「独身の日」セールから見る中国経済の今後

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月12日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。中国の独身の日(11月11日)に行われるネット通販セールについて解説した。

昨日「独身の日」で中国の爆買い3兆5,000億円

中国のネット通販大手「アリババ」は、毎年恒例となった11月11日の「独身の日」セールで、取引額がおよそ3兆5,000億円と過去最高を更新した。アリババによると、これまでの集計でもっとも取引の多かった上位3位は、1位から順に北京の家電メーカーXiaomi(シャオミ)、アップル、ダイソン。アリババはこのイベントをテレビ中継し、一大エンターテインメントとしている。

飯田)「中国全体の経済の先行きを占うもの」みたいな書き方もされていますね。

須田)個人消費の動向が、独身の日の消費動向から見えて来るのですよ。中国はGDPに対する個人消費の割合という点では、まだまだ先進国の数字に達していません。先進国と呼ばれる国はGDPの6割前後が個人消費を占めています。それに対して、中国は4割台で、まだまだ個人消費がGDPに占める割合は低い数字になる。しかし、もともとの分母が大きいですからね。いまや世界2位のGDP大国ですから。その意味では「中国の個人消費が今後増えるか、低調になるかを占う」という意味で非常に重要な指標になって行くと思います。

今後の個人消費がどんなペースで増えていくのか

飯田)今回は開始から2時間弱で取引額が1,600億円を越えたという話です。相当威勢のいい話だと思いますが、どうですか?

須田)2つの意味合いがあります。1つは、先述のように中国は個人消費の割合が少ないため、これから経済が成熟していく過程で、個人消費の占める割合が増えていくのは間違いありません。それがアップテンポなのか、スローモーなのかを見極めたい。これが1つ目のポイントです。
2つ目は、アメリカにも似たような指標というか、動向があります。それはクリスマス商戦です。それがアメリカの個人消費の動向を占うのに、結果は翌年になりますが、非常に重要です。ただ、クリスマス商戦の場合は最近まではリアル店舗が中心でした。

国土の広い中国ではリアル店舗よりもネット通販が発達

須田)ところが、中国は最初からeコマース(ネット通販)が中心だったため、アリババが注目を集めていました。中国は国土が広いのもあり、eコマースの分野でどんどん伸びて行くのだと思います。だから、eコマースの分野で受け入れられ、人気が出て売れる物は、やはり中国の個人消費を喚起する点で重要だと思います。

飯田)これからeコマースが伸びて行くという部分について。中国には「アリババ」の他に「テンセント」という会社もありますが、この2社で半ば独占状態になっているようですね。

須田)インフラというか、プラットフォーム的な部分ですから、そこは変えようがないのかな。中国国内マーケットで一定程度のシェアを取ってくると、そこがスタンダードになって来ますから。すると、それを脅かす存在が出て来なくなる、ということだと思います。
日本にも影響があります。すでにサントリー『響』が出品されたのですが、一瞬で完売ですよ。

飯田)ウィスキーは『山崎』とかも、スゴく売れているらしいですね。私は山崎の蒸留所に行きましたが、『山崎』がありませんでした。理由を聞いたら「中国人の方々に全部売れてしまったから」でした。そんなに人気なのですね。

須田)スゴいですよね。日本の高額の銘柄を選んでいるのですよ。

飯田)いろいろありますよね。秩父蒸留所の『イチローズモルト』とか。

須田)サントリーでも『知多』はあるのですよ。

飯田)『知多』はあるけれど、『山崎』はない。

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