産業革新投資機構~破綻した本当の理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月12日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。経産省からの資金が取り下げとなった官民ファンド、産業革新投資機構について解説した。

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会見する産業革新投資機構の田中正明社長=2018年12月10日午後、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

経済産業省が産業革新投資機構への資金を全額取り下げ

経済産業省は昨日、官民ファンド、産業革新投資機構の民間出身の取締役9人が全員辞任表明したことを受け、来年度の予算案で求めていた機構への資金を全額取り下げる考えを明らかにした。発足僅か2カ月半で、投資活動は事実上休止状態となる。

飯田)給料で揉めていると報道されて来ていましたけれど。

高橋)本質的な話なのですが、私は30年以上前にこういうものは無理だということを学術論文に書きました。そのロジックを言うと、株式投資、これは官ではできません。なぜならば、公務員は全然市場が分からないから。だから民間の人を連れて来る。でもお金は公的な資金だから、その民主主義プロセスがあってきちんとチェックする。国のお金となるとスピードアップとか、結果だけという訳にはいかないから、過剰に関与する。そうすると民間の人が嫌になってしまう、だから潰れる…という話を書いたのですけれど、その通りです。

このような官民ファンドは失敗する

飯田)そのままのシナリオでここまで来ましたよね。

高橋)30年前に論文を書いたのですけれど、その後の歴史で、今回に限らず官民ファンドは大体ダメですね。官と民を引っ付けてやるのは、もともと無理なのですよ。どこかで矛盾が出るのですが、それが分かりやすく出ただけです。民間の人が来て国のお金を使いながら、自分たちは自由にやらせてくれと言うのは成り立たない。

飯田)自由に、独断の意思決定をしようとすると民主主義プロセスに阻まれてしまう。

高橋)経産省の人も民間の人も呉越同舟みたいなところがあって、みんなそれぞれの思惑でやっていて、形式だけ合わせていたということなのですよ。本音で言ってしまうと、民間の人たちだって、自分たちでお金を集めて、自分たちで投資していたら誰も文句は言わないし、それで終わりです。
経産省の方はお金を持って来るのだけれど、自分たちでは運用できないから、ここに来た人に頼んで。実はこの11人のうち、9人が辞めたと言うけれど、2人は天下りですから。経産省と財務省の天下りです。「天下りしたい」という思惑があるのです。
この事業も本当は時限的だったのです。産業革新投資機構というのは、去年で切れる予定だったものを今度は少し延長したのです。組織を時限的にやっていたけれど、「これが存在すると良い」という経産省の官僚の思惑があって、やっているということです。両方とも思惑があって、それが破たんしたというだけの話なのです(笑)。

組織を作らないと天下りができない

飯田)30年前から変わっていない。

高橋)この手の例はたくさんありますよ。この民間の人は「自分たちの志が通じなかった」と言うのだけれど、本当に志があるのだったら民間のお金でやって頂いてけっこうだと思います。どこかにやはり国のお金ということで、ちょっと違う意図があるのではないかと思います。出す方は出す官僚の方で、また違う意図があるのではないかと。
こういうものは成り立たないから、この際、この退任を奇貨として廃止すればいいと思います。

飯田)官民ファンドを。

高橋)どうしてこういうことをやるのかなと思いますけれどね。民間がやるのを少しサポートすれば良いだけでしょう。わざわざ国の資金でやるから話が変になってしまうわけで、もしこのように投資ファンドを作って、損失が出たときにはその損金を繰り延べして、税負担を軽くしてあげるというスキームを入れたって国の関与なのですよ。

飯田)なるほど。

高橋)天下りができないだけです。組織が作れないから、天下りできないでしょう。だから、関与するのは天下りをする為の大義名分で、そのモニタリングの為に天下りするというようになっているわけだから。
この民間の人も官僚の人も、それぞれスケベ心のようなものがあったとしか思えないです。ズバリ言ってしまうと。

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