トランプ大統領が「ファーウェイ製品を使うな」と言う本当の理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月26日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。トランプ大統領がファーウェイ製品を使わないよう要求したことについて解説した。

トランプ大統領、ファーウェイ製品を使わないよう要求

アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルは先週、トランプ政権が日本など同盟諸国に対し、ワイヤレスやインターネットの業者が中国の通信機器大手「ファーウェイ」の製品を使わないよう求める説得工作を始めたと報じた。中国による不正な通信傍受や通信遮断の脅威に晒される恐れがあるというのがその理由だ。

飯田)対象は日本に加えてドイツ、イタリアなどファーウェイ製品が広く使われている国々だそうで、安全保障上のリスクだと言っているとのことです。

須田)違った角度からの話になってしまうのですが、是非理解して頂きたいのが、例えばグーグルがありますよね。グーグルの住所録やアドレスのアプリがあるのですが、これは利用するユーザーだけが情報を見られるのではなく、システム管理者のグーグルもそのデータを見て書き換えることができるのです。これはシステム管理上当たり前の話ですが、そういった状況が嫌だということで、入れるデータを暗号化するソフトもあるのですよ。それを組み合わせてデータ入力しようとすると、画面上に「暗号化されたデータは受け付けることができません」という表示が出て来る。つまり、グーグルサイドはそれを見ることや書き換えることが前提なのです。恐らくアメリカ政府の要請に基づいての話です。

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既に我々もデータを取られているという現状

須田)そういう状況にあれば、当然同じような仕組みを中国サイドも作ってくるはずだというアメリカの大前提があるから、こういった対応に出て来ているということです。ここで気付かなくてはいけないのが、「中国製品を使うなんてとんでもない」ということではなく、我々はアメリカにも同じことをされているということ。いつでも私たちの個人データは覗き見することができるし、書き換えることができるのだと理解すべきだと思います。

飯田)これにはいろいろなものが連動していて、ネット上で航空券を買ったら、そのデータがなぜかグーグルマップにも表示されて来るとかね。点と点を全部つなぎ合わせたら、その人の個人情報が全部わかってしまうということが起こり得るのですよね。

須田)なぜそれらが構築されているのかを考えなければいけません。安易にアプリが無料で提供されているから、便利だから使うということが如何に危険かを考えてみるべきではないかなと思いますよね。

飯田)先人が言った「タダより高い物はない」の典型なわけですね。

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日本では報道されないのはなぜか

須田)アメリカはその辺りのことを独占したいのです。完全に情報、データを独占しておくことが、アメリカの覇権につながる。我々はその末端にいるのだと、改めて考えるべきです。しかもこれらは、ほとんど報道されていないではないですか。何に忖度しているのか分からないけれど、全くこういった情報が出て来ないのは異常だと思います。

飯田)アメリカでは、そういうデータの扱いを1社が独占している状況が不健全じゃないか、という議論もあったりして、ヨーロッパでは「いっぱいデータを採るのは良くない、溜め込むな」というデータ規制の指令が出たりしていますが、日本に関してはどうでしょう?

須田)日本はデータに対する安全保障上の意識がないのです。ヨーロッパはスパイ先進国ですから、もともと傍聴に関しては意識が高い。にもかかわらずGAFAを中心としたプラットフォームを全部アメリカ勢に取られてしまったものだから、危機意識が強いのです。
日本は、第二次世界大戦後その辺りの意識が全くないものですから、プラットフォームが無いなかでそれにどう向き合って行くのか、法整備も含めて考えるべきタイミングに来ているのだと思います。

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中国マーケットには、アメリカに対抗できる「分母」がある

飯田)いまGAFAという言葉が出ました。Google、Apple、Facebook、Amazonの4社の頭文字を取るとGAFAになると。一方で、中国にはBAT(百度・アリババ・騰訊)というものがあって、いわゆるプラットフォーム企業というやつですよね。

須田)ビッグデータを集めることができる会社ですね。特に中国の場合は人口が多いですから、分母が大きいだけにアドバンテージがあるのですよ。普通だったらアメリカの先行メリットを活かして、マーケットを席巻して行くのがアメリカの方式なのだけれど、中国はそれに対して分母を持っている強みがあるので、追い上げが可能なのです。

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すでに行われている個人データの流用

飯田)その会社たちがデータを取るだけだったらまだ「気持ち悪いな」と思うだけですが、選挙結果などにも影響が出るということがアメリカでも言われているし、今回の台湾選挙でも言われました。世論を作るみたいなところまで足を踏み入れて来ているのでしょうか?

須田)もう進んでいると思いますよ。

飯田)使おうと思えば使えちゃうわけですね。

須田)前回のアメリカ大統領選挙でも、一部ではそれが行われたのではないかと言われていますし、これだけソーシャルネットワークが発達しているなかで、意図的にか無意識のうちにか分からないけれど、既に行われている。それが大きな影響を及ぼしているのか、小さな影響に留まっているのかは別として、既にこういったことが実行に移されていると認識すべきです。

飯田)メディアに関しては、どこの国でも「公平中立」というものが一応はあります。ただ、プラットフォーム企業は「いや、僕らは仕組みを提供しているだけです。データについては使う人たちが決めるものだから、僕たちは関知しません」という形をいままで取って来ましたけれど、ここまでメディアに匹敵する以上の影響力を考えると規制も考えなければいけないわけですか?

須田)上からの規制が良いのか、自主規制でルールを明確化して行くのか、それを理解した人たちが利用して行くのが良いのか。その辺りのルール作りの方向性を考えるタイミングに来ていると思います。

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