東名あおり事故~停車も危険な速度と認定して「危険運転致死傷罪」

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月17日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。東名あおり事故の裁判員裁判の横浜地裁の判決について解説した

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東名高速道路のあおり運転事故の判決公判が開かれる横浜地裁=2018年12月14日午前 写真提供:共同通信社

東名あおり事故~危険運転を認め懲役18年

神奈川県大井町の東名高速道路で去年6月、あおり運転で一家4人を死傷させた男の裁判員裁判で、横浜地裁は先週金曜、被告人に危険運転致死傷罪を適用し、懲役18年を言い渡した。

飯田)去年6月、石橋和歩被告26歳が一家4人が乗るワゴン車の前に割り込み、減速するという妨害運転を4度繰り返し停車させ、2分後に大型トラックによる追突で夫婦が亡くなり、乗っていたお嬢さんふたりがケガをしたという事件。停車後の事故ということで危険運転致死傷罪、運転していたとなるのかどうか、適用が争点でしたが、裁判長はあおり運転と追突事故の因果関係を認定しました。まず判決を御覧になっていかがですか?

須田)意外だったのは、危険運転致死傷罪が適用されたということです。そもそも予備的訴因という形で、今回の裁判は監禁致死傷罪と言うものを訴因に挙げていたわけですけれど、なぜこれが予備的訴因に挙げられたのかと言いますと、別に検察側が弱気になって「ちょっと危険運転致死傷罪では難しいな」と、だからこれをフォローで挙げておこうということではないのです。実は公判前整理手続きのなかで、裁判所側が場合によっては危険運転致死傷罪では適用できない可能性もある、だから予備的訴因のフォローで監禁致死傷罪を入れておきなさいと内々に検察側に要求していたのです。おそらく裁判所の方はそういった経緯も含めて考えますと、監禁致死傷罪、つまり停めたという行為に関して監禁罪が成立するという風に考えていたのではないかと思います。

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停車も危険な速度だと認定して、危険運転とした

飯田)世論のことも考えつつ、そこを予備で置いておかないと危険運転致死傷罪ではとれない、業務上過失致死傷だけになっちゃうぞと。

須田)かなり法を大きく解釈して、危険運転致死傷罪を適用して来たのではないかと思います。ポイントになったのは、高速道路では速度がゼロでも危険な速度に含まれる、停車も危険な速度だと認定して、危険運転としたところだと思います。
世論の感情として、これは加害者の方が大きな問題を起こしたのだから、死に至らしめたというところを適用すべきだと、「量刑の18年」は、みんなが納得できるところなのでしょう。ただ法のつくり方、仕組からすると、これは本当に当てはまるのかと言えば非常に難しかったと思います。弁護側も危険運転致死傷罪には当たらないと主張しましたが、そこについては立法の落とし穴があるのだから、国会の方できちんと対応すべき問題ではないでしょうか。裁判のところで法に「あたるあたらない」と争うのではなく、立法の部分できちんとフォローすべきだという意見も出しています。

飯田)いまのところ弁護側もすぐに控訴する感じでもないです。

須田)この判決を受けて、国会でどういう形で法改正という動きになるかというのも大きなポイントになって来ると思います。

飯田)もともとこの危険運転致死傷罪は適用条件が厳しいと、なかなか警察の方も持ち出さなかったという経緯があります。

須田)これで無罪となり、適用されなかったことが判例として残ってしまうと、実際には抜かずの宝刀になってしまうということを考えたのだと思います。

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