マイケル・ムーア監督が暴く、トランプ大統領誕生の“ナゼ”

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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第512回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、現在公開中の『華氏119』を掘り起こします。


マイケル・ムーアが再び吠える! 今度のターゲットは、ドナルド・トランプ!!

マイケル・ムーア監督が暴く、トランプ大統領誕生の“ナゼ”
2016年11月8日。アメリカでは、民主党のヒラリー・クリントン候補と共和党のドナルド・トランプ候補によるアメリカ大統領選挙が行われました。当時、ニューヨーク・タイムズが出した勝率は、ヒラリー候補が85%なのに対し、トランプ候補は15%。国民の大半がヒラリー候補の勝利を確信しているなか、事件は起こったのです。

開票中盤から風向きが一転し、勝利宣言したのは、なんとドナルド・トランプ。その結果に世界中が驚いたのは記憶に新しいところですが、実はマイケル・ムーア監督は大統領選前からトランプの勝利を予言していました。

マイケル・ムーア監督が暴く、トランプ大統領誕生の“ナゼ”
『華氏119』は、アメリカ銃社会に風穴を開けた『ボウリング・フォー・コロンバイン』やアメリカの医療問題を取り上げた『シッコ』などで知られる、マイケル・ムーア監督の最新作。ユーモアを交えたアポなし取材を売り物に、アメリカが抱える闇を追求する…という、新たなドキュメンタリー映画のスタイルを築いた彼が、アメリカ合衆国第45代大統領ドナルド・トランプを題材にしたドキュメンタリーを完成させました。

タイトルの『華氏119』とは、トランプの大統領当選が確定した2016年11月9日に由来するもの。ムーア監督の代表作であり、ジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)を痛烈に批判した『華氏911』と対になっている作品とも言えるでしょう。字幕監修にジャーナリストの池上彰氏が携わることで、日本人にも分かりやすく“アメリカの現在”を伝えています。

マイケル・ムーア監督が暴く、トランプ大統領誕生の“ナゼ”
…と言うと、トランプ大統領をターゲットにした作品かと想像されるかと思いますが、実はそうではありません。本作がいちばん伝えたいことは、何故、トランプのような大統領が誕生せざるを得なかったかということ。医療健康保健の問題や自動車産業、学校での銃乱射事件などの問題を交えながら、ムーア監督独自の視点で“トランプのカラクリ”をあぶり出しているのです。

そしてその問題は、私たちにとっても、“自国を知り、そのためにどう行動すべきか”という命題を提示しているようでもあります。まさにいま、観るべきタイムリーな作品です。

マイケル・ムーア監督が暴く、トランプ大統領誕生の“ナゼ”
華氏119
2018年11月2日からTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
監督・脚本:マイケル・ムーア
出演:ドナルド・トランプ、マイケル・ムーア
©2018 Midwestern Films LLC 2018
公式サイト https://gaga.ne.jp/kashi119/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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