが分かった。外相の会談に総理の側近が同席するのは異例。

飯田)確かに外務大臣には外務大臣の秘書官が別にいるわけです。

宮家)私実はその外務大臣秘書官だったのですよ。ですから大体感じは分かりますが、秘書官制度というのは基本的には随分変わってしまっています。昔、もっと各省庁が強かった頃は、まさに大臣に政務の秘書官がついて、事務方としては1人つけて、それで仕事を円滑にしようとしていたわけです。総理官邸になりますと、政務の秘書官が1人いて、それに事務の秘書官が最初は2人いたのかな。(正確には大蔵、外務、警察の三人だった)

飯田)2人だったのですか。

宮家)全部で3人ぐらいでした。仕事が多くなり、総理官邸の直轄でやらなくてはならないことも増えて来るので、だんだん増やして来た。役所としてはできるだけ多くの秘書官を送り込みたいという気持ちも無いわけではないから。そういう形でいま6人になっているということです。
総理官邸主導で物事が決まるようになってきたことももちろんそうですが、今回はこの島田さんが出たというのは確かに異例ではあるかもしれませんが、私が総理だったら、なるほどな、と思うのです。これ日露の交渉ですよね。しかも、私がもしプーチンさんとやっているとしたらですよ、ラブロフという人はとても強力な相手なわけです。

飯田)強面できつい男ですね。

その場の雰囲気をはじめ、あらゆる情報収集のために秘書官を同席させる

宮家)長いしね。10人以上の日本の外務大臣とやっています。長いというのは全部知っているはずです。そういう人が、自分の大事なプーチンさんと会談がある。その前に外相レベルでやるわけですから。ラブロフは「こいつ何言うのだろう」「引っ掻き回すのではないか」と総理が思ったとしたらどうしますか?
本当だったらば自分の側近中の側近の、役人じゃない政治の側近入れたいところだけど、それはちょっとおかしいでしょ。外務大臣の会談ですから。そこでいろいろ考えた結果、ラブロフさんが「ああいう仕草をした」とか、「ああいう感じだった」ということは、文章の報告だけでは分からない部分があるでしょう。政治家というのは安倍さんに限らず、そのような皮膚感覚みたいなことを、ダブルチェックしたいのですよ。
ありとあらゆる情報を手に入れた上で、相手がどのように考えているかを知りたい。そのときに、信頼できる1人の秘書官を出して、その場の雰囲気がどういう雰囲気なのかというのを知りたかったのだろう、と私は思います。昔だったら考えられないかもしれませんが。

飯田)お前何しに来たってなってしまう。

宮家)いまは良い意味で何でもありですから。昔は政務の秘書官は、外務省の場合であれば、普通の外相会談に出なかったですよ。

飯田)同行もしないぐらいですか?

宮家)同行はしますが、同席はしませんでした。そういう仕切りがありましたが、それももう破れてしまった。いまはある意味で政治主導になっているから、秘書官の位置付け、もしくは役割というのもかなり大きく変わって来た。これから元に戻ることは無いですよ。役所の代弁者としての秘書官という時代は終わって、政治家の側近の1人として事務も政務もいる、と考えるのが普通だという時代になったということです。

飯田)来週、22日と言われていますが、プーチンさんとの首脳会談、そこで何が出てくるか。

宮家)そういうことですね。

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