ゴーン容疑者の勾留延長請求却下~日本の司法制度の問題点

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月21日放送)に外交評論家・キャノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。カルロス・ゴーン容疑者の勾留延長請求が東京地裁に却下されたことから、日本の司法制度の問題について解説した。

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2017年1月、米ラスベガスの家電見本市「CES」で、基調講演する日産自動車のカルロス・ゴーン社長(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

東京地裁がゴーン容疑者らの勾留延長を認めず、きょうにも保釈の可能性

日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者が、巨額の役員報酬を隠したとされる事件で、東京地裁は昨日、検察側が求めたゴーン容疑者と側近の前代表取締役グレッグ・ケリー容疑者に対する、きょう以降の勾留延長請求を却下した。東京地検特捜部の勾留延長請求が認められないのは異例のこと。なお、検察側は却下を不服として準抗告したが、これも棄却されている。

飯田)弁護士の保釈請求が認められれば、ゴーン容疑者はきょう中にも拘置所から保釈されることになります。ただ、弁護士はゴーンさんが「とりあえず海外に行きたい。日本から1回出る」と言っていて、裁判になったら帰って来るということです。

宮家)これはゴーンさんだけの問題ではなくて、日本の司法制度、日本の刑事訴訟手続きが抱える根本的な問題があるわけです。人権とか言う前に、日本の場合には推定無罪なのです。裁判で結論が出るまでは基本的に無罪なのだけれど、日本の起訴と有罪率のことを考えると、物凄く異常に高いわけですよね。簡単に言うと、アメリカで言えば疑わしいと思えばある程度調べて起訴してしまうわけですよ。その代わりに無罪になることも多いのです。
日本の場合には到底そんなことが許されないというか、いままできっちりやって来たから、逮捕した以上、その時点で既に黒。起訴したら真っ黒で、裁判でも真っ黒黒にしなきゃいけないわけです。それっておかしいじゃないか、という議論がまずあります。
さらに言うと、在日米軍の担当だったのでよくわかるのですが、在日米軍が犯罪を犯して捕まりますよね。そのときに必ず滅茶苦茶言ってくるのが、勾留期間が長いとか、弁護士の接見がないとか言われて来ていて、これは新しい問題でもなんでもなく、何十年も議論している問題なのです。
今回、勾留延長を認めないで釈放の可能性があると言うのだけれど、もしこれが外国からの評判を考えてやったのだとしたら、それは違うでしょうと思います。外国だろうが日本人だろうが、適正手続きが認められるべきなのであって、もし外国人においてその勾留がおかしいのであれば、日本人についてもそういうことがあってもおかしくないわけでしょう。それはちゃんとやって欲しい。今回の状況が異例だと言われること自体が非常に恥ずかしいので、日本の手続きというものがしっかりと内外無差別で、外国人だろうが日本人だろうが悪いことをしたら法に基づいて勾留し、接見を認めて正々堂々とやる形にならないといけないのだと思います。
こんなことを言うと検察の方に怒られるかもしれませんが、根の深い問題です。

飯田)外圧を受けないと変わらないのかなと思ってしまいます。

宮家)日本ってそうですから。だけど、これはみっともないでしょう。自分で決めなさいよ、というのが僕の意見です。

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