米、イランへの経済制裁再開~核拡散防止には北朝鮮とイラン両方を抑える

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ニッポン放送「飯田浩司のOK!Çozy up!」(8月8日放送)に国際政治アナリストの藤井厳喜が出演。アメリカがイランへの経済制裁を一部再開したことについて解説した。

ハサン・ロウハーニー ロウハニ大統領 イラン 大統領 ハサン ロウハーニー

ハサン・ロウハーニー – Wikipediaより

アメリカがイランへの経済制裁を一部再開~リアルの価値が10分の1に

アメリカのトランプ大統領はイラン核合意からの離脱に伴うイランに対する経済制裁を一部再開した。トランプ大統領はイランに向け、交渉の場につくよう呼び掛けていたが、ロウハニ大統領がこの提案を拒否。経済制裁を再開することとなった。

飯田)日本時間7日午後、トランプ大統領は大統領令に署名し、経済制裁の再開となったわけです。今回、第1弾で自動車、鉄鋼、アメリカドルによる取引禁止。原油などの取引はこの後11月にまた控えているということですが、イランにとっては当然痛手になるということですか?

藤井)そうですね。いま、イランの経済は非常に混乱しています。あの国の通貨であるリアルですが、現在、1米ドルが11万何千リアルです。数ヶ月前は1万数千リアルだったものが。

飯田)ものすごい下落ですね。

藤井)10分の1に減価してしまった。リアル安になって、自国の通貨に対する信用がなくなっている。その庶民の経済不満がすごくあります。経済の政策がうまくいってないんじゃないかと、あちこちで自然発生的な反体制デモが起きています。それを警察機動隊が弾圧するという動きが起きている。これはアメリカが煽っているわけではないと思います。イランは2015年に核合意を受け入れて、経済制裁が解かれたわけです。そのときにはアメリカもドルが足らないと言うので、現ナマまで持って行っています。オバマ政権のときですが。

飯田)ありましたね。

藤井)イランの国民は経済制裁されているときは、自国の経済が悪くても仕方ないけれど、解かれたから良くなると思った。ところが、3年経っても一向に良くならない。宗教指導者とか言っていますが、上の方の腐敗がひどく、私腹を肥やしている人たちが多い。批判勢力によると、革命防衛隊の人たちもそういう特権階級であるらしいです。ですからそれがまた核合意や非核化の問題もありますが、あちこちでシリア派系のテロ集団を煽るようなことをいっぱいやっている。
アメリカにとって中東で大事な同盟国は、1にイスラエル、2にサウジアラビアですが、サウジアラビアがイランの動きをものすごく警戒しているわけです。サウジアラビアもシリア派の住人を多く抱えこんでいる。石油がいちばん出る地域は実はシリア派地域なんですよね。イランがちょっかい出して内乱のようなことになると、サウジアラビアの体制が崩れてしまう。イランが自分たちのスンニ派に対する対立軸を作って攻撃してくるのをどうにか抑えなくちゃいけない。

飯田)お隣のイエメンなどでもね。

首都サナア サナア イエメン イラン ロウハニ大統領 ロウハニ

首都サナア(イエメン – Wikipediaより)

核拡散防止のためにもイランと北朝鮮の両方の核武装を防がなくてはならない

藤井)イエメンにも入って来ています。イランはペルシャ人、アラブ人じゃないし、民族も違うし、宗教も同じイスラムといっても違う。地政学的な対立状況もあります。そういうこともあってアメリカはイランを叩かなきゃいけない。それはイスラエルのためもありますけどね。
これはあくまでも核武装させないための方策ですよ。北朝鮮とイランが核武装しちゃうと、核兵器のドミノは防ぎようがなくなると思います。いまの世界で。
ですから、またイランと北朝鮮は相互に交流しているものですから、両方止めないと意味がない。北朝鮮が発達させた、獲得した技術はすぐイランにトランスファーされてしまいます。逆もまた真なりなんでね、北朝鮮が核を放棄しても、いつかまた北朝鮮がある日核を持つことになってしまう。両方ストップしないといけない。核拡散防止に賛成な人が日本人大部分だと思いますがトランプ大統領に感謝したほうがいいね。

飯田)なるほど。

藤井)核拡散を必死に止めようとしているのがトランプ政権です。アメリカのエゴや覇権維持もあるのでしょうが。ただ、この2ヵ国が核を持ってしまうと核兵器を持つ国がどんどん増えて歯止めが効かなくなると思います。

ドナルド・トランプ トランプ トランプ大統領 米 アメリカ 米国

ドナルド・トランプ – Wikipediaより

トランプとプーチンが大統領の間は米露協調時代が続く

飯田)イランが苦境に陥ると、中国やロシア助けを求めることも考えられますが、どうなのでしょうか?

藤井)話が大きくなってずれてしまいますが、7月16日にアメリカ、ロシアの首脳会談がありましたよね。

飯田)ヘルシンキで。

ヘルシンキ ランドマーク ヘルシンキ大聖堂 ロシア 露 プーチン プーチン大統領

ヘルシンキのランドマークであるヘルシンキ大聖堂(ヘルシンキ – Wikipediaより)

米露それぞれの思惑

藤井)これは大変な大きな国際政治に転換をもたらした。構造変換をもたらしたといってもいいと思います。これからは米露協調時代です。少なくとも、トランプがアメリカの大統領をやり、プーチンがロシアの大統領をやっている間は。表に出ていないような大きなディールをやったと思います。それは徐々に出てくると思いますけれども。
基本的にロシアは経済が苦しいので、アメリカやヨーロッパにかけられている経済制裁をとにかく解いて欲しいのです。2014年に国が併合してから、ロシアはここ数年ゼロ成長です。プーチンさんの支持率高いのですが、国内の経済不満はそうとう鬱積しているものがあるので、これを解いて欲しい。エネルギーにしても西側がどんどん入ってきて開発、統括してくれないと困る。
アメリカが求めているのは、まずは北朝鮮やイランの非核化。両方にロシアは影響力がありますから。シリアは成功したわけですよ。ISの壊滅は米露協力体制でうまくいったのだと言っています。

ウラジーミル・プーチン プーチン プーチン大統領 ロシア 露

ウラジーミル・プーチン – Wikipediaより

国際政治の影響力の強い米露

世界の核、ICBMの核弾頭の90%はアメリカとロシアが持っているということを二人の大統領は言いました。軍事的に見ますと、ナンバー1がいま世界の覇権を持つアメリカ。ナンバー2はロシアです。ロシアは経済規模が非常に小さくて、韓国以下とも言われていますが、軍事的に、あるいは国際政治の影響力においてはアメリカの次であることは間違いない。これははっきり言うとナンバー1、ナンバー2協定ができたのだと思います。
トランプ大統領はいま、ロシアへの経済制裁を解くと言うと国内でロシアゲートとか騒いでいる人たちがいますので問題ですが、やがてやると思います。中間選挙後くらいからはっきり出てくると思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
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