ヘイトスピーチ規制条例~慎重に進めるべき

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月21日放送)にジャーナリスト・東海大学教授の末延吉正が出演。ヘイトスピーチの規制と言論について解説した。

ヘイトスピーチ 言論の自由 条例 LGBT 差別的憎悪表現 人権条例案 東京 小池知事
東京都のヘイトスピーチ規制

東京都は19日に始まった都議会の目玉として、人権条例案を提出した。この条例案は、性的に少数の方々、LGBTなどへの不当な差別の禁止やヘイトスピーチ規制を謳ったもの。ヘイトスピーチに関しては公共施設の利用を制限できるなど、強制力を持った内容となっている。ヘイトスピーチの言葉の定義だが、特定の人種、民族に対して煽ったり貶めたりする侮蔑的な表現のことを言い、日本語では差別的憎悪表現とも言う。

飯田)こんな指摘もあります。板橋区“のんの”さん、45歳主婦の方「この条例には概ね賛成なのですが、最終的には小池都知事を批判することを取り締まるだけになる気がするのは私だけでしょうか?」と。この定義というか、線引きを誰がどうやるのかというところですよね。

末延)実に良い指摘で、人権というのは大事なのですが、「人権」と名のついた規制する法律ができるときは注意しなければいけない。法律でガチガチに縛るよりは、本来は人間のモラルや寛容さ、見識などで上手く調和していくのが良いので、差別がいけないのは当たり前の話なのですよ。
法律は作ってしまうとそれが独り歩きするという意味では、都議会はメディアがあまり注目していません。小池さんがパッとしないからオリンピックに向けて人気浮上という気持ちも無きにしも非ずでしょうから、この辺りは注意して作っていかなければなりません。もちろんヘイトは嫌になるし、人はお互いに共存すれば良いわけだから。
しかしこれには出てきませんが、例えば基地反対デモをやると「ヤンキー・ゴー・ホーム」もありますよ。これだってヘイトと言えばヘイトです。

飯田)アメリカ人や、アメリカ軍に対して卵や石を投げたりしますね。

末延)日本人はときどき国際感覚を失って内向きになるので、そういうつまらないことは止めて、本当は法律ではなくみんなで止める空気、それこそメディアが頑張れば良いと思うのですけれど。

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ヘイトスピーチの規制と言論の自由

飯田)これに関して法律を作ってしまうと、言論の自由とぶつかることにもなりかねないわけですよね。

末延)例えば信号機があるでしょう。なければいちばん良いのですよ。でも、ないと走れない。それと一緒で、みんなが「こういうのをやめよう」と思えばいい。法律で縛られるというのは……。これはネットの規制とも関連してくるので、よくよく考えていかなければいけない問題ですよね。良いご指摘をいただきました。

飯田)「これはいけない」というものを議論して、相場観が作られていったら良いですよね。

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ネット社会で加速する「言いっぱなし」

末延)いちばんいけないのは、インナーサークルにそれぞれがこもって言いっぱなしをすることです。お互いが合意できる大人な会話をする努力。そういうところに人間の知恵がなければいけないと思います。

飯田)お互いが100%自分の正義ではなく、相手の話も聞いて落としどころを探っていく。本当は、日本人は昔から考えるとこれは得意な話ですよね。

末延)日本人の得意とするところなのだけれども、どうも最近ネットでは匿名性を含めた言いっぱなしで、ギスギスしているのがとても嫌だなと思います。僕は気が弱いので、みんなで上手くやろうよという方が良いので。法律化については慎重にやっていただきたいです。

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