タイガー・ウッズ 5年ぶりの優勝は全米中年男性の励み

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「スポーツアナザーストーリー」は、アメリカ男子ツアーで5年ぶりの優勝を果たしたタイガー・ウッズにまつわるエピソードを取り上げる。

タイガー・ウッズ 5年ぶりの優勝は全米中年男性の励み

ツアー選手権最終R  最終ラウンド、ツアー5季ぶりの優勝を果たし、ガッツポーズするタイガー・ウッズ=イーストレークGC(USA TODAY・ロイター=共同)

アメリカ男子ツアーの今シーズン最終戦「ツアー選手権」最終日。首位からスタートしたタイガー・ウッズは1番でバーディを奪うと、その後9番までパーを続け、10番のボギーも、13番のバーディで挽回。後半はスコアを2つ落としましたが、最後までリードを守り切って、2013年のブリヂストン招待以来、実に5年ぶり、1876日ぶりのツアー制覇を果たしました。

ウッズにとっては、これがちょうどツアー通算80勝目。最終ホールでは詰めかけた大ギャラリーがフェアウェイになだれ込み、会場は大興奮に包まれました。

1996年、名門スタンフォード大を中退し、プロに転向。翌97年のマスターズを21歳3カ月の史上最年少記録で優勝してから、32歳で2008年の全米オープンを制するまでの12年間で、マスターズ4勝、全米オープン3勝、全英オープン3勝、全米プロ4勝と14のメジャータイトルを手にしたウッズ。若くして世界ランキングでトップに立ち、18勝のメジャータイトル最多記録を持つジャック・ニクラウスに「タイガーが私の記録を更新するのは時間の問題だろう」とまで言わせた、絶対的存在でした。

ところが……09年の交通事故、10年の離婚騒動など、私生活でもトラブルが相次ぎ、その間、肩や腰、ひざなどを痛め、2度の手術も経験。試合に出ることもままならなくなり、昨年5月には、意識がもうろうとしたまま運転した容疑で逮捕されたことも。「ウッズはもう終わった……」と、選手生命の危機もささやかれました。

しかし、昨年春に脊椎固定手術を受け、医師の許可が下りるとすぐに、復帰を目指してトレーニングを開始。復活へののろしをあげたウッズ。今年1月に本格復帰し、7月の全英オープンで6位タイ、全米プロで2位に入るなど、たびたび優勝争いを演じました。

しかも、ティーショットが曲がって、ラフや林に打ち込んでも、驚異的なリカバリーショットでグリーンに乗せ、長いパットをねじ込むという、ウッズ流のゴルフが戻ってきたのです。

ウッズが出場する試合は、視聴率が急上昇。ウッズの低迷が始まった頃、ちょうどアメリカ経済もリーマン・ショックなどに襲われ、どん底に落ち込みました。苦境から這い上がり、ミラクルを起こした42歳のウッズの姿に、全米の中年男性たちは、自分たちの姿を重ね合わせたのです。

今回、最終18番グリーンでは「タイガーコール」も起き、ウイニングパットを沈めると両手を突き上げ、ファンと喜びを共にしたウッズは、勝利者インタビュー-でこうコメントしました。「ここに来るまで、いろんな努力をしてきた。やっと自分のスイングを見つけ、自信を深めて、今ここにいる。こんな形でシーズンを終えることができるなんて、信じられない。泣きだしそうだよ」

2020年・東京オリンピックの米国代表にも意欲を見せているウッズ。ゴルフ人生でも今後どんなリカバリーショットを見せてくれるのか、注目です!

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