米ユダヤ教礼拝所銃乱射~アメリカの銃規制が進まない現実的な理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月29日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。ユダヤ教礼拝所での銃乱射事件を題材に、アメリカで銃規制が進まない理由を解説した。

アメリカ 東部 ペンシルベニア州 ピッツバーグ ユダヤ教 礼拝所 銃乱射 事件

銃撃事件が起きた米東部ペンシルベニア州ピッツバーグのシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)(アメリカ・ピッツバーグ)=2018年10月27日 写真提供:時事通信

ユダヤ教礼拝所で銃乱射11人死亡~容疑者を拘束

10月27日、アメリカ東部ペンシルベニア州ピッツバーグのユダヤ教礼拝所で男が銃を乱射した。11人が亡くなり、警察官4人を含む6人が負傷した。犯人は現場で拘束した46歳の白人男性。ユダヤ人を標的とした憎悪犯罪(ヘイトクライム)として、動機などを追求されている。

飯田)犯人はロバート・バウアーズ容疑者(46)。アメリカではオバマ前大統領ら民主党有力者を狙った爆発物送付事件があり、これに関して話題沸騰していたところに、今回の事件が起きました。

須田)いろいろな問題をはらんでいると思います。もちろん「銃規制はどうあるべきか?」が大前提にあると思いますが、銃規制をしても、この手のヘイトクライムは防げないという部分がある。その背景には社会の分断という状況があり、それが融和に動くのではなく、むしろ憎悪が双方に燃え広がっている問題があるのだと思います。

アメリカの広大な田舎では防衛のための銃依存が強い

須田)もう1つは、「銃規制すればすべての問題は解決するか?」となると、「ではアメリカ社会のなかで、果たして銃規制が可能なのか?」となります。それについて国民の大多数の意見を集約できるかというと、私はそうは見ていません。
「銃規制はあるべき」という前提で考えている日本人も、アメリカの例えばニューヨークやシカゴ、ワシントンやロサンゼルスなどの大都市だけをイメージしているのだと思います。そんな都市はごく1部分で、実際は隣家へ行くのに何十キロも離れているような田舎に住んでいる人たちが圧倒的に多い。例えば私が取材したウエストバージニア州のとある田舎へ行くと、そこは財政が厳しいのもあり、保安官が郡(エリア)に1人しかいません。

飯田)郡ということは、かなり広いですよね?

須田)財政削減で警察官やパトカーの数が減らされてしまった部分があります。その状況で不審者から身を守るために、やはり銃を頼りにする発想が強いのです。また、田舎に住む人たちの家族での役割分担です。大都市では男女同権みたいな部分がありますが、田舎の家庭の奥さんは女性としての役割を強く求められ、それを受け入れているのです。例えばパッチワークして、クッキー焼いて、スープを作る。そして、男性は力仕事をする。「男の食事の支度は庭でステーキを焼くことです!」というような感じです。男性(父)が家族を守るなかで、銃の存在はとても大きい物がある。アメリカの現在置かれている社会の有り様を考えていかないといけません。
今回のような痛ましい事件が発生して、銃規制すべきと議論は起こるけれど、なぜ進まないのか。「全米ライフル協会が政治力を持っているから」とか、「多くの献金をしているから」だけではないのです。それを認識すべきだと思います。

飯田)合衆国憲法修正第2条で武装は認められています。憲法に書かれている権利なのですね。だから、日本人が考えるほど、おいそれと変わる物でもない。

須田)日本のような狭い国で、110番通報すればすぐに警察が駆けつけてくれるような社会の有り様ではないのです。そのなかで銃規制をどう考え、捉えていくかを合わせて見ていかないとスムーズに進まないと思います。

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